クライシスとはどんな言葉?
クライシスの意味は、「危機。重大局面」「経済上の危機。恐慌」です。
類語は、「デンジャー」「クリティカル」。
英語で表すときは、「crisis」を使います。
クライシスとはどんな意味?
クライシスは、次の意味をもつカタカナ語です。
・経済上の危機。恐慌
危機というと悪いことをイメージする人が多いですが、すべてが悪い方向に進むわけではありません。
クライシスは、この先悪い方向に向かうのか、いい方向に向かうのかを決める重大な分かれ道という意味があります。悪い方向といい方向どちらに進むのかわからない、ピンチとチャンスをあわせもっているのがクライシスです。
クライシスは英語だと?語源は?
クライシスは英語だと、「crisis」と表記されます。
・(重要な変化が起きる)転機、岐路、決定的段階、重大局面、運命の分かれ目
・(病気の)峠、転換点
・(物語中の)危機的場面
インド・ヨーロッパ祖語の「krei-」が、「crisis」の語源といわれています。「krei-」の意味は、「ふるいにかける」「区別する」です。
「krei-」から古代ギリシア語の「krī́nō(決定する)」に変化し、「krī́nō」に「-sis(こと)」をつなげて「krísis(決定、判決、裁判)」という言葉が生まれました。
何かの「運命を決めるような状況」が、「crisis」の意味の核になっています。
医療・看護分野でのクライシスの意味
医療・看護分野でのクライシスの意味は「病気の危機的峠」です。急性悪化や発作など、病状が急激に悪化し、危険な状態に陥ることを意味します。
また、ヒトの初代培養細胞を長期にわたって繰り返し継代培養していると、細胞の老化により徐々に増殖能力が低下していき、最後には細胞分裂が停止し死に絶える現象もクライシスと呼ばれます。
継代培養とは、初代培養細胞を一部採取し、新しい培養容器に移し替えて、継続して培養すること。
心理学分野でのクライシスの意味
心理学分野でのクライシスの意味は、「人生における危険要素に直面した人が陥る一定期間の心理的不均衡」です。
人生における危険要素とは、例えば次のようなものが挙げられます。
・性暴力、傷害、強盗、空き巣、詐欺などの犯罪に巻き込まれること
・事故や病気
・家族や恋人などとても親しい人間の死
・入学や卒業、就職、転職、結婚など人生の大きな過渡期、分岐点
このような出来事に直面したとき、人は強い不安や困難を感じ混乱状態に陥りながらも、今まで自分が問題解決に使っていた方法で問題を解決しようと試みます。今まで問題解決に使っていた方法とは、例えば家族に相談し、一緒に考えてもらうなどのことです。
その方法で解決できればいいですが、うまくいかなかった場合は新たな方法を模索し、いろいろなことを試さなければならなくなります。さまざまなことを試してみても、なかなか解決できない困った状況におかれたときに、人はクライシスに陥りやすいといわれています。
クライシスといわれるのは、一定期間でなんとか解決策を見つけ、心の不均衡を解消できたとき。その期間は、6週間〜8週間程度が一般的といわれています。適切な解決策を見つけられない場合は、長期的な心の不調につながってしまうケースがあります。
覚えておきたいクライシスの関連語
クライシスは、ほかの言葉とくっつけて使われることも多いです。ビジネスに関係する関連語もたくさんあるのでおさえておきましょう。
クライシスコミュニケーションとは
クライシスコミュニケーションとは、企業に大きなダメージを与えかねない緊急事態が起こってしまったときに、最小のダメージで危機を切り抜けるために企業が行う、対外的なコミュニケーション活動のこと。
隠ぺいを疑われないように、一般消費者やメディア、地域住民、取引先、株主、投資家など企業を取り巻く利害関係者が必要としている情報が何かを把握し、求められている情報を誠実に過不足なく開示しなければなりません。
情報開示は、メディアの取材や記者会見で行われることが多いです。そのため、クライシスコミュニケーションではメディア対応が重要になります。
クライシスマネジメントとは
クライシスマネジメントとは自然災害やテロ、危険な感染症の流行など、企業の存続が危ぶまれるほどの大規模な危機が必ず起こると考え、そのような危機が発生したときにどう対応するかを事前に検討しておくこと。
初期対応に失敗して被害を拡大させ二次被害を受けてしまう、最悪の事態を回避し、平常時状態になるべく早く戻せるようにするのが目的です。
人材、機械、設備などを動かせない状態になっていると覚悟したうえで、初期対応から復旧まで、どのような対応をするかを考えておきます。
デジタル・クライシスとは
デジタル・クライシスとは、デジタル領域で発生する重大な危機の総称です。
炎上や不正転売、ネットいじめ、リベンジポルノなど、デジタル領域で起こる重大なトラブルがすべて含まれます。
デジタル・クライシスは、企業の株価や売上、採用などに多大な悪影響を与えてしまうため、予防・対策が重要といわれています。
サイレントクライシスとは
サイレントクライシスとは、難民問題や食糧危機など、深刻な状況になっているにもかかわらず報道されていない、人々に知られていない危機のこと。
世界の関心が向けられないことで、食料援助などの必要な支援や対策を受けられなくなってしまい、問題がさらに深刻化してしまう恐れがあるといわれています。
食糧クライシスとは
食糧クライシスとは、ある地域に住む人々が手に入れられる食料が、その地域に住む人々を生存させるために必要とされる量よりも少なくなってしまうこと。
戦争や紛争、気候危機、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済的な影響などにより、食料の価格が高騰することで、貧しい人々が食料を買えなくなり飢餓状態に陥ってしまうことをいいます。
食糧クライシスは、自給率の低い途上国でとくに深刻化しやすいです。
コロナクライシスとは
コロナクライシスとは、新型コロナウイルス感染症によって引き起こされるさまざまな危機のこと。
英語の「corona crisis(コロナ危機)」が、そのままカタカナ語になった言葉です。
クライシスアクターとは
クライシスアクターとは救急隊員や消防隊員、警察官などの訓練に現実味を加えるため被害者役として防災訓練に参加し、災害や事件で負傷した風に演じる俳優やボランティアなどのことです。
被害者の親族や、被害を取材に来たジャーナリストを演じるクライシスアクターがいる場合もあります。
また、陰謀論者によって「実際にはなかった事件の嘘の被害者を演じるもの」という意味で、クライシスアクターが使われるケースもあります。
クライシスプランとは
クライシスプランは統合失調症、双極性障害、うつ病といったこころの不調の治療の話で使われる言葉です。
患者さんが退院後に再び危機的状況に陥ってしまったときにどう対処するか、入院中にまとめた計画表をクライシスプランと呼びます。事前に対策を立てておくことで、退院後の再発を予防するのが狙いです。
患者さんと看護師で、次のような事柄について検討しまとめます。
・調子が悪くなるのはどういうときか。注意が必要なときはどう対処するか。支援者にどうしてもらいたいか
・調子が悪いときはどういうときか。辛いときはどう対処するか。支援者にどうしてもらいたいか
クライシスは娯楽の分野でも使われている
クライシスは、娯楽の分野でもたくさん使われています。気になるクライシスがないかみてみましょう。
クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン
「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン」は、2007年に発売された人気アクションRPG「クライシス コア –ファイナルファンタジーVII-」のリメイク版です。
HDリマスターを超えた改良が多々加えられた進化版で、遊びやすさも向上しています。
クライシス・ウィング
「クライシス・ウィング」は、懐かしさを感じられるクラシック・シューティングゲームです。
初心者でも楽しく遊べるように作られています。スキルの限界に挑戦できる上級者向きの要素も含まれているので、遊び込めるゲームが好きな人にもおすすめです。
CRISIS公安機動捜査隊特捜班
「CRISIS公安機動捜査隊特捜班」は、小栗旬さんや西島秀俊さんをはじめとする強力キャストで話題を集めた、フジテレビ系のアクション刑事ドラマです。2017年に放送されました。
最終回のエンディングがストーリーの続きをにおわせるものだったため、続編を期待する声も多いですが、今のところシーズン2や映画化の発表はありません。
アフター・クライシス
「アフター・クライシス」は、ロンドン市内でテロリストが仕掛けた核爆弾が爆発した後の惨劇を描いたサバイバルホラー映画です。
ストーリーでは、政府の閣僚たちは核シェルターに逃げ込んでいたため、爆弾の爆発からは生き延びることができました。しかし、核で汚染され崩壊した街には、被ばくの影響でミュータントになった囚人たちが刑務所から逃げ出しており、生き残った人々を襲い始めます。
人々は生き残れるのか、続きが気になる人はぜひ観てみてください。
マンティス▽クライシス
「マンティス▽クライシス」は、日本の歌手 しゅーず氏が発表した楽曲です。
「マンティス」は英語でカマキリのこと。「マンティス▽クライシス」は、「カマキリの危機」という意味です。
カマキリのメスは、交尾が済むと産卵に必要な栄養を補給するためオスを食べてしまいます。「マンティス▽クライシス」は、メスのカマキリのように男性を狙う、性欲旺盛な女性の歌です。
クライシスの使い方を例文で学ぼう
クライシスの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・物流クライシスを回避すべく対策に乗り出す。
・息子へのクリスマスプレゼントとして、Switch版のクライシスコアを注文した。
例文に出てきた「宅配クライシス」は、宅配に対するニーズの大きさに対してドライバーの人数が不足することで物流が滞り、宅配サービスの体制を維持できなくなる危機を意味します。
クライシスの類語・言い換え表現
クライシスに意味が似ているカタカナ語には、「デンジャー」と「クリティカル」があります。類語の意味や使い方も頭に入れておきましょう。
危険
【例文】
身近なデンジャーな生き物を紹介し、注意を促す。
・重大なさま。危機的
・批判的
【例文】
クリティカルなトラブルが発生した場合の対応を決めておく。
クライシスの意味を頭に入れておこう
クライシスの意味は、「危機。重大局面」「経済上の危機。恐慌」です。別の言葉と組み合わせて熟語として使うことも多く、記事で紹介した関連語のほかにもたくさんの関連語が世の中で使用されています。
クライシスの意味を頭に入れておき、知らない関連語に出会ったときに意味を予測できるようになりましょう。