サボタージュとは「サボる」の語源ってほんと?意味、使い方、類語、言い換えも紹介

「サボタージュ」とは「怠業」「怠ける」という意味

「サボタージュ」は、争議戦術の一つである「怠業」「怠ける」の意味をもつ言葉で、日本語で日常的に使われている「サボる」は、この「サボタージュ」が語源となっています。しかし、サボると同じ使い方はしません。本記事では意味や使い方のほか、英語、類語、言い換え表現についてもわかりやすく紹介します。

「サボタージュ」の英語は「sabotage」

「サボタージュ」は英語で「sabotage」と表記しますが、「怠ける」の意味あいで使われることはなく、主に「意図的な妨害行為」「機械などを故意に破壊する」といった意味で使われています。

sabotage a rival(競争相手を妨害する)
sabotage her plans.(彼女の計画を妨害する)

なお、日本での「サボる」を英語で表現する場合、「skip」を使うのが一般的です。

・I am going to skip work tomorrow.
(私は明日仕事をサボるつもりです。)

「サボタージュ」の語源はフランス語

フランス語で木靴のことを「サボ(sabot)」といい、「サボタージュ」はこの「サボ」がもとになっているとされています。フランスの争議が起こった際、木靴を機械に入れて停止させたり、作業時に木靴を履き、作業の能率を低下させていたりしていました。このような背景により、労働者による怠業行為が「サボタージュ」と名づけられました。

日本語においての「サボタージュ」とは

日本語の中で使われている「サボタージュ」は、主に、組織で働く労働者が、労働条件の向上を求めて行う「労働争議」の戦術、いわゆる「争議戦術」の意味です。雇用主に明確にわかるよう、労働者が仕事の能率を極端に落とし、労働条件の向上などを求めていることを訴える手法を指します。また、「サボタージュ」には、「消極的サボタージュ」「開口サボタージュ」「消極的サボタージュ」の3種類があるので、それぞれの違いも理解しておかなくてはなりません。

積極的サボタージュ

生産設備や製品を破壊したり、故意に不良品を作ったりすることで業務妨害を図ることを「積極的サボタージュ」といいます。労働者が勤める企業イメージを落としたり、経費的負担を与えることを争議の手法としています。

しかし、「積極的サボタージュ」は不当な争議活動とされており、刑事的にも民事的にも免責を受けることはできません。

開口サボタージュ

外部に向けて、自社製品や企業についての悪口を吹聴するといった間接的妨害を与えることを「開口サボタージュ」といいます。

消極的サボタージュ

組合員の一部、もしくは時間限定で業務を停止するなど、表向き業務を継続しつつ、上司の指示に従わない手法を「消極的サボタージュ」といいます。日本で実施されているサボタージュの多くはこの「消極的サボタージュ」といわれています。

このサボタージュは、一応業務は停止せず継続されているので、会社側としても賃金カットなどの対抗がしにくく、争議権が認められていない公務員も「消極的サボタージュ」については合法的に実施することが合法的にみとめられています。

「サボる」は「サボタージュ」から派生した言葉

日本語で「怠ける」の意味あいで使われている「サボる」は、「サボタージュ」の一部にラ行五段活用の語尾を直接つけて生まれた言葉です。厳密には、「サボタージュする」といったように、「~する」を付けた形式で使うわけですが、それを短くして「サボる」となっています。

なお、「ミスをする→ミスる」「トラブルが起こる→トラブる」も考え方は「サボる」と同じなので、マメ知識として覚えておくと便利です。

「サボタージュ」の使い方・例文

組織内で「サボタージュ」は頻繁に起こることはないため、馴染み深い言葉ではありませんが、どのように使われるのか例文で一応チェックしておきましょう。

例文

・こんなブラック企業でまさかサボタージュが起きるとは思わなかった。
・去年からの会社の対応に不満をもつ人が増えたため、組合の中でサボタージュをするという話があがっているらしいよ。
・今回のサボタージュをきっかけに、ついに会社の上層部は従業員の要求について真剣に検討を始めた。

「サボタージュ」の類語・言い換え

「サボタージュ」を日本語で言い換えたい場合、次のような言葉を使うことが可能です。

サボタージュの言い換え表現

・怠業
・欠勤
・要求
・不履行
・弱体化
・削ぐ など

また、似た意味をもつカタカナ用語としては「ストライキ」や「ボイコット」があるので、これらとの違いも理解しておきましょう。

「サボタージュ」と「ボイコット」の違い

「ボイコット」は、もとは、ある特定の商品を買わないように訴えたり、組織的に買わないようにする争議手法のことを意味していましたが、現代では、やるべき任務を拒否するという意味でも使われています。

「サボタージュ」と「ボイコット」は、やるべきことを拒否するといった点で類語であるといえます。

「サボタージュ」と「ストライキ」の違い

「ストライキ」は、労働者全員が一斉に業務をストップする争議手法のことをいい、「スト」と略語で呼ばれる場合もあります。時間限定や人員限定で業務をストップする「消極的サボタージュ」は、ストライキと類語と考えられます。

「サボタージュ」と「ピケッティング」の違い

「ピケッティング」とは、ストライキ行動の一種で、工場ストライキなどが発生した際、複数の参加者が入口に隊列を組み、不参加者が工場内に立ち入らないよう阻止することをいいます。ストライキと同じように、時間限定や人員限定で業務をストップする「消極的サボタージュ」は、「ピケッティング」と類語と考えられます。

組織をダメにする「サボタージュマニュアル」って?

第二次世界大戦中に、CIAのスパイが敵国に乗り込む際、その組織が機能しなくなるようなマニュアルが作成されていました。これが「サボタージュマニュアル」です。

例えば、上官向けには、「重要でない仕事も完璧にやらせろ」「何かを決定する際は会議を重ねろ」など。部下向けには「業務はゆっくりと」「不満はどんどん発言せよ」「仕事は丁寧でなくてもよい」といった内容です。つまり、効率の悪い仕事になるようなマニュアルです。

スムーズに仕事を進ませるより、どうでもいいことも含め、細かい部分にこだわりをもたせることを優先にする、まさにパフォーマンスを下げさせるマニュアルといわれています。

もっと詳しく知りたい人は、書籍も販売されているので、ぜひチェックしてみてください。
(データ参照元:amazon サボタージュ・マニュアル諜報活動が照らす組織経営の本質

「サボタージュ」は「サボる」のような軽い言葉ではない

「サボタージュ」は、ただ怠ける、サボるといった軽いものではなく、組織的な怠業行動、争議行動です。多くの場合、懲戒解雇などの重大な処分はされないとされていますが、免責が認められるのは「消極的サボタージュ」のみで、争議行為の正当性が認められない場合があります。もし参加することになりそうな場合は、その点をしっかりと確認するようにしましょう。