ギャップイヤーとは?社会人になるときに不利?日本での制度、導入大学なども紹介

ギャップイヤーとは「大学入学前の隙間期間」こと

ギャップイヤーとは、大学入学資格を取得した学生に対し、入学までの約一年間自由な期間を与えるというイギリスの大学制度で、現在では日本でも少しずつ採用する大学が増えています。しかし、まだこの制度の意味を知らない人も多く、就職で不利になるのでは?という情報もあります。そこで本記事では、言葉の意味や詳しい内容などについてわかりやすく紹介します。

ギャップイヤーの英語は「gap year」

ギャップイヤーは、英語で「gap year」と書き、「高校を卒業してから大学に入るまでの約1年の間遊学*する制度」の意味で使われています。もともとはイギリスで採用されていた制度ですが、アメリカでも「gap year」を取得する人が増えているようです

・I am taking a gap year.
(私はギャップイヤーを取っています。)
・I am currently taking a gap year.
(私は現在ギャップイヤーを取得しています。)

日本においての「ギャップイヤー」

日本においてのギャップイヤーも英語の意味とほぼ同じ意味で、「大学入学資格を得た学生が、高校を卒業してから大学に入学するまでに与えられる隙間期間」を指しますが、大学によっては大学から大学院への進学時に設ける場合もあります。日本ではまだ一般的な制度とはいえないので、ギャップイヤーを活用したいと思っている場合は事前に導入大学を調査しなければなりません。

ギャップイヤーの過ごし方

ギャップイヤーの期間中、基本的には何をするのも自由ですが、日本ではいくつかのテーマを用意している大学も存在します。しかし、なにも指定がない場合、どのようなことをしているのか、よくあるものを例として紹介します。

奉仕活動

チャリティー活動やボランティア活動など、社会奉仕をするケースは、海外でも日本でも比較的多いといわれています。情報としてしか目にしていなかったものに直接触れることで、新たな発見や問題点がわかるようになります。また、それだけでなく、一緒に活動した人とのつながりや絆が生まれ、「助け合う」という心を育むことにも役立ちます。

個人的な学習をする

英会話の短期集中講座などの習い事、一般企業が開催しているセミナーに参加するなど、学校とは別の学習をするための時間に充てる学生も多いです。また、日本だけにとどまらず、海外留学をする人もいます。

アルバイトをする

学生生活の合間に短時間するアルバイトではなく、フリーターのようにフルタイムで仕事をし、「働く」ということを経験することも可能です。実際に集中して働くことで、学生生活の中でどのようなことを学んでいきたいか、目標を定めるのに役立つ場合があります

旅行をする

海外に行ったり、国内で行きたいところを巡ったりするなど、旅行に時間を費やすことも、計画性を身に付けるのに役立ちます

ギャップイヤーは社会人になって不利?

現代の日本社会で、ギャップイヤーはまだ広く認識されていない事実があり、高校から大学入学までの空白期間があることで就職で不利になるのでは?という説もあります。そのため、実際にギャップイヤー検討する際は、メリット・デメリットをきちんと把握しておかなければなりません

メリット

ギャップイヤーの期間中は何をするのも基本的には自由なので、前述したように「奉仕活動」「学習」「就業」「旅行」といった経験を積むことで、次のようなことが得られます

ギャップイヤーのメリット

・新たな人脈ができることで交友関係が広がる。
・知識が身に付く。
・大学生活での目標が立てられる。
・大学卒業後の進路について考えやすくなる。

デメリット

ギャップイヤーの期間を「学習」や「旅行」にあてる場合、比較的まとまった資金が必要になります。「奉仕活動」についても遠くまで出向く場合は旅費や宿泊費が必要です。また、就職の際は、「ギャップイヤー」の制度を知らない企業も少なくないので、一年の空白を理解されない場合があります

ギャップイヤーのデメリット

・多額のお金が必要になる場合がある。
・就職活動の際に理解されない場合がある。

ギャップイヤーの使い方・例文

「ギャップイヤー」をビジネスシーンで見聞きする機会はあまりないかもしれませんが、どのような使い方をするのか、一応例文でチェックしておきましょう。

例文

ギャップイヤーの期間にいくつかのアルバイトをしたおかげで、大学で学びたいことを明確にすることができた。
ギャップイヤーで日本各地を旅行し、旅行関係の仕事をやってみたいと思うようになった。
ギャップイヤーを活用して短期留学し、英会話を身に付けた。

ギャップイヤーの類語・言い換え

「ギャップイヤー」を日本語で言いかえる場合は、「空白期間」や「休学」が一番わかりやすいです。しかし、「空白期間」は無意味な時間と捉えられることがあり、「休学」は学校に在籍して休むことを指す言葉です。いずれも本来の「ギャップイヤー」とは意味合いが異なるので、補足説明をしたほうが賢明です。そのほか、カタカナ用語の類語としては「ギャップターム」があります。

ギャップタームとは?

ギャップイヤーと同じく、「高校を卒業してから大学に入学するまでの隙間時間」という意味があります。「〇〇イヤー」が「年」である一方、「〇〇ターム」は「期間」なので、「ギャップターム」のほうが、3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月など広い意味で使うことが可能です。

「ギャップイヤー」導入大学の一覧

「ギャップイヤー」は、まだすべての大学が導入しているわけではありません。ここではよく知られている大学をピックアップ紹介しておきます。
(データ参照元:文部科学省 平成27年度「大学教育再生加速プログラム」の選定状況について

ギャップイヤー導入大学一覧

・小樽商科大学
・新潟大学
・神戸大学
・福岡女子大学
・工学院大学
・津田塾大学
・文化学園大学
・東京工科大学
・浜松学院大学 など

これらのほか、文部科学省のホームページ未掲載ではありますが、東京大学、名古屋商科大学も実施されています。また、ギャップイヤーの規定については各大学で異なるため、活用を考えている人は、受験する前に調査が必要です。その際は「大学非関与型」「大学関与型」かも確認しておきましょう。

【大学非関与型】
ギャップイヤー期間中に何をするかは個人の自由。
【大学関与型】
ギャップイヤー期間中に何をするか、大学側でいくつかのテーマが用意されており、その中から選択して実施する方式。

ギャップイヤーを導入している大学に一覧は定期的に公開されていますが、その中に掲載がない場合でも導入していることがあるので、行きたい大学がある程度決まっている場合は大学側のホームページなどで確認することをおすすめします。

「ギャップイヤー」の認識がない企業もあることを理解しておこう

「ギャップイヤー」は、いろいろな体験ができる貴重な期間ではありますが、目的をもって過ごさないとただ無駄な時間が流れていくだけになるので注意が必要です。また、せっかく学びや社会貢献のためにギャップイヤーを活用しても、理解のない企業はあるので、就職の際は不利にならないよう、活動内容を明確に説明できるようにしておきましょう