MECEとは?意味、具体例、基本的な考え方、使い方・例文などをわかりやすく解説

「MECE」とは「漏れも重複もない」という意味

「MECE」とは、「互いに重複することなく、全体としても漏れがない」という意味で、プロジェクト、商談など、何かを実行する上では重要な要素のひとつです。物事を整理する際、想定される問題点や、それらに対する解決策を的確に挙げていくために、ビジネスシーンでも必要とされています。企業では、新人研修に取り入れる企業もあるので覚えておきたい用語なので、本記事では意味や使い方だけでなく、具体例、考え方などについてもわかりやすく解説します。

「MECE」は英語の「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」

MECEの正式名称は「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」で、それぞれの単語の頭文字を合わせた略語です。まずは、それぞれの単語の意味を確認してみましょう。

・Mutually=互いに
・Exclusive=唯一の
・Collectively=集合的に
・Exhaustive=余すところのない

現在では日本でも広く知られるようになりましたが、もとは、アメリカのコンサルティング会社に所属していたバーバラ・ミントによって開発された概念といわれています。

「MECE」の読み方・日本での意味

「MECE」をそのまま発音すると「メッセ」と読みたくなるところですが、正しくは「ミーシー」もしくは「ミッシー」です。なにかの事象について議論する際、内容や情報が重複したり、漏れたりすることはよくあるものです。これらの「重複や漏れ」を最小限にするための基本段階がMECEで、フレームワークに入る前の考え方となります。ビジネスシーンにおいて、「非効率」や「漏れによるミス」は、企業の損失にもなり兼ねないため、「ロジカルシンキング」のひとつとして広く活用されている手法です。

フレームワークとは?

フレームワークとは、問題解決、意思決定、分析などを進めていく上での「構造」「枠組み」を指す言葉です。内容によって使う枠組みが異なり、その中に「MECE」や「ロジックツリー」があります。

ロジカルシンキングとは?

ロジカルシンキングを日本語で表すと「論理的思考法」といい、物事を「根拠」「結論」にわけ、体系的に整理し、筋道を立てて矛盾することなく考える手法を指します。箇条書きでまとめて考えていくことも可能ですが、内容が複雑な場合やわかりにくくなった際は、ひとつの項目から想定できることを枝分かれさせ、木(ツリー)のような「ロジックツリー」という図を書いていくのもひとつの方法としておすすめです。なお、「ロジック」には「論理」という意味があり、ロジックツリーはフレームワークと中のひとつになります。

 

「MECE」は日常生活でも活用できる

ビジネスシーンだけでなく、日常生活においても、「漏れ」はミスの原因になる可能性が高く、「重複」は無駄な時間を使ったり、非効率だったりします。そのため、何か行動を起こす際の考え方として「MECE」を活用することが可能です。

「MECE」の具体例

「MECE」の意味は理解できたと思いますが、具体的に漏れや重複のない「MECE」な考え方とはどのような状態をいうのでしょうか。わかりやすい具体例を挙げてみました。

MECEの具体例①

成人女性を、「主婦」「会社員」と分類。
成人でも学生や会社員でない人がいるので、「学生」「会社員でない人」が漏れ。
「主婦」でも「会社員」の人がいるので、両立している人が重複部分になる。

MECEの具体例②

ある商品のターゲットを決めるのに、「男性」「女性」「成人」「未成年」と分類。
すべての年齢の男女が網羅されているので「漏れ」はありませんが、「男性」「女性」ともに「成人」「未成年」が存在するので「重複」が発生している。

「MECE」の基本的な考え方①アプローチ編

「MECE」を用いたアプローチの仕方には、「トップダウンアプローチ」「ボトムアップアプローチ」の2種類があります。

トップダウンアプローチ

課題のなるものの全体からひとつずつ要素を分け、その中でもさらに分類が必要な場合はさらに細分化して考えていく方式を指します。全体像が明確になるため分類しやすいというメリットがありますが、漏れや重複が発生しやすいので注意が必要です。

ボトムアップアプローチ

なにか新しい物事を始める場合、全体像がはっきりしていないことが多いです。その場合は、要素を出していき、それらをグループ化して全体像をまとめ上げる「ボトムアップアプローチ」が有効といわれています。

「MECE」の基本的な考え方②分解編

MECEを用いて考えていく際、切り口となるのは「要素分解」「因数分解」「時系列・ステップ分け」「対象概念」の4つといわれており、どのように分けるべきなのかは事象の内容によるので、基本のポイントをおさえておく必要があります。

要素分解

全体像を見て、漏れや重複がないよう確認しながら構成要素を洗い出していく方法で、「足し算型」「積み上げ型」とも呼ばれています。

因数分解

「売上が知りたい」「市場規模が知りたい」など、分析対象を計算式で表し、要素ごとに分解していく方法で、内容によって「かけ算」「わり算」「足し算」「引き算」から適切なものを用いて洗い出します。

時系列・ステップ分け

「時系列・ステップ分け」とは、分析する事柄を、「時系列」「段階」で分解する手法のことをいいます。例えば、一日の業務を時系列で分解する場合、「午前中」「13~15時」「15時~18:00」とわけ、それぞれで必須業務をまとめます。また、顧客が商品購入までに取る行動を「商品検索→スペック調査→口コミ調査→価格比較」と分類する作業は「ステップ分け」に該当するわけです。

対象概念

「主観と客観」「メリットとデメリット」「質と量」「固定と変動」など、対照的になる概念を洗い出して考えていく方法を「対象概念」といいます。

「MECE」の使い方・例文

通常の業務の中で「MECE」を使うことは少ないかもしれませんが、新しく何かを始めたり、分析する事象が発生したりするときには登場するので、耳にしたときにすぐ認識できるようにしておきましょう。

例文

MECEを活用して分類したので、今回は重複することが少なかった。
MECEを意識して作業しないと無駄な時間ばかりが過ぎていくよ。
・毎回あまりにも漏れが多すぎるんだけど、MECEの考えをもって仕事してる?

「MECE」の類語・言い換え

「MECE」の類語に該当する言葉は特にありませんが、「MECEになっていない」ということを表現する場合には、「重複している」「漏れている」と言葉への言い換えが可能です。

難題を効率よく解決するためにも「MECE」は有効活用しよう

ビジネスシーンだけでなく、日常生活においても、ちょっと考えただけでは問題解決しない場合があります。特に、ビジネスシーンにおいては解決までの日数が決められることも多いので、無駄な時間を使わないよう、「MECE」を意識して活用できるようにしておきましょう。