「以内」とは?
「以内」の意味は、「境界も含めたある範囲の内側」「ある基準を含めた、それよりも小さい範囲」です。
「以内」の類語は、「以上」「以下」「以外」「未満」「以降」。
英語で表すときは、「inside of」「within」「no later than」を使います。
「以内」の意味・読み方は?
「以内」の読み方は「いない」で、次の意味を表します。
②ある基準を含めた、それよりも小さい範囲
「以内」の「以」には「前に来るものを含む」というニュアンスがあります。そのため、「〇〇以内」といった場合は「〇〇」を含むのです。「以内は含む」と覚えておきましょう。
「以内」を記号で表すと?
「以内」を記号で表すときは、「≦」を使います。「≦」は、「小なりイコール」と読みます。
例えば、「x≦5」なら「xは5を含む5より小さい数字」という意味。「3≦x≦5」なら、「xは3と5を含む、3~5の範囲にある数字」の意味になります。
「以内」を使うときの注意点
ビジネスで「以内」を使うときは、基準がどこなのかはっきりと示す必要があります。
例えば、郵送で送られてきた書類に「2週間以内に返答をください」とメッセージが付けられていたとします。この書き方だと、いつから2週間以内なのかがわかりませんよね。
「書類を受け取った日から2週間以内」のように、具体的に指示するようにしましょう。
また、「以内」に基準が含まれるのか含まれないのか、あやふやに理解している人もいるかもしれません。重要な案件の場合は、「以内」ではなく「〇月△日までに」のように、具体的な日にちを指定することをおすすめします。
「以内」の使い方を例文で学ぼう
「以内」の意味や使うときの注意点がわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。
・店舗から車で10分以内の範囲に、重点的にポスティングを行う。
・3年以内に新店舗をオープンするのが目標だ。
「以内」の類語・言い換え表現
「以内」の類語は「以上」「以下」「以外」「未満」「以降」です。ただし、これらは「以内」と同じ意味というわけではありません。
それぞれの意味や、「以内」との関係性をみてみましょう。
「以上」とは
「以上」は次の意味をもつ言葉です。
②それより前に述べたこと(例:以上のとおり)
③合わせて。合計
④手紙・目録・箇条書きなどの末尾に記して「終わり」の意を表す
⑤~の上は。~からには(例:決定した以上、やるしかない)
「以内」との関係を考えるときは、①の意味になります。
「以内」と「以上」
「以上」は、使い方によって「以内」の言い換え語として使える場合もあれば、「以内」の対義語になることもあります。
例えば、「会社の卓球大会で5位以内を入賞とし、金一封を用意することにした」という文章の場合、入賞は1位から5位までの人ですよね。
「以内」を「以上」に変え、「会社の卓球大会で5位以上を入賞とし、金一封を用意することにした」の文で考えてみましょう。この文でも、入賞は1位から5位までの人です。最初の文と意味が変わらないので、「以上」は「以内」の言い換え語として使えます。
「以上」が「以内」の対義語になる場合
「10,000円以内の予算で送別会のプレゼントを用意する」という文の場合、プレゼントの予算は10,000円を含めそれより少ない金額になります。
「以内」を「以上」に変えて「10,000円以上の予算で送別会のプレゼントを用意する」とすると、予算は10,000円を含むそれよりも大きな金額になってしまいます。意味が最初の文と逆ですね。
つまり、このケースでは「以上」は「以内」の対義語になるのです。
「以下」とは
「以下」は次の意味をもつ言葉です。
②それより後に述べること。下記(例:以下省略)
③代表となるものを含んで、それに関連するすべてのもの(例:社長以下社員一同)
「以内」との関係を考えるときは、①の意味になります。
「以内」と「以下」
「以下」も、「以内」の言い換え語として使えるときと、対義語になるときがある言葉です。
「10,000円以内の予算で送別会のプレゼントを用意する」の文の場合、プレゼントの予算は10,000円を含めそれより少ない金額でしたね。
「以内」を「以下」に変えた「10,000円以下の予算で送別会のプレゼントを用意する」のときも、予算は10,000円を含めそれより少ない金額になります。意味に違いがないので、このケースでは「以下」は「以内」の言い換え語として使えます。
「以下」が「以内」の対義語になる場合
今度は「会社の卓球大会で5位以内を入賞とし、金一封を用意することにした」の文で考えてみましょう。この場合、入賞は1位から5位までの人でしたね。
「以内」を「以下」に変えると、「会社の卓球大会で5位以下を入賞とし、金一封を用意することにした」となります。この文での入賞者は、5位を含めてそれよりも成績が悪い人たち、つまり5位・6位・7位・・・の人となってしまいます。最初の文と意味が反対ですね。
このように順位を指して「以内」を使っている場合は、「以下」は「以内」の対義語になります。
「以外」とは
「以外」は次の意味をもつ言葉です。
②(ほかの名詞や動詞の後にくっつけて)それを除くほかの物事(例:自分以外全員風邪をひいている)
まず、「以外」の重要なポイントを確認しておきましょう。ここまでに出てきた「〇〇以内」「〇〇以上」「〇〇以下」は、どれも「〇〇」を含んでいましたが、「〇〇以外」といった場合「〇〇」は含まれません。
「自分以外全員風邪をひいている」といった場合、「自分」は「風邪をひいている人」には含まれませんよね?「〇〇以外」に「〇〇」は含まれないのです。
でも、「以外」にも「以」がつくのになんで?と疑問に思う人もいるでしょうね。
「以外」の「以」も「前に来るものを含む」という意味があることには違いはありません。
「以外」には「ある範囲の外側」という意味があります。「〇〇以外」は、この「ある範囲」の内側に「〇〇」を含んだ、その外側という意味なのです。「ある範囲」の中に「〇〇」が入っているから、その「外側」に「〇〇」は含まれていないのです。
「以内」と「以外」
「以外」は、「以内」を①の「境界も含めたある範囲の内側」の意味で使っているときの対義語になります。
「当店では2,000円~5,000円以内のおもちゃがよく売れている」という文で考えましょう。この場合、売れているおもちゃは、価格が2,000円と5,000円のものも含めて、2,000円~5,000円の間の商品となります。
「以内」を「以外」に変えると、「当店では2,000円~5,000円以外のおもちゃがよく売れている」となります。
「〇〇以外」に「〇〇」は含まれないことをふまえたうえでこの文の意味を考えると、売れているのは価格が2,000円のものを含まず、それよりも安いおもちゃ(1,999円以下のもの)と、5,000円のものを含まないそれよりも高価なおもちゃ(5,001円以上のもの)になります。
「以外」は、「以内」の反対の意味になっていますね。
「以内」と「未満」
「未満」は次の意味をもつ言葉です。
「以内」には「ある基準を含めた、それよりも小さい範囲」という意味がありましたね。「以内」と「未満」の違いは、「以内」は基準になる数を含んでいるけれど、「未満」は基準になる数を含まないことです。
例えば、「イベントの参加人数を施設の収容定員の50%以内におさえる」といった場合、50%を含むそれよりも少ない人数になります。
「以内」を「未満」に変えて、「イベントの参加人数を施設の収容定員の50%未満におさえる」とすると、50%を含まずそれよりも少ない人数におさえるという意味になります。
「以内」と「以降」
「以降」は次の意味をもつ言葉です。
「以内」を使って「A社との5年以内の取引の記録を調べる」といった場合、今年は2022年なので2018年から2022年までの記録を調べるという意味になります。
「以内」と「以降」をそのまま言い換えることはできません。しかし、「以降」を用いて「A社との2018年以降の取引の記録を調べる」といえば、2018年を含めたそれより後の記録になるので、同じニュアンスの文を作ることができます。
「以内」は英語だと?
「以内」を英語で表すときは、次の表現を使えます。
within:(時間、期間、距離、範囲など)以内で、以内に
no later than:~以内に、~よりも遅れることなく、~を期限として
「以内に収める」を英訳したいときは、このうちの「within」を用いて次のように表現するとニュアンスを伝えられます。
make it within~:それを~以内に間に合わせる
「以内」の意味を正しく理解して使おう
「以内」は、「境界も含めたある範囲の内側」と「ある基準を含めた、それよりも小さい範囲」の2つの意味をもつ言葉です。基準を含むかどうかがあやふやになりやすいので、「以内は含む」と覚えておきましょう。
また、ビジネスで「以内」を使用するときは、相手が混乱しないようにわかりやすい表現を心がける必要があります。
「以内」の意味を正しく理解し、上手に使ってください。