「申し送り」とはどんな言葉?
「申し送り」の意味は、「次の者に言って伝えること」「前任者から後任者へ業務の進捗や指示、命令など必要事項を伝えること」です。
類語は、「伝える」「連絡」「教える」「報告」「引き継ぎ」「伝達」。
英語で表すときは、「handover」「message」などを使います。
「申し送り」とはどんな意味?読み方は?
「申し送り」の読み方は「もうしおくり」。次の意味をもつ言葉です。
・前任者から後任者へ業務の進捗や指示、命令など必要事項を伝えること
「申し送り」は、「申送り」と表記される場合もあります。
また、「申し送り」で次の者(後任者)に伝えられる情報を「申し送り事項」といいます。
ビジネスでの「申し送り」の目的は?
ビジネスでの「申し送り」の目的は、「情報共有をスムーズにすること」と「業務を見える化すること」の2つです。「申し送り」を行うことでどのようなメリットがあるのかみてみましょう。
情報共有をスムーズにする
「申し送り」をすることで、業務の遂行に必要な情報を後任者にしっかり伝えられます。
「申し送り」が日常の業務のルーティーンとして組み込まれている場合は、スタッフ同士で情報を共有することが当たり前になります。
また、「申し送り」を行うことで、前任者にその内容に関する質問をしたり、前任者と後任者で方針を相談したりするなど、スタッフ間のコミュニケーションが増えます。
「申し送り」は、職場での情報共有やコミュニケーションを増やしたいときに有効な方法ですね。
業務を見える化する
「申し送り」はノートやメール、メモ用紙など、形に残るものに書かれる場合が多いです。
文字として情報が整理されることで、業務が見える化されます。業務を見える化すると、自分の業務の振り返りがしやすくなります。「申し送り」は、後任者のための情報であるだけでなく、自分で自分の業務の改善すべき点を日常的に考えるきっかけにもできるのです。
後任者は、「申し送り」が書かれたノートなどをもらうことで、前任者が終わらせた作業とまだの作業の判別が簡単にできるようになります。自分がやるべきことがはっきりすれば、仕事の計画を立てやすくなりますね。
「申し送り」が行われる業界や職種は?
「申し送り」は、交代制の職場などチームで作業を進めるときに重要です。
例えば、看護職や介護職、警備職、自動車教習所の教官たちは、日々の業務のなかで「申し送り」を行っています。これらの職種ではチームで看護や警備、生徒の指導など、ひとつの業務にあたるため、「申し送り」で正しく情報共有していかないとうまく仕事を回すことができません。
また、営業職では、異動や配置換えなどで担当を外れなければならないときに、後任者に営業先の情報を「申し送り」します。
「申し送り」の内容は?
「申し送り」では、「日時」「記入者」「業務内容」「所感」の4つに項目を分けて情報を伝達します。「日時」の日付は西暦で表記し、時間は自分の勤務開始時間と終了時間を記入します。「記入者」は、フルネームで自分の名前を書いてください。
「業務内容」と「所感」
「業務内容」には、その日の業務中に実際に起きた事実や、自分が行った業務の内容をポイントをまとめてわかりやすく書いていきます。
「所感」とは、「心に感じたこと」や「感想」のこと。「所感」には、自分が受けた印象や推測、意見を記載します。
「業務内容」と「所感」を混ぜて報告すると、事実と感想・憶測の区別が難しくなってしまいます。後任者が正確に状況を把握できるよう、「業務内容」と「所感」の内容はしっかり分けて伝えることが重要です。
「申し送り」はテンプレートが便利
「申し送り」は、テンプレートを活用するのがおすすめです。
テンプレートを使うと、文書の体裁を整えるための時間を省いて、短時間でわかりやすく情報をまとめた「申し送り」を書けるようになります。
後任者もいつも同じ形式で書いてもらえれば、情報の把握がしやすくなります。
「申し送り」の使い方を例文で学ぼう
「申し送り」の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・申し送り業務にかかる時間を短縮する方法を検討する。
・夜勤者に日中の業務内容を申し送りする。
・異動の前に、後任者への申し送り事項をまとめる。
「申し送り」のマナー
「申し送り」という言葉を使うときは、マナーとして気をつけなければならないことがあります。使い方を間違えないように、ポイントをおさえておきましょう。
「申し送り」は社内のみで使う
「申し送り」という言葉は、社内の人間同士で情報を共有するときに使う社内用語です。そのため、取引先の人やお客様など、社外の人に対しては使えません。
社外の人に、「お手数ですが、この件を奥様にも申し送りしてください」や「詳細が決まりましたら、申し送りさせていただきます」などのようにはいえないので注意してください。
「申し送り」は上司には使わない
社内の情報共有の場合も、上司など目上の相手に対して「申し送り」を使うのはおすすめしません。
「申し送り」の「送り」は「送り付ける」というニュアンスをもつ言葉で、目上の相手に対しては失礼と思われる恐れがあるためです。
上司、部下の立場に関係なく、「申し送り」が日常的に使用されている職場の場合は問題ないですが、そうでないときはこの後に紹介する類語に言い換えるようにしましょう。
「申し送り」の類語・言い換え表現
「申し送り」は社外の人には使えず、上司にも向かない言葉でしたね。「申し送り」が使用できないときに備えて、類語も頭に入れておきましょう。
言葉などで知らせる
【例文】
お手数ですが、この件を奥様にもお伝えください。
気持ちや考えなどを知らせること。情報などを互いに知らせること
【例文】
詳細が決まりましたら、ご連絡させていただきます。
知っていることを相手に告げ知らせる
【例文】
現場の皆様から出されたご意見、ご要望をお教えいただければと思います。
告げ知らせること
【例文】
先方との打ち合わせの結果をご報告いたします。
ほかの者が処理していた作業などを代わりに行うこと
【例文】
後任者に業務内容の引き継ぎをしてから退職する。
命令、意思、情報などを口頭または書類で相手に伝えること
【例文】
会議での決定事項をチームメンバーに伝達する。
「申し送り」は英語だと?
「申し送り」を英語で表すときは、次の表現を用います。
message:伝言、伝達する
turn over:(仕事や責任を)引き継ぐ
take over:(義務や責任を)引き継ぐ、引き受ける
pass the word:命令を伝える
英語で「申し送り」をする機会があったら、ぜひ使ってみてください。
「申し送り」の意味や目的を理解しよう
「申し送り」の意味は、「次の者に言って伝えること」「前任者から後任者へ業務の進捗や指示、命令など必要事項を伝えること」です。
チームで業務を進める職種では、「申し送り」が日常的に行われています。そのほかにも、異動などで前任者から後任者へ業務の引き継ぎを行うときも「申し送り」がされます。
「申し送り」の意味や使い方を頭に入れておき、言葉を耳にしたときに困らないようにしましょう。