ホールディングスの意味とは?略語や英語、メリット、失敗しないために注意することをわかりやすく解説

ホールディングスとはどんな言葉?

ホールディングスとは「持株会社」を意味するカタカナ語です。

傘下にいる子会社の株を保有して支配する会社や、親会社が子会社を支配する体制のことをホールディングスといいます。

ホールディングスの類語は「グループ本社」で、英語で表したいときは「holdings」を使えばOKです。

ホールディングスについて具体的にみていきましょう。

「ホールディングス」の意味は?どう略す?

ホールディングスの意味は「持株会社」や「持ち株会社」をトップとする組織体系です。「持株会社」とはほかの株式会社の株式を保有して子会社とし、事業方針を決めるなど子会社の経営を支配している会社のこと。

「HD」や「HLDGS」と略すこともあるので覚えておきましょう。

「ホールディングス」には次の3つの種類があります。

純粋持株会社

純粋持株会社は、自分では事業を行わず、子会社の管理・指導だけに専念している持ち株会社のこと。

第2次世界大戦後に解体した財閥を復活させないため、戦後の日本では禁止されていましたが、世界の有力企業と競う力を高めるため1997年に解禁されました。

純粋持株会社は自分では事業を行っていないため、子会社からの配当が主な収入になります。純粋持株会社がブランドをもっている場合は、そのブランドを子会社に使用させ使用料を取るなどの方法でも収入を得ることができます。

ホールディングスといった場合、この純粋持株会社を指すケースが多いです。

事業持株会社

事業持株会社は自身も事業を行いながら、持ち株会社として子会社の管理・指導も行っている会社のことをいいます。

事業持株会社は戦後も禁止されてはおらず、日本では一般的な持株会社です。

金融持株会社

金融持株会社は銀行や証券、保険会社などが立ち上げた持ち株会社のこと。

銀行・信託・証券・保険・リース・クレジットなど異なる業態の金融関係の会社を子会社にし、支配・管理しています。

金融持株会社も1997年に解禁されましたが、金融持株会社は他産業への影響が大きいため、一部制限がかけられている事柄もあります。

ホールディングスの具体例

どんなときにホールディングスと呼ばれるようになるか具体例を紹介します。

例1
bouteX社は、A、B、Cの3つの事業を行っている。各事業は、子会社A、子会社B、子会社Cとして独立させたため、bouteX社がホールディングスとなった。
例2
〇〇社と△△社が資本関係を結ぶために共同で□□ホールディングスを立ち上げ、〇〇社と△△社は□□ホールディングスの子会社となる。

ホールディングスは英語で「holding company」

持株会社という意味でホールディングスを使う場合、英語では「holding company」といいます。

「holding」単体では次のような意味になるので覚えておきましょう。

holding
・保持
・握ること
・土地保有(条件)
・占有
・所有権
・保有地
・保有物
・持ち株
・(図書館の)保有資産

持株会社制度といいたいときには、組織や制度という意味の「system」と組み合わせた「holding company system」を用いるとニュアンスを伝えることができます。

ひとめでわかるホールディングス化のメリット一覧

持株会社が子会社を指導・管理する組織体系にすることをホールディングス化といいます。ホールディングス化には次のようなメリットがあります。

ホールディングス化のメリット
・意思決定が早くなる
・効率よく利益を出す方法をみつけやすい
・事業ごとの自主性が高まる
・リスクを分散できる
・事業の売却やM&Aに便利
・事業ごとの実情に合わせた制度を導入できる
・後継者や経営人材の育成の場を作れる
・株価を抑えることができる

それぞれのメリットについて簡単に紹介します。

意思決定が早くなる

ホールディングス化すると持株会社はグループ全体の経営、子会社はそれぞれの事業に専念できます。

それぞれがもつ権限や責任がはっきりすることで、各々のするべきことも明確になり、意思決定を早く行えるようになります。

効率よく利益を出す方法をみつけやすい

ホールディングスはグループ全体で最も利益が出る方法を考えるのが役割です。

個々の子会社の利益は二の次にして経営資源の最適な配分を検討するため、全体として多くの利益を出せるようになります。

事業ごとの自主性が高まる

ホールディングス化した組織体系では、その事業に関する権限や責任は子会社にあるため自主的に動きやすくなります。

また、ほかの子会社との競争意識も働き、積極性が増します。

リスクを分散できる

ホールディングス化しておけばAという事業が大きな失敗をしたとき、その失敗の影響を直接被るのはホールディングスと子会社Aだけです。

ほかの子会社には影響がいきにくくなるため、リスク管理しやすくなります。

事業の売却やM&Aに便利

ホールディングス化しておくと業績が悪化した子会社があった場合、会社保有の事業部を売却するよりはスムーズに手離したい事業を売却できるというメリットがあります。

また、他社にM&Aを行うときも会社の名前が子会社として残り完全に会社がなくなるわけではないため、応じてもらいやすくなります。

事業ごとの実情に合わせた制度を導入できる

ホールディングス化すると子会社それぞれで人材採用を行うことになるため、人材のミスマッチが起きにくくなります。

また、業種の実情に合う人事評価や給与制度を作ることができます。

後継者や経営人材の育成の場を作れる

ホールディングス化すると子会社の数だけ社長のポストを用意することができます。

子会社社長のポストは、ホールディングスの後継者や将来経営の中心になるだろう優秀な人材に経営の経験を積ませる場としてぴったりです。

株価を抑えることができる

大きな利益を上げている事業を会社本体から切り離し子会社にすることで、ホールディングスの株価を抑えられます。

株式評価を下げると法人税が安くなるため、後継者に事業をスムーズに引き継ぎやすくなります。

ホールディングス化に失敗することも

ホールディングス化には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

ホールディングス化のデメリット
・子会社同士の連携がとりにくい
・グループ各社の間に対立が生まれ協力体制が取れなくなる恐れがある
・親会社と子会社の間に過度な上下関係ができてしまう恐れがある
・子会社が不都合な情報を親会社に隠してしまう恐れがある
・人事や経理などグループの中に重複する部門が生まれ全体としてのコストが大きくなる

ホールディングス化はこれらのデメリットも理解しておかないと失敗する危険性が高くなります。

成功のカギはホールディングスがリーダーシップを発揮してグループ企業の関係を調整し、デメリットを小さくする方法をみつけられるかどうか。

メリットだけに飛びつかず、全体をよく見極めてからホールディングス化を決めることをおすすめします。

ホールディングスの使い方・例文

ホールディングスは会社を指す言葉、もしくは組織形態を意味するワードとして使うことが多いです。

次のように使用します。

例文
・〇〇ホールディングスの傘下に入った。
・〇〇ホールディングスに参画することを検討している。
・〇〇ホールディングスは経営難に陥っている。
ホールディングス化して、競争力アップを図る。

ホールディングスの類語は「グループ本社」

ホールディングスを「持株会社」の意味で使う場合、その類語は「グループ本社」になります。

しかし、ただグループといった場合、それはホールディングスとイコールにはなりません。

グループは、資本関係がある会社の集合体のことです。

グループは親会社・子会社の関係だけでなく、対等のつながりの場合もあるため、親会社が子会社を支配・管理する関係のみを指すホールディングスとは異なります。

ホールディングスを正しく理解しよう

ホールディングス化する・しないという話だと、難しい事柄がからんでくるため専門家の領分となる部分が多くなります。しかし、ホールディングスの基本的な事柄はすべての社会人が持っていて損のない知識です。

例えば、ホールディングスとは何かを頭に入れておくと、ニュースで何をいっているのかわからなくて困るということがなくなります。

さらに、ホールディングスの特徴を知っておくことで自分の勤める会社や取引している会社を理解しやすくなりますよ。

今日学んだホールディングスに関する知識をビジネスに役立てていきましょう。