「足るを知る」とはどんな意味?「足るを知る」ための方法や英語も解説

「足るを知る」とはどんな言葉?

「足るを知る」の意味は、「身分相応に満足することを知る」「足ることを知る」です。

類語は、「足るを知る者は富む」「知足(ちそく)」。

英語で表すときは、「Knowing Contentment」「to know one has enough」などの表現を使います。

「足るを知る」とはどんな意味?読み方は?

「足るを知る」は、「たるをしる」と読みます。次の意味をもつ言葉です。

足るを知る
身分相応に満足することを知る。足ることを知る

自分と他者を比較し、自分が持っていないものを「自分も欲しい」「自分もあのようになりたい」と思った経験はありませんか?他者をうらやむ気持ちが強くなったり、自分の環境に不平不満を感じながら日々を過ごしていませんか?

「足るを知る」は、このような人間の欲を戒める言葉です。自分に足りないものに目を向けるのではなく、自分が今持っているものに積極的に目を向け、そのよさに気づけるようになろうという教えを意味しています。

「自分が今持っているもの」とは?

「自分が今持っているもの」とは、例えば次のようなものです。

・家族や友人といった人間関係
・自分の能力
・仕事があること
・自由に使える時間があること
・住む場所があること
・ご飯を美味しく食べられること
・面白いと感じるもの、例えば漫画などに出会えていること
・今生きていること

自分にとっては当たり前のものかもしれませんが、それはそれを持っていないほかの人から見たらうらやましい事柄になる場合もあります。

当たり前と思わずに、それの価値に目を向け、感謝できるようになることが「足るを知る」です。

「足るを知る」は誤解されやすい

「足るを知る」は、欲張らず「自分が今持っているもの」で満足し、それに感謝することを意味しますが、これを「諦め」と否定的に捉える人もいます。

しかし、この受け止め方は誤解で、「足るを知る」は諦めることを教えているわけではありません。

「足るを知る」は、「自分が今持っているもの」の価値を認め、それを活かす方向で努力することで、自分を成長させられるということをいっています。

「足るを知る」の語源は老子の教え

「足るを知る」の語源は、中国春秋時代の哲学者 老子の教え「知足者富、強行者有志」がもとになっています。

「知足者富、強行者有志」は、書き下し文に直すと「足るを知る者は富み、強めて(つとめて)行う者は志有り」となります。

これは、「満足することを知っている者が本当に心が豊かな人間で、努力を続ける人間は志を遂げられる」という意味です。

「足るを知る」が、諦めを促す言葉ではないことがわかりますね。

「足るを知る」ための方法

「足るを知る」ためには、足りないものを探して欲しがるのではなく、今あるものに満足する意識で生活することを心がける必要があります。まずは今の生活のなかで、「楽しいな」「幸せだな」と感じられるものを探してみてください。

ポジティブな見方で今あるものを見られるようになると、それを得られていることに「感謝する」気持ちが生まれます。それを繰り返すことで、次第に「感謝」を基本にした生き方ができるようになっていきます。

「足るを知る」の使い方を例文で学ぼう

「足るを知る」の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・「足るを知る」は、仏教の教えにも取り入れられている。
・ドラマをきっかけに、足るを知る生き方について考えた。
・私の座右の銘は、「足るを知る」です。
・自分らしく生きるためには、足るを知ることが必要だ。

「足るを知る」の類語・言い換え表現

「足るを知る」は、「足るを知る者は富む」や「知足(ちそく)」の形で使われることもあります。どちらも「足るを知る」と同じく老子の「知足者富、強行者有志」に由来する言葉なので、「足るを知る」と同じニュアンスで使えます。

例文
・「足るを知る者は富む」の精神で、新しい生き方を模索する。
・「知足」をコンセプトに、仏教の世界観を体験できる宿を企画した。

「足るを知る」は英語だと?

「足るを知る」を英訳するときは、次のような表現を使います。

「足るを知る」の英語
Knowing Contentment:満足を知る
to know one has enough:十分なものがあることを知る
Enough is as good as a feast.:満腹はごちそうも同然
He is rich that has few wants.:欲しいものが少ないものこそ、豊かである

ここで紹介したもののほかにも、「足るを知る」のニュアンスを表す英語の表現やことわざはほかにもあります。興味のある人は調べてみてください。

「足るを知る」の意味を正しく理解しよう

「足るを知る」の意味は、「身分相応に満足することを知る」です。諦めを促す言葉と誤解される場合も多いですが、実際のニュアンスは「満足を知り、今あるものを自分の成長に活かす」というものです。

「もっと欲しい」ばかりで満たされることが少ない日常に不満を感じている人には、正しい意味での「足るを知る」を意識して生活してみることをおすすめします。気持ちが落ち着いて、ものの見方が変わってきますよ。