グローバルモビリティとは?意味、人事制度、メリットなどもわかりやすく紹介

「グローバルモビリティ」とは「国際間人事異動」のこと

関西から関東へ、北海道から九州へなど、国内での転勤はよくありますが、日本企業もグローバル化が進んでいる昨今、国境を越えた人事異動も行われています。このように国際間で行われる人事異動を「グローバルモビリティ」といいます。

自分自身は海外に行くことはないと思っていても、海外から日本に異動してくる場合もあるので、覚えておくと便利な言葉です。本記事では、言葉の意味や使い方だけでなく、課題、問題点などについてもわかりやすく紹介します。

「グローバルモビリティ」の英語は「global mobility」

「グローバルモビリティ」は、「global」(国際的な)「mobility」(移動性)をあわせた言葉で、直訳すると「世界的な移動性」となるが、海外では使われていない言葉です。ですので、海外の人に「国際間の人事異動」ということを伝える場合はこのような表現になります。

・Transfer abroad(海外転勤)
・Personnel transfers to other countries(他国への人事異動)

日本においての「グローバルモビリティ」とは

「グローバルモビリティ」は、「国際間人事異動」という意味ですが、日本企業の会話の中では「海外赴任」「海外への転勤」と呼ばれることが多いです。また、「グローバルモビリティ」は、日本の従業員が海外に異動するだけでなく、海外から日本に来る場合も含まれます。

グローバルモビリティの例

・東京本社の社員をアメリカ支社の主任として赴任させる。
・東北工場の製造部主任を台湾工場の工場長として異動させる。
・イギリス支社の社員をアメリカ支社に異動させる。
・イギリス支社の技術者に日本の開発部へ出向してもらう。

「グローバルモビリティ」実施にあたっての課題や問題点

「グローバルモビリティ」は、異動する側、受け入れる側、双方の同意があれば、人が動くだけという簡単なものでありません。国内での異動では必要としない事務作業や知識が必要になるため、知識不足のまま異動を行うとさまざまな問題が発生します。

国によって異なる人事制度

国によって、職務の定義や人事評価の考え方が異なるため、世界の全拠点を対象とした、企業全体の人事制度の統一が必要となります。

国によって異なる人事オペレーション

国によって、ビザの取得や申請手続きなどの方法が異なります。そのため、異動先の法律を明確に理解しておかなくてはなりません。

外部委託で人事業務軽減

世界各国に営業拠点をもつ企業では、国際間の人事異動も多く、事務作業に携わる人事業務を行う部門の従業員もさまざまな知識が必要となります。そのため、社内だけでは手が回らないことも多く、以下のような、グローバルモビリティに関する専門企業に外部委託するケースもあります。
(情報参照元:SOCIARISE

「グローバルモビリティ」のメリット

異動の際の手続きや事務作業は国内の異動に比べてかなり大変になるにも関わらず、グローバルモビリティを活用するのには、それなりのメリットがあるためです。ここでは、大きなメリットをピックアップしてわかりやすく紹介しておきます。

新たなイノベーションが起こりやすい

イノベーションとは、「技術革新」「新しい捉え方」「新しい切り口」などの意味をもつ言葉です。日本人の中でもさまざまな考え方をもった人がおり、価値観もいろいろです。それが国境を越えることで、考え方の種類もより多くなり、国内の従業員どうしでは出なかった切り口も見つかりやすいです。

即戦力の集結で業務のスピードアップが図れる

例えば、新しい事業を始める場合、ひとつの組織内の優秀な人材をそこに全員集めるわけにはいかず、教育が必要な人材の配置も必要になってきます。しかし、早期に何かを始めたい場合は、教育に時間を割くわけにはいきません。そういったとき、グローバルモビリティを活用すれば、各国の即戦力になる人材を少しずつ集めることで教育の時間を削ることができ、迅速に作業が進められます

企業の発展につながる

企業を発展させていくためには、優秀な人材が揃っていなければならないわけですが、モチベーションが上がらいような環境では貴重な従業員が他社に流出してしまいます。たとえば、優秀な人材が本社に多く在籍していた場合、優秀であってもそこで3番手、4番手ならなかなか昇進は叶いません。しかし、グローバルモビリティで3番手であってもアメリカでトップになれるのであれば、従業員のモチベーションが保てるため、優秀な人材の流出が防げます。結果、企業全体の技術力・知識力はキープさらには向上できるため、企業の発展につながっていくわけです。

「グローバルモビリティ」の使い方・例文

現代のビジネスシーンでも、「海外赴任」「海外への転勤」という表現をすることが多いので、「グローバルモビリティ」をどのように使えばいいのか迷う人もいるでしょう。そこで、会話や文章中での利用方法を例文で紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

例文

・企業としてもっと発展していくためにグローバルモビリティを意識した人員の配置転換を考えていく必要がある。
グローバルモビリティにより、来月から優秀なドイツのシステムエンジニア2名がうちの課に配属されることになった。
グローバルモビリティで海外を含めた人事異動を積極的に行うようになってから、社内に活気がでてきたように思う。

「グローバルモビリティ」の類語・言い換え

「グローバルモビリティ」を日本語で言い換える場合は、「国際間人事異動」「国境を越えた人事異動」という言葉を使うのがわかりやすいですが、カタカナ用語の類語としては「インターナルモビリティ」があります。

インターナルモビリティ

インターナルモビリティは、「internal=内部の」と「mobility=移動性」からできた造語で、「企業内人事異動」という意味があり、主に、従業員の希望に沿った異動で、社内公募や配置転換希望を募り、希望者の中から選考によって決定されています。なお、大手企業でグループ会社をもっているところについては、グループ間の異動も含めるのが通常です。

【番外編】グローバルモビリティサービス株式会社とは?

グローバルモビリティ株式会社(Global Mobility Service株式会社、略称GMS)は、東京に本社を構え、fintech(フィンテック)*サービスをグローバルに展開している企業です。(fintech(フィンテック)*:金融とITを融合した革新技術で、それに関するベンチャー企業が行うビジネスのこと。投資ツール、暗号通貨決済サービスなどがある。)

こちらの会社が事業のひとつとしている「世界の貧困層を救うFinTechサービス」は、ビジネスモデルとして2019年グッドデザイン賞の経済産業大臣賞を受賞しました。
(企業情報:グローバルモビリティ株式会社 会社概要

GMSへ資本参加している東証一部上場企業は10社以上あり、FinTech業界の未上場ベンチャー企業としては最多です。この実績からGMSの評判の良さがうかがえます。

「グローバルモビリティ」問題点を解決してから実施しよう

企業発展のために「グローバルモビリティ」を視野に入れようとしている企業は多いことでしょう。しかし、目先のメリットばかりに目を向けていると実行の際にトラブルが多発します。そのために、本記事で伝えている課題や問題点はしっかりと解決してから実際の人事異動に踏み切るようにしてください。