「とりとめのない」の意味とは?使い方の例文や類語、英語も解説

「とりとめのない」とはどんな言葉?

「とりとめのない」の意味は、「まとまりがない」「とくに重要ではない」です。

類語は、「たわいない」「取るに足らない」「四方山話」「支離滅裂」「漠然と」。対義語は、「理路整然」「筋の通った」「首尾一貫」「重要な」「有意義な」です。

英語で表すときは、「discursive」などの単語を使います。

「とりとめのない」とはどんな意味?漢字では?

「とりとめのない」は、次の2つの意味で使われる日本語です。

とりとめのない
①まとまりがない
②とくに重要ではない

「とりとめのない」は、議論や会話などの内容を指してよく使われます。内容が整理されておらず筋道がないときや、目的がはっきりしていないとき、内容がとくに重要ではないときに用いられるのが一般的です。

漢字では、「取り留めのない」や「取り留めの無い」と表記します。

「とりとめのない」の言い回し

「とりとめのない」は、「とりとめのない〇〇」の形で用いられることが多いです。よく使われる「とりとめのない」の言い回しと、その意味をおさえておきましょう。

とりとめのない話・とりとめのない会話

「とりとめのない話」と「とりとめのない会話」は、「とくに重要ではない」の意味で「とりとめのない」を使用している表現です。

「世間話」や「普段のなんてことのない会話」「息抜きの雑談」などの意味で使われます。「とくに重要ではない話」ものんびり楽しめる平穏さや、話す相手との関係の良好さを好意的に受け止める意味合いで使用されることが多いです。

しかし、ネガティブなニュアンスで用いられるケースがまったくないわけではありません。「話す価値のないくだらない話」の意味で「とりとめのない話」や「とりとめのない会話」を使い、そのような話をするのはけしからん、無駄だなど、マイナスの意味合いを表す場合もあります。

とりとめのない事を言う

「とりとめのない事を言う」は、「まとまりがない」の意味で「とりとめのない」を使った表現です。「発言の内容が整理されていない」「そのような発言をする意味がわからない」などのニュアンスになります。

この表現は、もっぱら話している相手の考えが足りないことを批判する、ネガティブな意味合いで使われます。

とりとめのない文章

「とりとめのない文章」の意味は、「まとまりのない文章」です。

「内容が整理されておらず筋道がない文章」や「目的がはっきりしていない文章」など、言いたいことがわかりにくい文章が「とりとめのない文章」といわれます。

そのほかにも、文章の内容は悪くないけれど書式がバラバラで統一感のないものも、「とりとめのない文章」に含まれます。

とりとめのない人

「とりとめのない人」は、「話にまとまりがなく言っていることがわかりにくい人」や「つかみどころがなく何を考えているのかわからない人」という意味です。

ネガティブなニュアンスで用いられる表現のため、使うときには気をつけてください。

とりとめのない存在

「とりとめのない存在」の意味は、「無価値な存在」です。「とりとめのない人」に字面は似ていますが、「とりとめのない人」よりも強く対象の人物を否定する言葉のため、うっかり使うと大変なことになりかねません。

「とりとめのない人」と間違えて使用することがないように注意してください。

とりとめのない日常

「とりとめのない日常」は、「とくに重要ではない」の意味で「とりとめのない」を使っています。

特段変わったこともなく、重要な予定もない「いつも通りの日々」を意味する表現です。

「穏やかな日々」というニュアンスでポジティブに用いられる場合と、「退屈な日常」というネガティブな意味合いで使用されるケースのどちらもあります。

「とりとめのない」の使い方を例文で学ぼう

「とりとめのない」の意味やよく用いられる言い回しがわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
とりとめのない考えを巡らせる時間が好きだ。
・晩年の祖母と二人で暮らした日々は、とりとめのないけれど大切な時間だった。
・職場の先輩たちととりとめのない会話ができる人間関係を、ようやく構築できた。
・いつまでも話し続ける客のとりとめのない話で、時間を無駄にされた。
とりとめのないは、魯迅の「故郷」や芥川龍之介の「羅生門」など、小説でもよく使われています。

「とりとめのない」の類語・類義語・言い換え表現

「とりとめのない」は、次のような日本語に言い換えることができます。それぞれの意味や使い方を頭に入れておきましょう。

たわいない
【意味】
・酒に酔ったり、寝入ったりして正体がない。正気がない。しまりがない
・考えにしっかりしたところがない。幼くて思慮分別がない
・手ごたえがない。張り合いがない

【例文】
初めて会った人ばかりだったが、たわいない会話ですぐに打ち解けることができた。

取るに足らない
【意味】
・問題として取り上げる価値もない
・つまらない
・ささいなことである

【例文】
長く取るに足らないと考えられていたものに、大きな価値があることが発見された。

四方山話
【意味】
種々雑多な話。世間話。雑談

【例文】
仲間内で四方山話を楽しむ宴を定期的に開催している。

支離滅裂
【意味】
物事に一貫性がなくばらばらで、まとまりのないこと。筋道が立たないで、めちゃくちゃなこと。そのさま

【例文】
彼の話は支離滅裂になることが多い。

漠然と
【意味】
・まとまりのないさま。ぼんやりとしてはっきりしないさま。つかまえどころのないさま
・広くてはてしのないさま

【例文】
いつか自分の会社を立ち上げたいという漠然とした思いを、形にするべく動き出した。

「とりとめのない」の対義語

「とりとめのない」の対義語も一緒に覚えておきましょう。

理路整然
【意味】
きちんと筋道の立った話し方や文章の組み立てのこと

【例文】
彼の説明はいつも理路整然としている。

筋の通った
【意味】
・方針や考え方が一貫しており、最初から最後まで変わらないこと
・理屈が道理にかなっていること。合理的と思われること

【例文】
筋の通った説明を心がける。

首尾一貫
【意味】
・初めから終わりまで態度や方針が、ずっと同じで変わらないこと
・意見や主張などをひとすじに貫いて、矛盾がないこと

【例文】
首尾一貫したメッセージを発信し続ける。

重要な
【意味】
物事の根本、本質、成否などに大きくかかわること。きわめて大切であること。そのさま

【例文】
会合では、重要な議論が交わされている。

有意義な
【意味】
意義がある。意味がある。価値がある

【例文】
有意義な時間を過ごすことができた。

「とりとめのない」は英語だと?

「とりとめのない」を英訳するときは、次の単語が使えます。

「とりとめのない」の英語
discursive:散漫な。とりとめのない。推理的な
rambling:ぶらぶら歩く。そぞろ歩きする。散漫な。とりとめのない。まとまりのない
wandering:歩き回る。放浪する。さまよう。結論が見えずにまとまらない
pointless:つかみどころのない。要領を得ない。無意味な。よくわからない
incoherent:つじつまの合わない。まとまりのない。首尾一貫しない、支離滅裂な

伝えたいニュアンスに近い単語を選んで使用してください。

「とりとめのない」の意味を読み取れるようになろう

「とりとめのない」は、「まとまりがない」と「とくに重要ではない」の2つの意味をもつ言葉です。

「とりとめのない〇〇」の形で使われることが多いですが、言い回しによって意味合いが変わってくるので、ニュアンスを読み取れるようになる必要があります。

よく用いられる言い回しを覚えておき、正しく解釈できるようになりましょう。