「老婆心」とはどんな言葉?
「老婆心」の意味は、「必要以上に気を使い、度を越して親切にしたり世話を焼いたりすること」です。
類語は、「お節介」「余計なお世話」「差し出がましい」「僭越」「親切心」。
英語では、「out of kindness」「though it may not be necessary」などの表現を使います。
「老婆心」とはどんな意味?読み方は?
「老婆心」の読み方は「ろうばしん」。次の意味をもつ言葉です。
この意味から転じて、「必要以上に世話をやこうとする自分の気持ち」をへりくだって表現する語にもなっており、忠告や進言をするときによく使われます。
忠告や進言をしてくる他人に対して用いることもあり、こちらの場合は「余計な忠告である」という批判的なニュアンスになります。
「老婆心」の由来
「老婆心」は仏教に由来しており、もともとは「老婆心切」という言葉でした。
老婆が子どもや孫に対して、豊富な人生経験と深く厚い慈愛の心から細かな心遣いをするように、師が弟子をいつくしみ導く「親身な心遣い」を意味する言葉です。
本来の意味ではネガティブな言葉ではありません。しかし、心配性の老婆はおせっかいなほどに世話を焼いたり、忠告をしすぎたりする場合もあることから、「必要以上の親切心」の意味の言葉として使われるようになりました。
「老婆心」の注意点
「老婆心」は、老婆が子や孫の、師が弟子の世話を焼くことがもとになっている言葉のため、目上の人間が目下の相手に忠告や進言をするときに使います。
部下が上司になど、目下の人間が目上の相手に忠告や進言をするケースでは、使用できないので注意してください。
「老婆心」は男性も使える
「老婆心」は男性も使える言葉です。
年をとった女性のことを「老婆」というように、年をとった男性のことを「老爺(ろうや)」と呼びますが、「老爺心」という言葉はありません。
たまに男性が「老爺心」を使うこともありますが、これはジョークです。マネして使用しないように気をつけてください。
「老婆心」といわれたときの返し方
職場の上司や年配の方など、目上の相手から「老婆心ながら」の前置きつきで忠告や進言をもらったら、「ありがとうございます」や「感謝申し上げます」などと返してください。相手は親切心からアドバイスしてくれているため、仮に余計なお世話と感じたとしても、反論せず感謝の言葉を返すのがマナーです。
その後で「勉強になります」など、謙虚なひとことを付け加えるとさらに心証がよくなります。
「老婆心」の使い方を例文で学ぼう
「老婆心」の意味や注意点がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・老婆心から申し上げますと、この点には注意が必要です。
・〜な点がありましたらご確認を。老婆心までに申し上げます。
・老婆心、失礼いたしました。
・老婆心にて申し上げましたが、余計でしたら申し訳ございません。
・老婆心が過ぎる叔母が苦手だ。
「老婆心」の類語・言い換え表現
「老婆心」の類語は、「お節介」「余計なお世話」「差し出がましい」「僭越」「親切心」です。
「老婆心」は、使う相手を選ばなければなりません。また、目上の立場から目下の相手に用いるときも、頻繁に使用していると相手からうざいと思われる恐れがあります。
類語の使い方もおさえておき、適宜言い換えできるようになりましょう。
・余計なお世話かもしれませんが、~したほうがいいのではないですか?
・差し出がましいことを申し上げますが、この計画は見直しが必要です。
・僭越ながら、進言させていただきます。
・親切心をこじらせた同僚がうざい。
「老婆心」は英語だと?
「老婆心」を英訳するときは、次のような表現を使うとニュアンスを伝えられます。
though it may not be necessary:老婆心ながら。必要ないかもしれないけれど
give advice though it may not be necessary:必要ないかもしれないけど忠告する
伝えたい意味合いに近い表現を選んで使用してください。
「老婆心」を使うときは気をつけて
「老婆心」は、「必要以上に世話をやこうとする自分の気持ち」をへりくだって表現できる言葉。忠告や進言をするときに前置きとして用いると、ニュアンスを和らげられるので覚えておくと便利です。
しかし、目上の人に忠告するときは使うことができません。目下の相手に対しても用いすぎると、こうるさいと思われる可能性があります。
「老婆心」は、相手を見極めてほどほどに使用するように気をつけてください。