ナラティブとはどんな意味?ビジネスや医療における使い方もわかりやすく解説

ナラティブとは「物語」のこと

ナラティブとは「物語」の意味を持つ言葉。物語という意味だと文学などで使われそうな気もしますが、実はビジネスや医療といった幅広い分野で採用されています。

今、注目を集める言葉の一つである「ナラティブ」はどんな意味で、どんなときに使われるのか見ていきましょう。

ナラティブの意味は?

ナラティブは「物語」のことですが、この意味について理解を深めていきましょう。どんな意味合いがあるのか、言葉の使い方はどうなのか、順番にみていきます。

ナラティブの持つ意味合い

ナラティブは英語の「narrative」に由来する言葉です。「物語」の他には「語り」と訳されることが多いです。

ナラティブの特徴は、一人ひとりが主体となり、自由に物語を紡げる点にあります。自由に語り、考えを表す。それがナラティブなのです。

もともとはテレビなどの「ナレーション」という言葉が派生しています。

ナラティブとストーリーの違い

ナラティブもストーリーも「物語」の意味を持ちますが、ニュアンスには明らかな違いがあります。

ストーリー:

一方的にシナリオに沿って展開される物語。筋書きや起承転結があル。

 

ナラティブ:

語り手が自由に語る。現在進行形で自由に物語を紡ぐ。語り手の話す内容によって、筋書きも結末も変わる。

インターネットやSNSの普及によって、個人が体験を言葉にして語りやすい環境になりました。そんな時代背景もあり、企業が一方的に発信するストーリーは以前と比べて受け入れられなくなりました。

自由に語る「物語(ナラティブ)」の方が、ビジネスにおいても有効に作用するようになってきているのです。言葉としては「ストーリー」の方がまだまだ認知度は高いですが、ナラティブはこれからの時代にマッチした展開にできる物語といえます。

各業界におけるナラティブの活用

マーケティングや医療など、さまざまな分野でナラティブが活用されています。どのように活用されているのか見ていきましょう。

ナラティブマーケティング

ナラティブ(物語)を活用したマーケティングのことです。ここでいうナラティブは企業や作り手側の物語ではなく、ユーザーの物語。あくまでも主人公が顧客となる物語です。

ユーザー側の物語に焦点を当て、物語を想像し、アプローチをしていきます。顧客は自分の物語を思い浮かべ、「これを使ったらどうなるか」を想像し、商品に思い入れを持つようになります。

例としてはアクションカメラの「GoPro」があります。コロナ禍で家の中の写真や動画を撮影するキャンペーンを行い、SNSでも「HomeProチャレンジ」という企画でユーザーが作品を投稿できるようにしました。ユーザー個人の日常が物語となっており、商品への愛着を高めている事例です。

ナラティブアプローチ

看護や臨床心理など、医療の現場ではナラティブアプローチが用いられています。これは、当事者へのケアを「物語」や「語り」の観点から考えるアプローチです。語り手からの自主的な語りを聞き、解決策を見出していきます。

通常、当事者から話を聞くときは「客観的な状況」を把握することが目的となりやすいですが、「その人の思いや解釈」といった部分に重きを置きます。ここに大きな違いがあります。

当事者の物語を活用した心理療法は、「ナラティブセラピー」といわれます。

ナラティブ経済学」という書籍では、人が語る物語がどのようにして経済を動かすのかを分析しています。雑誌や新聞などでも取り上げられている人気の書籍です!

ナラティブの使い方・例文

例文
・顧客のナラティブに沿って商品開発やマーケティングを進めてきた。
・ビジネスにおいてナラティブの重要性が認知されてきている。
ナラティブを実践することで時代の波に乗り遅れないようにしたい。

【番外編】ナラティブガンダムって何?

劇場版アニメに「機動戦士ガンダムNT」があります。これがナラティブガンダムといわれており、直訳すると「物語ガンダム」や「ガンダム物語」のような感じになります。

この「NT」には「ニュータイプ」と「ナラティブ」という2つの意味が込められているという説もあります。「ニュータイプについて物語る」というメッセージのもとで、このネーミングが選択されているのではないかと考えるファンもいるようです。

ナラティブは注目を集めている言葉

これまでは「物語」といえば「ストーリー」を思い浮かべる人が大半でした。しかし、近年は人の自主的な「語り」を重視した「ナラティブ」の考え方を採用する場面が増えてきています。

注目を集めている言葉の一つであるため、この機会に覚えておきましょう。