「前略」の意味とは?引用での使い方、手紙での使用法を解説

「前略」とはどんな言葉?

「前略」の意味は、「文章の前の部分を省略すること」「冒頭の時候のあいさつなどを省くという意味で用いる頭語」です。

類語は「冠省」。

英語で表すときは、「I hasten to inform you that」「Just a line to tell you that」を使います。

「前略」とはどんな意味?読み方は?

「前略」の読み方は、「ぜんりゃく」です。次の意味をもつ言葉です。

前略
①文章の前の部分を省略すること
②手紙文で用いる頭語(書き出しの言葉)のひとつ。「冒頭の時候のあいさつや相手の安否を気遣う言葉を省いて本文に入ります」という意味

①文章の省略の「前略」の使い方

「文章の前の部分を省略すること」を意味する「前略」は、引用した文章に対して用いることが多いです。文章の前の部分を省略するときに使うのが「前略」で、途中を省略するときは「中略」、後ろの部分を省略するときは「後略」を使用します。

引用するときに、もとの文章をそのまま抜き出して使うと文字数が多くなりすぎたり、重要な部分がわかりにくくなったりするときに、省略したい不要な部分を「前略」「中略」「後略」に置き換えて使います。

②頭語の「前略」の使い方

頭語として「前略」を使うときは、結語(結びの言葉)に「草々」を用います。「前略」と「草々」はセットで覚えてしまいましょう。

手紙の差出人が女性のときは、「前略」を用いるときの結語として「かしこ」を使用することもできます。

「前略」が使えないとき

「前略」は、通常丁寧な手紙にはつきものの時候のあいさつや相手の安否を気遣う言葉を省略し、いきなり本題に入る簡略化した手紙を書くときに使う頭語です。

作法として本来必要なものを省略しているため、目上の相手への手紙や正式な文書、礼状、詫び状などに使ってしまうと、読む人に失礼な印象を与えてしまいます。

「前略」を使うのはどんなとき?

「前略」は、簡略化した手紙を送っても問題のない身内や親しい相手へ送る、日常的な手紙でよく用いられます。

また、要件をいち早く伝える必要があるときも「前略」を使用可能です。例えば、ビジネスライクなやり取りが好まれる仕事の関係者へ、仕事に関する要件で手紙を送る場合などがそれにあたります。

礼儀よりも効率を重視しても気を悪くすることはない相手であり、それが許されるシチュエーションであるというのが大前提になるので、相手や状況をよく見極めて使ってください。

「前略」とは異なる意味の頭語

「前略」のほかにも頭語はたくさんあります。代表的なものを使用シーンや結語とあわせて頭に入れておきましょう。

拝啓
【意味】
謹んで申し上げます

【使用シーン】
一般的な手紙や社外文書、親しい相手への手紙、面識のない相手への手紙

【結語】
敬具

謹啓
【意味】
謹んで申し上げます

【使用シーン】
目上の相手やお客さまへ送る丁寧な手紙、ほかの企業や取引先に対して送る改まった文書、儀礼性が高い文書

【結語】
謹言

「謹啓」は、「拝啓」より強く相手を敬ったより丁寧な表現です。フォーマルな言葉のため、親しい相手には向きません。

拝復
【意味】
謹んで返事をします

【使用シーン】
返信の手紙

【結語】
敬具

再啓
【意味】
重ねて申し上げます、たびたび失礼いたします

【使用シーン】
返事が来ないときなど、同じ要件でもう一度手紙や文書を送るとき

【結語】
敬具

急啓
【意味】
とり急ぎ申し上げます

【使用シーン】
急用の手紙

【結語】
草々

ビジネスでもプライベートでも、丁寧な手紙を書く場合は頭語と結語は必須です。状況に合わせて紹介した頭語と結語を使ってみてください。

ただし、悔やみ状を書くときは、頭語は使いません。時候のあいさつも省きます。

「〇〇様ご永眠のご訃報に接し、謹んでお悔やみ申しあげます」などのお悔やみの言葉を最初に書き、弔意を伝えるのがマナーです。本文を書き終えたら、結語に「合掌」または「敬具」を使って文を締めます。

「前略」は縦書き横書きどちらにも使える

「前略」などの頭語は、縦書きの手紙、横書きの手紙どちらの場合も使えます

頭語の位置など書き方に厳密な決まりはないため、インターネットで調べるといくつかの書き方が例文付きで出てきます。好きな書き方を選んで手紙を書いてください。

「前略」はメールでは使わない

メールでは、「前略」「草々」などの頭語・結語は必要なく、使ってダメというわけではないですがほとんど使用されません。

「前略」の代わりに、「お世話になっております」「お疲れ様です」「平素は格別のお引き立てをいただき、ありがとうございます」などのあいさつがよく使われます。

「草々」の代わりは、「よろしくお願いします」などの表現が一般的です。

「前略」の使い方を例文で学ぼう

「前略」は、「①文章の前の部分を省略すること」と、「②冒頭の時候のあいさつなどを省くという意味で用いる頭語」の2つの意味があります。

それぞれの使い方を例文でイメージしてみましょう。

①の意味の例文
【もとの文】
新型コロナウイルス感染症の流行にともなって生活習慣にもさまざまな変化が起こり、マスク着用がマナーとなって久しいが、マスクをめぐるトラブルも増加している。

【「前略」を使った文】
(前略)マスク着用がマナーとなって久しいが、マスクをめぐるトラブルも増加している。

②の意味の例文
前略 ご依頼いただいておりました見積書をお送りいたします。
前略 この度〇〇に転居しましたのでお知らせいたします。
前略失礼いたします。このたびは、かわいい赤ちゃんのご誕生おめでとうございます。

「前略」の類語・言い換え表現

「前略」を「②冒頭の時候のあいさつなどを省くという意味で用いる頭語」の意味で使う場合、「冠省(かんしょう)」を言い換え語として用いることができます。

冠省
【意味】
「前略」と同じ意味

【例文】
冠省 〇月△日に予定しておりました合同ミーティングですが、諸事情により延期することをご報告いたします。

「前略」は英語だと?

「前略」を英語で表すときは、表す意味によって使う表現が変わります。

まず、「①文章の前の部分を省略すること」の意味の場合、英語で「前略」を表すために使われる表現はありません。それは、引用部分は「” ”」で囲むルールになっており、前の部分を略したことを「前略」で示さなくても引用であることがわかるためです。「中略」のときには、「…」や「・・・」を使います。

「②冒頭の時候のあいさつなどを省くという意味で用いる頭語」の意味のときは、「I hasten to inform you that」や「Just a line to tell you that」を用いてください。

「前略」は上手に使おう

「前略」は、「①文章の前の部分を省略すること」と、「②冒頭の時候のあいさつなどを省くという意味で用いる頭語」の2つの意味をもつ言葉です。

①の意味の場合は、文章を引用するときに読みやすくするために使います。

②の意味のときは、親しい相手や仕事関係者への日常的な手紙で用います。

それぞれの意味の「前略」の使い方を頭に入れておき、上手に使用できるようになりましょう。