リベラルアーツとは?大学、ビジネスでの意味の違いや使い方もわかりやすく解説

「リベラルアーツ」とは「一般教養」のこと

「リベラルアーツ」をひと言で表すと「一般教養」になりますが、主に、大学で専門に別れる前に学ぶ一般教養や、現在の仕事には直接関係ない分野の勉強をすることを指しています。現代では学校以外の場所で取り入れる場合もあるので、言葉の意味や内容を覚えていたほうが賢明です。

本記事では、語源やビジネスシーンでのリベラルアーツのほか、英語、会話での使い方、類語、言い換えなどについてもわかりやすく解説します。

「リベラルアーツ」の英語は「liberal arts」

リベラルアーツを英語で表すと「liberal arts」で、次のような意味をもつ言葉として使われています。

・自由科目
・(大学の)一般共用教育

日本でカタカナ用語として使われている意味とほぼ同じですが、「liberal arts」を使った熟語も少し紹介しておきます。

・liberal arts college/college of liberal arts(教養学部)
・liberal arts course(教養過程)
・have better grades in liberal arts
(一般教養科目のほうが成績が良い)

なお、英語圏においての「liberal arts」は、「Humanities=人文科学」「Social sciences=社会科学」「Natural sciences=自然科学」という3種類の分野に分かれており、これらの中には美術・歴史・数学などの教養も含まれます。特に専攻したい分野がない英語圏の学生は、総合的な知識を身につけられる「liberal arts」を専攻する人も少なくありません。これは、英語圏で学ぼうとしている留学生も例外ではないため、仕組みはしっかりと覚えておくことをおすすめします。

「リベラルアーツ」の語源・意味

「リベラルアーツ」は、古代ギリシャの自由人の、「専門的な知識を学ぶ前に、文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽の七科目は身につけておくべき」という思想がもとなっており、この七科目は「自由七科」と呼ばれています。

現代では、大学の学士課程において、「人文科学」「社会科学」「自然科学」の基礎的な分野を教育・研究するためのプログラムを指していることが多いです。

ビジネスシーンでも取り入れられる「リベラルアーツ」とは

「リベラルアーツ」は、主に大学生が取り入れる教育課程を指していますが、日本企業においても、専門分野の知識を身につけるだけではなく、広い視点で物事を見たり、さまざまな考え方ができるような人材が必要ということで、社内研修で思想、哲学などについて討論するといったプログラムを取り入れるところがあります。

大学生と違い、社会人のリベラルアーツとは、幅広い知識を身につけ、自分の引き出しを増やすための学びを指します。全体の研修で学ぶのはもちろんのこと、個人的に「経理業務につきながら法務や人事関係の法律を勉強する」「営業をしながら開発者を目指して技術の知識を身につける」といった学びも「リベラルアーツ」です。

「リベラルアーツ」の使い方・例文

「リベラルアーツ」は日常的に使う言葉ではありませんが、わかりやすい例文を紹介しておくので、使うことがあった際の参考にしてみてください。

例文

・当社も従業員に幅広い知識を身につけてもらうためリベラルアーツを導入しようと考えている。
・彼はアメリカでリベラルアーツ学部でいろいろ学んだからなのか、どんなことでもよく知っている。
・日本の教育も、専門分野にとらわれず、リベラルアーツ
を取り入れるべきだと思う。

「リベラルアーツ」の類語・言い換え

「リベラルアーツ」を日本語で言い換える場合は、「一般教養」「一般教養科目」のほか、自由七科と呼ばれている、文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽に対する言い換え表現も対象となります。

リベラルアーツの言い換え表現

・一般教育課目
・一般教養科目
・教育課程
・応用天文学
・X線天文学
・高エネルギー天文学
・美辞学
・音楽修辞学
・民族音楽
・民衆音楽
・音響芸術 など

これらのほかにもまだあるため全部は紹介しきれませんが、自由七科の応用科目も「リベラルアーツ」に含まれます。

「リベラルアーツ」と「一般教養」の違い

リベラルアーツの意味として「一般教養」をあげているため、まったく同じだと捉えるかもしれませんが、厳密には考え方に違いがあります。大学で、専門に分かれる前に受ける「一般教養過程」とは、さまざまな分野の基本的な知識を身につけることを目的にしています。簡単にいえば、専門を学ぶための前段階の学習です。

一方、リベラルアーツは、スキルアップのために、多種多様の知識を身につけることを指しています。つまり、何を目的に学ぶか、といった点で違いがあるわけです。

「リベラルアーツ」と「総合大学」の違い

「総合大学」とは、人文、社会、自然、医療系の4つの領域の学部を保有している大学を指しており、「医科大学」「音楽大学」など1領域の大学は「単科大学」といいます。さまざまな分野について学ぶということで、「リベラルアーツ=総合大学」と勘違いする人がいるかもしれません。しかし、リベラルアーツは、特定の分野に偏らず、幅広い分野について学ぶことを指すので、総合大学とは意味が異なります。

なお、近年では「リベラルアーツ学部」を設ける大学もあるようですが、「教養学部」との違いはほとんどないので、併せて覚えておきましょう。

増えつつある大学のリベラルアーツ教育

大学に進学する時点でも、どんな知識を身につけたいのか、将来何をしたいのかが決まってない学生は多いもの。最近では、多くの大学でリベラルアーツ教育を取り入れているので、大学選びの際に参考にしてみるのもいいでしょう。

「リベラルアーツ 大学」で検索すると、対象の大学がいろいろ出てきますが、株式会社さんぽうが運営する「大学Times」には「リベラルアーツを取り入れている大学一覧」として掲載されているので、そちらをチェックするのもおすすめです。大学によっては、学部・学科名に「リベラルアーツ」の名前が入っていない場合もありますが、その場合は内容欄をしっかりと呼んでみてください。
(情報元:大学Times リベラルアーツを取り入れている大学一覧

「リベラルアーツ」の正しい意味を理解しよう

これから大学へ進む人や、留学を考えている人は、学ぶ分野を選択するにあたり、「リベラルアーツ」の意味やあり方はしっかり覚えておく必要があります。また、社会人の人でも会社によっては知識の習得の観点からリベラルアーツを取り入れるところも増えているので、「なんのための講習?」と疑問をもたないためにも意味は理解しておきましょう