オウム返しとは?人の心理に影響する?意味、英語、使い方、言い換えも紹介

「オウム返し」とは「相手が言った言葉をそのまま繰り返す」こと

「オウム返し」は、「相手が言った言葉をそのまま繰り返して言うこと」という意味で、ネガティブなイメージをもたれやすい言葉ですが、傾聴の手法としてビジネスシーンでも用いられる場合がよくあります。本記事では、「オウム返し」の言葉の由来をはじめ、本来の意味、英語表現、使い方などについてもわかりやすく紹介します。

「オウム返し」の英語は「parrot」or「repeat」

「オウム返し」は鳥の「オウム」がもとになっており、英語では「parrot」といいます。ただし、鳥のオウムは名詞ですが、動詞では「わけもわからず相手の言葉を繰り返す」というネガティブな意味になるので使う場面には注意が必要です。そのため、子供が自分の言ったことを繰り返し、相槌を意味するオウム返しの場合は、「repeat=繰り返す」を使って表現します

・Repeat what he says(彼の言うことを繰り返す)

「オウム返し」の由来・意味

日本固有の形による詩である和歌の読み方のひとつに、相手が詠んだ歌の一部だけを変えて詠むという手法があります。オウムは、人の言葉を真似するのが上手な鳥だということは古くから知られていたこともあり、この手法を「オウム返し」と呼んでいました。それが年月が経つにつれて変化していき、現代では「他人が言ったことを繰り返して言う」という意味で広く使われるようになりました。なお、漢字では「鸚鵡返し」と書き、もうひとつの意味を加え、大きく3つあるので、ここでもう一度チェックしておきましょう。

オウム返し(鸚鵡返し)の意味

①他人が言ったことを繰り返して言うこと。
②相手が詠んだ歌の一部だけを変えて詠むという和歌の手法。
③お酒の席において、相手から差された杯をすぐに飲み干してすぐに返杯すること。

ビジネスシーンで有効となる自然な「オウム返し」とは

ビジネスシーンでのオウム返しは、会話での相槌として使うことができます。上手に相槌がうてる人は、聞き上手ともいわれおり、コミュニケーションを図る手段として有効です。その理由としては、大きくは次の3つがあります。

オウム返しのメリット

・相手が、自分の話をしっかり聞いてくれていると認識できる。
・相手に共感できる。
・相手が言った内容の確認ができる。

では、どのようにオウム返しをすれば自然に感じるのでしょうか。例文でチェックしてみましょう。
自然なオウム返しの例

【例1】
(相手)今日電車が2時間も遅れて大変だったよ。
(自分)えぇっ!2時間も遅れたんですか?それは大変でしたね。
【例2】
(相手)A社、社長が変わるらしいよ。
(自分)A社の社長がですか?
【例3】
(相手)駅前のカフェが閉店するの知ってる?
(自分)えっ?駅前のカフェ、閉店するんですか?いつ?

「オウム返し」と「復唱」の違い

相手が言った内容を確認するために「復唱いたします」と、内容を繰り返しますよね?この「復唱」には次の意味があります。

「復唱」の意味

・伝えられた指示・命令などを確認のために繰り返すこと。
・繰り返し唱えること。

同じことを繰り返す点においては、「オウム返し」も「復唱」も同じです。しかし、特に意味もなく繰り返すことや、相槌の意味で繰り返す「オウム返し」とは異なり、「復唱」には「内容を確認する」という意図があります

子どもによくある「オウム返し」

3歳くらいまでの子どもが言葉を覚える段階でオウム返しをすることがよくあります。これは、言葉を発することに対してまだ安定しておらず、耳にした言葉をとりあえず繰り返してみるといった行動にすぎません。しかし、3歳をすぎて言語が安定してくるはずの年齢になってもオウム返しばかりしている場合は、「エコラリア」と呼ばれる発達障害の可能性も考えられます。言葉の発達には個人差もありますが、変だと感じた場合には病院などで相談してみましょう。

やってはいけない「オウム返し」

「オウム返し」はコミュニケーション図るための相槌になる一方で、使い方を間違えば相手を心理的に不快にさせてしまいます。そのため、次のようなオウム返しはしないように注意しましょう。

無理にオウム返しをしようと思わない

オウム返しをすることに重点を置いていると、相手の目を見て話していても、機械的な返事になりがちです。そのため、相手は「本当に聞いてる?」と不快な気持ちになってしまいます。

適度な回数に留める

相手の言葉が聞き取れなかった場合にオウム返しで聞き返すのは仕方ないかもしれません。しかし、回数が増えると相手が不快に思ってしまうので「すみません、聞き取れませんでした」などの言葉に変えるという工夫もしてみましょう。また、「相槌のオウム返し」も多すぎるとウザイと思われるので注意が必要です。

ネガティブな言葉は避ける

「間違えた」「失敗した」「怒られた」など、会話の中でネガティブな言葉が出る場合があります。しかし、これらの言葉を相槌として使うと、ネガティブな気持ちを増長させやすいので、極力ネガティブな言葉でのオウム返しはしないようにしましょう。

「オウム返し」の使い方・例文

会話の中でオウム返しをすることがあっても、「オウム返し」そのものを会話で使う場面は少ないかもしれません。ですので、どのように登場するのか、参考までに例文をいくつか紹介しておきます。

例文

・あの人、オウム返しばかりでちゃんと話しを聞いてくれているのかわからない。
・彼女はオウム返しを使って相槌をうつのがとても上手だよね。
・返答に困ったのでとりあえずオウム返しでその場をしのいだ。

「オウム返し」の類語・言い換え

「オウム返し」をほかの言葉で表現したい場合は次のような言葉が使えます。ただし、状況によって適切なものは異なるので上手に使い分けをしてください

「オウム返し」の言い換え表現

・繰り返す
・反復する
・もう一度言う
・重ねる
・復唱する

「オウム返し」をうまく活用してコミュニケーションをとろう

「オウム返し」は、使い方によってはコミュニケーションをとる手法になったり、相手を不快にさせたりするものです。正しい意味や「復唱」との違いもきちんと理解し、相槌に使う場合はタイミングや回数なども考えながら、ぜひうまく活用してください。