「敬服」とはどんな言葉?
「敬服」の意味は、「心から尊敬して服従すること」「感心して尊敬の念を抱くこと」です。
類語は、「尊敬」「感服」「心服」「敬慕」「感心」。対義語は「軽蔑」「侮蔑」です。
英語で表すときは、「admire」「respect」「think highly of」「have a great regard」を使います。
「敬服」とはどんな意味?読み方は?
「敬服」の読み方は「けいふく」。次の意味をもっています。
・感心して尊敬の念を抱くこと
「敬服」は、相手の人そのものや、その人の日々の立ち振る舞いに対する尊敬の気持ちを表す言葉です。
「敬服する」といった場合、その人の人となりや振る舞いに「感心して心からの尊敬の念を持つ」という意味になります。
「敬服」は相手を敬う気持ちが強く出る言葉
「敬服」の「敬」は、「身を引き締めてうやうやしくする。うやまう」という意味をもつ漢字です。
「服」はたくさんの意味をもつ漢字で、そのなかのひとつに「従う」があります。この「従う」には、「心から従う・慕う」「相手に負けて従う・くだる」の意味合いが含まれています。
「敬」と「服」を組み合わせた「敬服」は、「相手のことを心から慕い、敬い、従いたいと思う」気持ちを表しています。
目下の相手やよく知らない人には使わない
「敬服」は、相手を敬い付き従いたいという気持ちが強く現れる言葉です。そのため、部下や後輩など目下の相手に用いるのには向きません。
また、知り合って間もない相手や、人となりをあまり知らない相手にも使いません。
「敬服」はずっと尊敬している人や、以前から自分の望む姿として手本にしている人など、それなりの期間人としての性質や立ち振る舞いをみて、どのような人なのか理解している相手に対して使用します。何かのきっかけで、その人物に対する尊敬の気持ちがさらに強まったときにも用います。
「敬服」の使い方を例文で学ぼう
「敬服」は敬語ではないため、目上の相手に使うときは敬語と組み合わせて使います。
・〇〇さんの職人としての矜持にただただ敬服いたします。
・若いころに語り合った夢物語をまさか本当に実現させるとは・・・敬服いたしました。
・70歳をすぎても衰えを感じさせない卓越した職人技を発揮して仕事をし、指導者としても活躍し続けていることは、肉体面だけでなく精神面でも敬服に値する。
「敬服」の類義語・同義語・言い換え表現
「敬服」の類語は、「尊敬」「感服」「心服」「敬慕」「感心」です。これらは完全に同じ意味ではなく違いもあります。それぞれの意味や使い方も頭に入れておきましょう。
その人の人格を尊いものと認めてうやまうこと。その人の行為、業績などをすぐれたものと認めて、その人をうやまうこと
【例文】
必要なときにためらわないその決断力は尊敬に値する。
「敬服」と「尊敬」は少し違いもあります。「敬服」はビジネスなどかしこまったシーンで使われるケースが多い言葉で、「尊敬」はより広く一般的に用いられている言葉です。
深く感心して、尊敬、尊重の気持ちを抱くこと
【例文】
彼女の細やかな気遣いに感服した。
「敬服」は、人そのものやその人の立ち振る舞いに対して使う言葉ですが、「感服」はその人が持っている技術やその人の行動に対して用いる言葉です。また、立場に関係なく、目上の相手にも目下の相手にも使用できます。
心から尊敬して従うこと
【例文】
うちの社長には部下を心服させる徳がある。
「心服」は、その人の行動や人格などすべてのものにほれ込み、その人を心の底から尊敬するようになったときに用いる言葉です。自分がほれ込んだただひとりの人物に対して使うことが多いです。
尊敬して人柄を慕うこと
【例文】
親代わりに自分を育ててくれた祖母への敬慕の気持ちを込めた、最後の手紙を棺に入れることにした。
「敬慕」は、尊敬し慕ってもいる相手に対して使用する言葉です。
りっぱな行為や、すぐれた技量に心を動かされること。心に深く感じること
【例文】
彼の振る舞いにただただ感心させられた。
「感心」には尊敬のニュアンスはありません。目上の相手に用いると、偉そうに聞こえてしまうので注意してください。
「敬服」の対義語
「敬服」の対義語は、「軽蔑」「侮蔑」です。
いやしいもの、劣ったものなどとみなして、ばかにすること。さげすむこと
【例文】
頼りない二代目社長に軽蔑の目を向ける社員もいる。
人をあなどり無視した扱いをすること
【例文】
マイノリティーを侮蔑するような発言が問題になった。
「敬服」は英語だと?
「敬服」を英語で表すときは、次のような単語や表現を使います。
respect:尊敬、敬意、尊敬されていること、尊敬する、敬意を表する
think highly of:高く評価する、尊敬する、敬服する
have a great regard:重んじる、尊敬する、敬服する
伝えたいニュアンスに近い単語や表現を選んで使用してください。
「敬服」は相手を選んで使おう
「敬服」は、「心から尊敬して服従すること」や「感心して尊敬の念を抱くこと」を意味する言葉です。
ずっと尊敬している相手など、人となりをよく知っている目上の相手や対等の立場の人に対して使います。
初めて会った人や目下の相手には使用できません。
「敬服」は、相手を選んで上手に用いるようにしましょう。