キュレーションとはわかりやすく説明するとどんな言葉?
キュレーションの意味は、「情報を選んで集めて整理すること」「収集した情報を特定のテーマに沿って編集し、新たな意味や価値を付与する作業」です。
類語は、「スクリーニング」「アグリゲーション」。
英語で表すときは、「curation」を使います。
キュレーションとはどんな意味?
キュレーションは、次の意味をもつカタカナ語です。
・収集した情報を特定のテーマに沿って編集し、新たな意味や価値を付与する作業
キュレーションは、美術館や博物館、図書館などで働く専門職員や管理責任者を意味するキュレーターがもとになった言葉です。
キュレーターの仕事
キュレーターは、学術的な専門知識をもとに資料の収集、分類、整理、調査研究、保管を行います。
資料をわかりやすく展示し情報発信することや、特定のテーマに沿った企画展を企画し運営することも仕事です。
キュレーターの仕事からIT用語のキュレーションが生まれた
キュレーションは、もともとは前の見出しで紹介したような、美術館や博物館のキュレーターが行う業務全般を意味する言葉でした。
そこから意味合いが広がって、次のような事柄もキュレーションといわれるようになりました。
この意味のキュレーションは、主にIT分野で使われています。そして、インターネット上の情報をキュレーションする人も、キュレーターと呼ばれるようになりました。
IT分野のキュレーションの特徴
キュレーションされた情報は、キュレーターが自分の目でみて必要と判断した情報をもとに構築されています。そのため、プログラムが情報を判断する機械的な検索サービスよりも不要な情報が少なく、効率的な調べ物をしやすいです。
また、キュレーターが異なる情報を結びつけ新たな価値を生み出しているので、その事柄について調べている人にとってより役に立つ情報が多く提供されています。
キュレーションのやり方
IT分野のキュレーションのやり方をみてみましょう。質のいいキュレーションを行うためのポイントも紹介します。
今必要とされているテーマを決める
IT分野のキュレーションは、ユーザーが今必要としている情報を見極め、その情報が必要とされているうちに迅速に発信しなければなりません。
そのため、キュレーションをビジネスとして行うときは、今話題になっている事柄や皆が知りたがっていることが何かを、なるべくリアルタイムで情報収集できる仕組みを整える必要があります。
今必要とされている情報が何か調査できたら、その結果をもとに今必要とされているテーマを決めましょう。
価値のある情報を余さず調べ上げる
テーマを決めたら、その事柄に関する情報を発信しているいろいろなサイトから情報を収集します。このときのポイントは、インターネットのユーザーたちにまだ注目してもらえておらずほかの情報に埋もれてしまった、隠れたためになる情報を見つけ出すこと。
インターネット上には、あまりにもたくさんの情報がありすぎるので、ユーザーがすべての情報を読み込み、価値のある情報を見つけ出すことは不可能です。
そのため、キュレーションでは検索上位に上がってくる情報だけでなく、一般のユーザーの手が届かない部分までしっかり網羅した、役立つ情報を提供することが求められています。
新しい価値のある情報に再編集する
情報収集が終わったら、集めた「価値のある情報」をしっかりと分析し、信頼性や専門性を高めていきます。偏った情報や間違った情報が混じっていないかしっかりと精査し、裏付けを取ることが重要です。
情報の精度を高めたら、キュレーター独自の解釈やほかのサイトにはないオリジナルの視点を加えたうえで、新たな情報として再構築します。専門知識のないユーザーでも理解できるように、読みやすさを意識して情報をまとめることも大切です。
キュレーションでは無断転載はしない、過度な引用は控える、引用元は明記するなど、著作物に関する基本的なルールをしっかり守らなければなりません。情報元のサイトに敬意を払ったキュレーションを行ってください。
キュレーションされた情報の扱い方
キュレーションされた情報を利用する場合は、利用者が情報の正しさや質を見極めなければなりません。
その理由は、キュレーションされた情報の質が一律ではなく、キュレーターのセンスの良し悪しに左右されるため。
IT分野のキュレーターは、美術館や博物館のキュレーターと違い資格制ではありません。その分野の専門家ではない人がキュレーターをしているケースも多いので、提供されている情報が間違っている場合があります。また、著作権を侵害しているものもあるので、情報をそのまま鵜呑みにするのは危険です。
利用者も、正確な情報か確かめる力や、偏った情報によるものでないかを見極める力を身につける必要があります。
キュレーションサイト(キュレーションメディア)とは
キュレーションサイトやキュレーションメディアは、インターネット上の数多の情報をキュレーションしたものを公開しているサイトです。特定のテーマに絞った情報を読みやすいように整理して紹介しています。
サイトによって取り扱われている情報はさまざまで、ニュース系やビジネス系、ライフスタイル系など、いろいろなキュレーションサイトがあります。「まとめサイト」と呼ばれることも。
キュレーションは英語だと?
キュレーションは英語だと、「curation」と表現されます。
「curation」は、カタカナ語のキュレーションと同じようなニュアンスで使えますね。
ただし、キュレーションサイトはそのまま英語に直すと「curation site」ですが、英語圏でこの表現はあまり使用されていません。キュレーションサイトを英訳するときは、「まとめ」や「総括」を意味する「roundup」を使用し、「roundup website」や「roundup blog」と表現することをおすすめします。
キュレーションの使い方を例文で学ぼう
キュレーションの意味や特徴がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でみてみましょう。
・遺跡から発掘された、貴重な資料のキュレーション作業に参加することができた。
・その日のニュースをキュレーションし、わかりやすくまとめた子ども向けの記事を公開している。
・日本の魅力を世界に紹介するキュレーション動画メディアを立ち上げた。
キュレーションの類語・言い換え表現
キュレーションの類語は、「スクリーニング」と「アグリゲーション」です。ただし、完全に同じ意味というわけではなく、ニュアンスに違いもあります。
キュレーションとスクリーニング
まずは、「スクリーニング」の意味と使い方をおさえておきましょう。
・審査
・選考
・ふるい分け
【例文】
この投資情報サイトは、スクリーニング機能を用いて抽出した好業績の銘柄を紹介している。
サイト関連の話で「スクリーニング」といった場合、キュレーションよりも入念に公平な第三者の視点でふるいにかけられた、質のいい情報のみが集められているというニュアンスになります。
キュレーションは、ゴミと評価されてしまういい加減な情報が混じっている場合もあるため、キュレーションにいいイメージを持っていない人もいます。「スクリーニング」は、悪い意味で用いられることはほとんどありません。
キュレーションとアグリゲーション
「アグリゲーション」の意味と使い方も確認しておきましょう。
・集合体
・集約
・凝集
【例文】
アグリゲーション型の旅行サイトを運営する。
サイト関連の話で「アグリゲーション」といった場合、インターネット上でそのテーマの情報を公開している数々のサイトを網羅した、大量の情報をひとつのサイトでまとめて提供することを意味します。
情報に独自性が求められるキュレーションと違い、「アグリゲーション」では情報にそのサイトならではの要素を付け加えることはしません。また、情報元サイトを巡回して行う情報収集は、人ではなくプログラムが担当する場合が多いです。
【おまけ】iPhoneのキュレーションとは
iPhoneのキュレーションは、ユーザーの代わりにスマホに保存されている大量の写真や動画の情報を自動で収集し、使い勝手がいいように整理してくれる機能です。
撮影場所や撮影年月日、被写体の種類、構図の良し悪しなどの情報をAIが自分で読み解き、効率よく管理してくれます。キュレーションのAIは勝手に動いてくれるので、ユーザーは何もしなくても使いやすく整理された状態の写真や動画を楽しめます。
キュレーションの意味を正しく理解しよう
キュレーションは、美術館や博物館、図書館などで働くキュレーターの仕事ぶりがもとになった言葉です。キュレーターは、美術作品などの資料そのものと、その資料を作った制作者に対して常に敬意を払いながら丁寧に仕事をしています。資料をいい加減に扱うキュレーターはいません。
IT分野でのキュレーションも、美術館などで働くキュレーターの仕事ぶりと同じ誠実さが求められます。いい加減な仕事でゴミといわれてしまうことがないように、本来の意味でのキュレーションを行うようにしましょう。