コンソーシアムとはどんな言葉?
コンソーシアムは、「共同体」や「共同事業体」という意味のカタカナ語です。
コンソーシアムの類語には、「ジョイントベンチャー(JV)」や「アライアンス」「パートナーシップ」「アソシエーション」があります。
コンソーシアムを英語で表現したいときは「consortium」を使ってください。
コンソーシアムについて、さらに具体的に紹介していきます。
コンソーシアムの意味は「共同体」
コンソーシアムは、次のような意味で使われます。
・共同事業体
・組合
・連合
・協会
コンソーシアムは複数の個人や企業、団体、国、自治体などが何かの目的を目指して共同で活動を行ったり、資金を蓄えたりするために結成します。
コンソーシアムと法人格
営利目的でコンソーシアムが結成される場合、参加メンバーは契約を交わし、契約書にはメンバーそれぞれの権利と義務を明記します。
ただ、そのようにして結成されたコンソーシアムでも、法人格を有するとは限りません。任意団体として活動しているコンソーシアムもあります。
コンソーシアムの英語と語源
コンソーシアムを英訳するときに使える英単語は「consortium」です。
・合弁企業
・共同体
・(国際)借款団(しゃっかんだん):融資グループのこと
・(国際)協会
・配偶者権:法律的な配偶者の権利のこと
カタカナ語のコンソーシアムは、配偶者権という意味では使われません。コンソーシアムと「consortium」は、完全にイコールではないので注意しましょう。
「consortium」は、「パートナー」という意味のラテン語「consors」が語源です。さらに、「consors」は、「con(一緒に)」と「sors(運命)」を組み合わせてできた単語。
運命を共にするパートナーが「consortium」の本質です。
コンソーシアムでの新しいものの作り方
自分にはないノウハウ・運営実績・知名度などをもっていて、さらに同じ理念で活動できるパートナーと共同作業できるのがコンソーシアムの強みです。
コンソーシアムでは、どのようにして新しいものを作りだすのか、簡単な例でみていきましょう。
各々技術や資金など出せるものを出し合う
コンソーシアムは、参加メンバーそれぞれが持つ技術や資金などを出し合って運営されます。
・技術力のある中小企業が大企業と組む場合、中小企業が技術力を出し、大企業は資金やネームバリューを提供する。
・技術力がある企業同士が組む場合、お互いに技術力や資金を出し合う。
・複数の大学が組み、研究成果や研究施設を出し合う。
・複数の銀行が組み、巨額の資金が必要な大きなプロジェクトのための資金を出し合う。
このようにメンバー各々が資金や技術を出し合うことで、単独では不可能な大規模な研究や実験も可能になります。
コンソーシアムで生み出されたものはメンバーに還元される
コンソーシアムで得られた成果はメンバーに還元され、各々のビジネスや研究に役立てることができます。
そして、ビジネスで得られた利益の一部はまたコンソーシアムに提供され、さらにいいものを生み出す活動が続けられます。
他者のアイディアを借りることもできる
コンソーシアムは、「こんなものが欲しい」「こんなことがしたい」などのニーズを相談する場にもなります。
メンバーがアイディアを出し合い、大勢の知恵でそのニーズを実現する方法を探れます。
誰かの相談に乗ることは自分のためにもなるので、無駄な労力にはなりません。
例えば、気づいていなかったニーズを知れたり、自分の会社では使い道を見出せなかった技術の思いがけない使い道がみつかったりするケースもあります。
コンソーシアムにはデメリットも
コンソーシアムにはたくさんのメリットがありますが、いいことばかりではなくデメリットもあります。
・業務分担の調整が難しくなる
・利益配分の話し合いでトラブルが起こる恐れがある
・リスク分担で意見が分かれ調整が難しくなる
コンソーシアムを立ち上げるときには、デメリットを小さくできるかよく検討してください。
コンソーシアムと契約する側にもデメリットはある
コンソーシアムには、法人格を有しないものもあります。法人格を有しないコンソーシアムは、法的な責任者が明確ではありません。
法的な責任者がはっきりしないということは、投資しても何も得られず、損して終わる可能性もあるわけです。
リスクを避けるため、法人格を有しないコンソーシアムと契約するときは、法人格を有するコンソーシアムの代表法人と契約するようにしましょう。
コンソーシアムの使い方を例文で学ぼう!
コンソーシアムの意味がわかったら、ビジネス会話での使い方を例文でイメージしてみましょう。
・コンソーシアムでの活動を通じ、業界全体の発展を目指す。
・コンソーシアムを構築し、産学官の共同研究を行う。
・優れた技術力をもつ町工場が集い、コンソーシアムを発足した。
産学官は、民間企業や教育・研究機関、国・地方公共団体の三者を指す言葉です。
コンソーシアムの類語
コンソーシアムの類語には、「ジョイントベンチャー(JV)」「アライアンス」「パートナーシップ」「アソシエーション」があります。
それぞれの意味やコンソーシアムとの違いもおさえておきましょう。
コンソーシアムとジョイントベンチャー(JV)の違い
ジョイントベンチャーの意味は「合弁会社」。JVと略して書く場合もあります。
ジョイントベンチャーは複数の会社が出資して立ち上げ、共同で運営する企業形態です。対等な立場で協力することでお互いの弱点を補完し、相乗効果を生み出し、会社としての利益を出すのが目的。その利益は株主に還元されます。
コンソーシアムとジョイントベンチャーの狙いは似ていますね。
しかし、コンソーシアムは会社の発足を目的にしていません。また、コンソーシアムは、株主のために利益を追求することを目的とする団体でもないところが違います。
コンソーシアムとアライアンスの違い
アライアンスは、利害が一致する企業が互いの利益のために自社の独立性を維持したまま、業務提携することを意味します。
コンソーシアムはライバル企業とも協力する場合があり、利害が一致する企業のみが組むアライアンスよりも和やかな連携です。
コンソーシアムとパートナーシップの違い
パートナーシップは、単独では実現できない特定の事業を共同で行うために、その事業の関係者や関係機関が連携・協力する仕組みやその連合体です。
コンソーシアムは、異業種や異なる組織どうしで共同して事業を行う団体。パートナーシップのほうが何のために共同するのか目的がはっきりしています。
パートナーシップは、英国や米国で許可されている日本の合資会社や合名会社に近い共同企業の形態を意味することもあります。コンソーシアムは共同企業を意味する言葉ではないため、この意味でも違っています。
コンソーシアムとアソシエーションの違い
アソシエーションは、同じ目的や関心を持っている人々が、自発的に集まってできた集団や組織。
コンソーシアムと同じような意味ですが、使い分けすることもあります。
立場や属性などが共通している人の集まりをアソシエーション、目的や利害は共有しているが、立場は異なる主体が集まるものをコンソーシアムということが多いです。
コンソーシアムにビジネスチャンスが隠れている!
大学や自治体、ほかの企業など、立場が異なるものと共同で目的達成を目指せるのがコンソーシアム。ときにはライバル企業とも協力することさえある和やかな団体です。
コンソーシアムで異なる立場の他者と意見を交わすと、思わぬ新ビジネスをみつけられるかもしれませんよ。
コンソーシアムについて正しく理解し、機会があったら参加を検討してみましょう。