「達観」とは「広い視野で見通す」「悟る」という意味
ビジネスシーンだけでなく、日常の中の会話でも「達観している」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、少し難しい熟語ですが使われることが多く、意味がわからないまま聞き流している人も多いのではないでしょうか。「達観」には、「広い視野で全体を見通す」と、「心理・道理を悟る」の2つの意味があるので、どちらの意味あいで言われているのかは状況に応じて判断する必要があります。
本記事では、「達観」の正しい意味や使い方のほか、類語、言い換え、英語についてもわかりやすく紹介します。
なお、対義語は、他のものが目に入らず冷静に判断ができない、という意味の「盲目」、見抜ける力をもっていない目、の意味の「節穴」などがあるので、併せて覚えておきましょう。
「達観」の読み方・意味
「達観」は「たっかん」と読み、大きくわけて、次のような二つの意味をもつ言葉として使われています。
①広い視野で大きな見通しをもっていること。
②目先や細かいことに惑わされず、心理や道理を悟ること。
「達観してる人」の特徴とは?
第三者の目線で「広い視野をもっているなぁ」「何をするにも細かいことに惑わされないなぁ」と感じる人が、いわゆる「達観している人」になるわけですが、実際にはどんな特徴をもっているのでしょうか。わかりやすくまとめてみました。
・細かいことにこだわらない
・欲がない
・あまり悩むことがない
・常に落ち着いている
・堂々とした態度である
・感情が表に現れない
・どのようなことに対しても諦めをもった考え方をしている
人から「落ち着ているねぇ」や、「堂々としているね」と言われると、ちょっと褒められた気分になりますよね。しかし、「欲がないね」と言われると、向上心がないと言われているような感じがしたり、「細かいことにこだわらないんだね」と言われると、大雑把だということを遠回しに言われていると感じたりしませんか?
つまり、「達観」は、良い意味で使われることもあれば、悪い意味で使われることもある言葉だということになります。
「達観した考え」とは?
「考え方」に対して「達観」を使う場合は、主に「広い視野で大きな見通しをもった考え」の意味で使われています。例えば、「遠い未来までを見据えた考え方をする人」や「一つのチーム内だけでなく、ほかのチームも含めた全体のことを考えている人」が「達観した考えをもつ人」ということになります。
「達観」の使い方・例文
「達観」は大きく分類して二つの意味があるので、文脈で判断しなければならない言葉です。しかし、意味をきちんと理解できていれば使うのはそれほど難しくありません。
・達観した考えをもつ彼に説得しても無駄だと思うよ。
・彼女は達観している人だと思っていたけど、結構臆病な面も多いみたい。
・彼はまだ高校生なのに、人生経験が豊富な大人のように達観した考えをもっている。
「達観」の類語・言い換え表現
「達観」をほかの言葉で言い換えたい場合は次のような表現ができます。
・直観する
・悟りを開く
・会得する
・本質を知る
・境地に達する など
また、類語となる熟語には「俯瞰(ふかん)」や「諦観(ていかん)」があります。
「達観」と「俯瞰(ふかん)」の違い
「俯瞰」には、「高いところから物事を見下ろす」や「広い視野で全体を把握する」という意味があります。高いところから全体を見て、より広い部分を観察する、といった要素が強い言葉で、「俯瞰」を経由したのちに、悟りを開く、つまり「達観する」という流れになります。
「達観」と「諦観(ていかん)」の違い
「諦観」には、「本質をはっきり見極める」や「あきらめ、悟り、そこから抜け出ている」という意味があります。「諦める」という字が入っていることから、「これはここであきらめ、次の境地を迎えよう」といったニュアンスの言葉だと解釈できます。
「達観」は、「広い視野で見通した末にたどり着く」ことに対し、「諦観」は「物事を実行したうえであきらめ、新しい境地にたどり着く」といった違いがあります。
「達観」の英語表現
「達観」を英語で表現したい場合、「philosophy」を使いますが、この単語には、「達観」のほかにも次のような意味があります。
・哲学
・根本原理
・価値観
・悟りの境地
・視点 など
「達観」の意味での英文も紹介しておきます。
・He has a philosophy of life.
(彼は人生に達観している)
・Many young people these days have a philosophy view of the world.
(最近の若い人は、達観した考えをもった人が多い。)
「達観」の意味を理解し正しく使おう!
「達観」は、使い方によっては悪い意味にとらえられることがあります。発言した側は褒めているつもりでも、相手に意図どおりに伝わるとは限らないので、誤解されそうな場合は類語で言い換えることも考えましょう。