ハードボイルドの意味とは?語源や類語、対義語も解説

ハードボイルドとは簡単にいうとどんな言葉?

ハードボイルドの意味は、「暴力的、反道徳的な内容を批判や嘆きなどの感情を加えず、簡潔なタッチで描いていく小説の文体」「非情なこと。人情や感傷に動かされないで、さめていること」です。

類語は、「シニカル」「ドライ」「リアリスト」「クール」。対義語は「ソフトボイルド」です。

英語で表すときは、「hard-boiled」を使います。

ハードボイルドとはどんな意味?

ハードボイルドは、次の意味をもつカタカナ語です。

ハードボイルド
・暴力的、反道徳的な内容を批判や嘆きなどの感情を加えず、たんたんと事実を羅列する簡潔なタッチで描いていく小説の文体
・非情なこと。人情や感傷に動かされないで、さめていること

ハードボイルドは、第一次大戦による惨禍を体験し、既成の理想や価値観に絶望したロスト・ジェネレーションと呼ばれる、アメリカの作家たちによって生み出された新しい写実主義の手法です。

ハードボイルドでは、暴力的・反道徳的な出来事を批判する気持ちや、その出来事によって湧き上がる悲しみ・苦しみなどの感情は極限までそぎ落とされます。余分な装飾のない簡潔なタッチで、テンポよく起こった出来事のみを積み上げていくスタイルが特徴です。

そこから転じて、「感情に左右されない」「非情な」「冷酷な」を意味する言葉としても使われるようになりました。

ハードボイルドは推理小説の一ジャンル

ハードボイルドは、推理小説の一ジャンルにもなっています。ハードボイルド小説の主人公は、現実主義者で皮肉屋、どのような状況にも屈しないタフな神経と肉体を持つ、行動的な一匹狼としてキャラクター設定されることがほとんどです。

軟弱や妥協を嫌い、自分の名誉をかけた掟を守るため、黙々となすべきことをなしてしぶとく生き延びていくのがハードボイルド小説の主人公の特徴。人を思いやる心は持ちながらも感情は押し殺し、ときに非情な決断を下す場合もあります。

小説のほか、映画やテレビドラマなどでハードボイルドの作品は作られています。また、推理もののほかに、スパイものやギャングものの作品にも、ハードボイルドのジャンルに属するものがあります。

「ハードボイルドな人」の意味

ハードボイルド小説の主人公のような性格をしている人物を、「ハードボイルドな人」や「ハードボイルドな男」のようにいいます。

ハードボイルドの由来

ハードボイルドのもともとの意味は、「卵の固ゆで」です。

「ハード」の意味は「堅いさま。厳しいさま。激しいさま」。「ボイルド」とは、「食物をゆでた。煮た」の意味をもつ言葉です。

ハードボイルドははじめ、卵の茹で方を表すときに使われるだけの言葉でした。そこから意味が広がり、「卵が固く流動しない」ことを表す言葉になりました。

さらに、固くゆでられた卵が流動することがないように、感情が固まっていて感傷や恐怖などに流されないというニュアンスが考え出され、小説の文体のハードボイルドの意味になったのではないかといわれています。

ハードボイルドは生き方、働き方の参考になる

ハードボイルドな人は、常に「強い自分でありたい」と願い、やせ我慢して生きています。「強い自分」を目指すことは、弱い自分と向き合うということで、ハードボイルドな人は自分に言い訳を許しません。

ハードボイルドな人の生き方や働き方には、ハードボイルドを目指していない人にとっても役立つ点が多々あります。

参考にできるところがないか探してみましょう。

「ハードボイルドな生き方」とは

「ハードボイルドな生き方」には、次のような特徴があります。

「ハードボイルドな生き方」の特徴
誘惑に負けないように強い心で自分を律し、地道に目標へと向かう
・どのような権力や困難にも屈することなく、自分の信念を曲げない
・自分の信念を貫くための努力をいとわず、手段も選ばない
・どんなにハードなシチュエーションに出くわしたとしても、落ち着いて最善の策を考え、状況を打開するまであきらめない
・感情をおさえ、客観的にものをみるように常に心掛ける
・周囲の人に対する心配りをおろそかにせず、自分にとって大事な人への手助けは全力で行う
・優しさや気遣いは、それをされる相手にすら気づかれないほどさりげなく行い、自分のいい行いをひけらかすことは絶対にしない

山あり谷ありの人生をしぶとく生き抜くためのヒントになりそうなことが、たくさんありますね。まねできそうなところから挑戦してみてください。

「ハードボイルドな働き方」とは

「ハードボイルドな働き方」には、次の特徴があります。

「ハードボイルドな働き方」の特徴
・その道のプロとして、どのような仕事も常に100%の力を投入し、たんたんと丁寧に片付ける
・いい仕事ができても大きくは喜ばず、仕事がうまくいかなかったときも大きくはがっかりせず、翌日には気分を完全にリセットして平常心で仕事に取り組む

大きな仕事も小さな仕事も同じ仕事と考えることで、無駄に気負ってつまらない失敗をしたり、気を抜いて仕事の質を落としてしまったりすることがなくなります。

仕事がうまくいかないのはよくあることですよね。そのたびに落ち込んでいたら仕事になりません。「ハードボイルドな働き方」を心がけることで、翌日の仕事のパフォーマンスへの影響を避けられます。

ハードボイルドは心の健康に役立つ

ハードボイルドな生き方や働き方には、やせ我慢がつきものです。

ハードボイルドを目指す人は、やせ我慢していることを自分でしっかりと認識し、「自分の責任でやせ我慢している自分はかっこいい」と思っています。

やせ我慢をプラスにとらえているので、そのストレスでメンタルをやられることがありません。

また、物事の良し悪しに一喜一憂しないように心がけることで、精神を安定させられます。

ハードボイルドは英語だと?

ハードボイルドを英語で表すときは、「hard-boiled」を使います。

hard-boiled
・(卵が)固ゆでの、固くゆでた
・経験によって強くなり無神経になった、非情の、無情の、無感情の、情にほだされない、ドライな
・現実的な、ちゃっかりした
・(小説などの作風が)非情な、ハードボイルドの

また、「hard-boiled egg」で、「固く煮た卵」のほか「ハードボイルドな性格」を英訳できます。

ハードボイルドの使い方を例文で学ぼう

ハードボイルドの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
ハードボイルドものの映画が好きだ。
・大人の哀愁を感じさせる、ハードボイルドタッチの新曲を発表した。
ハードボイルドな刑事ドラマの主演に抜擢される。

ハードボイルドの類語・言い換え表現

ハードボイルドの類語は、「シニカル」「ドライ」「リアリスト」「クール」です。それぞれの意味と使い方をおさえておきましょう。

シニカル
【意味】
皮肉な態度をとるさま。冷笑的

【例文】
この小説は、裏社会で生きる人々の生きざまをシニカルに描いている。

ドライ
【意味】
・水気がないこと。水分が少ないこと
・風情などがなくありのままであること
・そっけないこと。感傷や人情などに動かされないで、合理的に割り切ること。そのさま
・洋酒などの辛口

【例文】
ドライな視点で物事を見極める。

リアリスト
【意味】
・現実に即して物事を考え、また処理する人。現実主義者
・(芸術)写実主義の立場に立つ人。写実主義者
・(哲学)実在論者。実念論者

【例文】
彼にはリアリストの側面がある。

クール
【意味】
・冷たいさま。涼しくてさわやかなさま
・冷静なさま。冷ややかなさま
・かっこいいさま

【例文】
タフでクールな主人公を演じる。

このほかにも、日本語の「情にほだされない」「冷酷非情」「現実的な」「冷めた」もハードボイルドの言い換え語として使えます。

ハードボイルドの対義語

ハードボイルドの対義語は、「ソフトボイルド」です。

ソフトボイルド
【意味】
・卵などが半熟の
・文体や内容が穏健で道徳的なこと

【例文】
このシリーズの、ソフトボイルドでユーモアのあるストーリー展開が好きだ。

ハードボイルドを人生に役立てよう

ハードボイルドの意味は、「暴力的、反道徳的な内容を批判や感情を加えず、簡潔なタッチで描いていく小説の文体」と「非情なこと。人情や感傷に動かされないで、さめていること」です。

ハードボイルドな小説や映画の主人公たちの生き方には見習うべきところも多く、うまく取り入れることで山あり谷ありの人生を生きやすくできます。

ハードボイルドをこの先の生き方や働き方に役立てていきましょう。