ダイレクトマーケティングとは?意味、対義語、成功事例もわかりやすく紹介

ダイレクトマーケティングとは「企業と顧客が直接関係性を築いていくマーケティング手法」のこと

「ダイレクトマーケティング」とは、小売店を経由せず、企業が顧客に直接アプローチをかけて関係性を築き、商品を販売しているマーケティング手法のことをいいます。この場合の顧客は、企業だけではなく、一般消費者も対象です。インターネットが普及している現代おいて、実はとても身近なもので、知らず知らずのうちに関係性が結ばれていることも多いのです。本記事では、意味や使い方のほか、成功事例、メリット、デメリットなども含めてわかりやすく紹介します。

なお、対義語は、大量生産・大量販売を前提とし、すべての消費者を対象に同じ手法で行うことを意味する「マスマーケティング」になるので、併せて覚えておきましょう。

「ダイレクトマーケティング」の英語は「direct marketing」

「ダイレクトマーケティング」は、1960年代にアメリカのレスター・ワンダーマンが、顧客の反応を獲得することに重きを置いた宣伝によって、効率よく販売していく手法として提唱したもので、「direct marketing」と表記します。DMA*では、広告メディアを利用し、どんな場所でも顧客の反応を確認できたり商品を販売したりできる双方のマーケティングであることをダイレクトマーケティングの定義としています。

なお、DMA(Direct Marketing Association)とは、ニューヨークを本拠地とする、ダイレクトマーケティング組織とその関連会社の協会で、ダイレクトマーケティングの団体としては世界最大級です。

日本語においての「ダイレクトマーケティング」とは

日本においては、テレビの通販番組、メディアを通しての宣伝、代理店を通しての営業など、不特定多数に向けた販売戦略ではなく、消費者に対して何らかの方法で直接宣伝を行い、企業と消費者が直接やりとりを行って販売を行う手法を差しており、海外での意味とほぼ同じです。そして、「ダイレクトマーケティング」には次の4つの特徴があるとされています。

「ダイレクトマーケティング」の特徴

①企業と顧客が双方向でコミュニケーションが取れている。
②店舗不要でどんな場所においても販売が行える。
③SNS、DM、カタログ、新聞などのメディアを活用して宣伝している。
④顧客の反応が売り上げにつながるため、効果の測定がしやすい。

「ダイレクトマーケティング」の主な手法とは?

ネット社会で多くの人が当たり前のようにSNSを利用している現代においては、TwitterやInstagramなどで公式アカウントを作成し、そこから配信するといった手法が増えています。気になる広告が流れてくればフォロワーになってくれるので、継続して情報が目に入れば購入もつながるというわけです。

また、ネット広告、雑誌、テレビなどで情報を得た消費者が商品を購入した場合、その購入履歴から定期的にカタログ(DM)が送られてくることが多々あります。これも企業が消費者が直接宣伝活動を行っていることになり、季節ごとにさまざまな商品を紹介することで、定期的な購入につなげることもできる宣伝方法です。顧客情報から電話で営業をかけるといったアナログな方法もまだ残っています。

そのほか、各家庭を回って営業を行う、昔ながらの訪問販売もダイレクトマーケティングのひとつで、わかりやすい例をあげると、「置き薬」や「ヤクルト」などがあります

「ダイレクトマーケティング」のメリット・デメリット

マーケティング活動は、市場調査や消費者の心理を考えながら行うので、うまくいくことばかりではなく、デメリットもあるということも想定しておかなければなりません

ダイレクトマーケティングのメリット

ダイレクトマーケティングのメリットとしては、「人件費をかけずに事業ができる」「費用対効果が高くなる」「PDCAサイクルが回しやすくなる」があげられます。

人件費をかけずに事業ができる

販売店舗を置かず、広告やDMなどが宣伝手段となるため、店舗人員や営業人員が不要です。その結果、人件費が大幅に削減できます。

費用対効果が高くなる

顧客が過去に購入した履歴をデータ分析し、関連商品や似た商品を宣伝することができるので、購入してくれる確立が高くなります。

PDCAサイクルが回しやすくなる

PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返しながら継続することで、常に改善を加え、さらに良いものができるようにしていく仕組みです。直接サンプルを送ったり、購入者を特定できたりするダイレクトマーケティングでは、顧客の反応が見えやすいので検証がしやすいといえます。

ダイレクトマーケティングのデメリット

取り扱い商品によっては「ダイレクトマーケティング」が合わない場合もあります。そのため、これから導入しようとする場合は、デメリットもしっかり把握しておかなければなりません。

利益につながるまで時間がかかる

新しいことを始めようとする場合、インターネット広告であれば、視覚的効果の高いデザインにたどり着くまで試行錯誤するため時間がかかります。また、通販をする場合は、Webシステム、購入の仕組み、支払い方法などを確立し、システム化しなければなりません。DM配布にしても消費者が受け取ってから即反応があるわけではないので、それなりの時間がかかります。

広告の見せ方を工夫していく必要がある

たとえば、Webで広告を流しても効果が見られないということは、「反応が悪い=魅力がない、目につかない」ということです。ですので、このような広告を流し続けても利益にはつながりません。DMの場合も年齢や好みで広告を変えていかなければ効果は得られないので、常にデータ検証や改善が必要になります。

「ダイレクトマーケティング」の使い方・例文

事業が起動にのっていると頻繁に会話に出る言葉ではないかもしれませんが、どのように使われるのか例文でチェックしておきましょう。

例文

ダイレクトマーケティングで成功している企業を参考に計画を立ててみよう。
・ここ数年売り上げが伸び悩んでいるため、ダイレクトマーケティングを導入しようと思う。
・宣伝手法をダイレクトマーケティングに変えてから黒字が続いている。

「ダイレクトマーケティング」の成功事例

「ダイレクトマーケティングを導入している企業は?」と聞かれるとすぐには応えられないかもしれませんが、実は、意外と身近なところにあるんです。

Amazon

今や超巨大なネット通販会社になっているAmazonでは、自社のビッグデータを用いて、「購入・閲覧履歴からの商品推奨」「会員限定の特別セール」などを行うことで、業績アップにつなげています。

ファンケル

化粧品業界大手のファンケルでは、テレビCM、新聞広告などで「お試しサンプルの無料配布」の広告を出し、「まずは試してみよう」という顧客の獲得に力を入れています。また、どんな商品のサンプルを要求したかによって、宣伝内容を変え、最終的には定期購入に導いていくといった手法で売り上げを伸ばしている企業です。

「ダイレクトマーケティング」の類語・言い換え

「ダイレクトマーケティング」を日本語で言いかえる場合は次のような言葉が使えます。

「ダイレクトマーケティング」の言い換え表現

・対面販売
・口コミ
・訪問販売 など

「口コミ」は、企業が行っていることではありませんが、実際に購入した人の情報を参考に、ほかの人の購入に繋がる場合も多いので、宣伝活動の一つになっていると解釈できます。また、企業によってはレビューを集め、ホームページに公開するといった手法を取り入れているところもあります。

「ダイレクトマーケティング」と一緒に覚えたい関連語

「ダイレクトマーケティング」を深く理解するためにも、ぜひ一緒に覚えておきたい言葉があります。

データマネジメントプラットフォーム

DMPと略語で使われているデータマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform)とは、ネット上に蓄積された膨大な情報のデータを管理するためのプラットフォームのことをいいます。

マーケティングオートメーション

MAと略語で使われているマーケティングオートメーション(marketing automation)とは、顧客獲得のためのマーケティング活動を自動化・可視化するプロセスのことをいいます。

ダイレクトマーケティングはデメリットも理解したうえで活用しよう

SNSが普及している現代では、一般の農家さんがTwitterやInstagramで宣伝してお米や農作物を販売している例も増えています。また、スマホの設定によっては、検索履歴から似た商品が表示されるので、そこから新規顧客を獲得できる場合も多くなっています。これらの情報を見るとメリットしかないように思えますが、デメリットも想定したうえで導入するようにしてください。