ディティールとはどんな言葉?
ディティールの意味は、「細部、詳細、細かな点」です。
類語は「ポイント」。日本語の「事細かに」や「委細」も、ディティールの類語です。
英語で表すときは、「detail」を使います。
ディティールとはどんな意味?
ディティールは、次の意味をもつカタカナ語です。
物事や状況の全体像のなかの一部である、「細かい部分」をディティールといいます。外郭に対する、そのものを構成している「中身・内容」を考えると、ディティールのニュアンスをイメージしやすいですよ。
「細かい部分」とはいっても小さいものとは限りません。全体のなかの小さい一部分を指している場合もあれば、全体とそれほど大きさの変わらない部分に対してディティールを使う場合もあります。
ディティールは、ディテールやデテール、デティールと表記されることもあります。どの読み方を使っても間違いではないですが、どっちかというとディテールが使われるケースが多いです。
分野ごとのディティールの意味
ディティールは、「細部、詳細、細かな点」の意味を基本にし、分野ごとに異なる意味で使われています。それぞれの分野での意味もおさえておきましょう。
ビジネスでのディティールの意味
ビジネスでのディティールの意味は、予定や計画などあらゆる物事の詳細。プロジェクトや業務、スケジュールなど、いろいろな事柄に関する詳細をディティールといいます。例えば、次のようなものがディティールです。
ただし、職場の会話でこの意味のディティールが用いられるケースはあまりありません。誰かがディティールといったときに意味がわからないと困るので、頭に入れておく必要はありますが、自分で使うかどうかは社風に合わせるのが無難。
ディティールを使用するのは周囲の人の会話をよく聞いて、ディティールがビジネス用語として使われている会社なのか、下調べしてからにするのがおすすめです。
製薬業界でのディティールとは
製薬業界でのディティールは、MRと呼ばれる製薬会社の営業マンが、医師や薬剤師に対して個別に自社で扱う薬の詳細情報を提供し、薬を宣伝する営業活動のことです。
病院や調剤薬局を直接訪問してのディティールに対して、MRが電話やオンラインを使ってリモート営業するのは「遠隔ディテール」と呼ばれます。「遠隔ディテール」は、新形コロナの影響もあって増えています。
また、製薬会社が運営する医療従事者向けのWebサイトなどのシステムを使って情報を提供する、「eディテール」も行われています。「eディテール」と「ディティール」「遠隔ディテール」の違いは、医療従事者に対して個別ではなく一斉に情報発信することと、MRを介さずに行われるところ。
「eディテール」は、MRが行う「ディティール」や「遠隔ディテール」をサポートするツールとして、今後活用が増えていくと考えられています。
ファッション業界でのディティールとは
ファッション業界でのディティールは、衣服の全体像に対する衿やポケット、カットの仕方、ステッチ、ボタンなどの細かい部分のこと。洋服だけでなくバッグ、靴、帽子などさまざまなファッションアイテムで使われる言葉です。ディティールには、デザイナーの価値観やこだわりが込められています。
ディティールは、そのファッションアイテムをパッと見たときの印象には影響を与えないことも多いです。しかし、よく見るとそのアイテムの特徴となり、類似品との差別化を図るときに重要になってきます。
また、ディティールはデザインの良し悪しだけでなく、着心地や耐久性にも影響を与えます。
建築業界でのディティールとは
建築業界でのディティールは、「建築物の詳細、細かな部分」または、「建物全体を記した図面では表現しきれない細かい部分の施工法を別に示した詳細図」のこと。
「建築物の詳細、細かな部分」の意味でのディティールは、次の2つの意味合いで使われます。
ひとつ目の意味は、建築物のデザインを構成する建築様式や装飾部分、内装、インテリアなど、見た目の良し悪しを決める細かい部分のこと。
2つ目は、建築物の機能や構造を決める技術面での詳細のこと。防水性、断熱性、防音性、耐久性など建築物の性能はこの意味のディティールによって決まります。
「詳細図」のディティールとは、部屋ごとの設計図や備え付けの家具の配置を示す図面、構造を表した図面などのことです。
インテリアでのディティールとは
インテリアの話でのディティールは、「使われている素材の質感、色味、細かい部分のデザイン、細工」など、ものの詳細のこと。
家具や雑貨のディティールには、そのものをデザインしたデザイナーが考えた世界観やコンセプト、こだわりが込められています。
インテリアを考えるときは、家具や雑貨をそれぞれ単体で見るのではなく、複数のアイテムを室内を構成している床や壁、天井、照明器具などとも組み合わせて、部屋全体のイメージを作っていきます。
そのためインテリアのディティールには、一つひとつのアイテムの詳細だけでなく、部屋全体として見たときの見え方の詳細も含まれています。
美術・芸術分野でのディティールとは
美術・芸術分野でのディティールの意味は、「細部」「細部の描写」「細部の表現方法」。
とくに「主要なものではないけれど、全体として見たときに作品の質や存在感を高めるために、こだわらなければならない重要な部分」や、「作品の仕上げ時に描かれる細かい部分」をディティールと呼ぶ場合が多いです。
絵画や彫刻などの美術作品のほか、イラストやCG作成の話、ダンスの振り付けの話などでもこの意味のディティールが使われます。
カメラでのディティールとは
カメラの話でのディティールは、「写真の被写体や画像の細かい部分の表現の具合」や、「精密な描写」を意味します。
ディティールは、カメラの機能の話題で使われるケースが多いです。
カメラ機能のディティールは、ものの輪郭など写真のなかの輝度差のあるところに輪郭線をつけ、その濃淡をコントロールする機能のこと。ディティール(輪郭線)を薄くすると柔らかい質感の写真になり、ディティール(輪郭線)を濃くするとシャープな印象の写真に仕上がります。
ディティールは英語だと?
ディティールは英語だと「detail」と表記されます。
②(全体を構成する個々の要素の)一つひとつ、あらゆる点
③(全体を構成するすべての要素の集合としての)詳細、全体
④(建築や芸術作品の)細部
⑤(全体と比較して)重要でないささいな点、つまらないこと、枝葉末節
⑥(軍や警察の)特殊任務部隊、選抜部隊
⑤の「重要でないささいな点、つまらないこと、枝葉末節」と⑥の「特殊任務部隊、選抜部隊」の意味は、カタカナ語のディティールにはない意味です。和訳するときは注意してください。
ディティールの使い方を例文で学ぼう
ディティールの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・このミニカーは、ディティールまでしっかり再現されている。
・着心地、使い勝手、ディティールのバランスを追求したスーツを販売する。
・ディティールにこだわった住宅を設計する。
・このビルは、近未来的なスタイルのディティールで注目を集めている。
「ディティールが細かい」という言い回しが使われることもありますが、これは「ディティール」に含まれる「細部」の意味と、「細かい」の意味が重なっているため間違った表現です。
ディティールの類語・言い換え表現
ディティールの類語は「ポイント」です。また、日本語の「事細かに」や「委細」も、ディティールと同じような意味をもっています。
要点。肝所 (かんどころ)
【例文】
イベントの注目ポイントを紹介する。
こまごまとくわしく。つまびらかに。詳細に
【例文】
打ち合わせの内容を事細かに報告する。
くわしいこと。こまごましたくわしい事情
【例文】
委細はお配りしました資料にてご確認ください。
ディティールの意味を読み取ろう
ディティールの意味は、「細部、詳細、細かな点」。ここからニュアンスが広がって、ディティールはそれぞれの分野で、異なるものを意味する言葉として使われています。
分野ごとの意味もおさえておき、文脈から正しくディティールの意味を読みとれるようになりましょう。