「差分」とはわかりやすくいうとどんな意味?ビジネスやIT分野での使い方も解説

「差分」とはどんな言葉?

「差分」の意味は、「2つの同じ種類のものの間にある違いや値の差」です。

類語は、「差異」「差」「相違」「違い」「変更点」。

英語で表すときは、「difference」を使います。

「差分」とはどんな意味?読み方は?

「差分」の読み方は「さぶん」。一般的には次の意味で使われます。

差分
2つの同じ種類のものの間にある違いや値の差

「差分」は、もともとは中国や日本の昔の算術で使用されていた計算手法の呼び名でした。この手法は、財産や金銭を等級に差があるものに、その差に応じた割合で公平に分配するときなどに用いられていました。

数学での「差分」

「差分」は、現代の数学でも使われている言葉です。

数学では、関数 y=f(x)でx₁の場合とx₂の場合、それぞれの関数値 y=f(x₁)と y=f(x₂)の差などのことを「差分」と読んでいます。

ビジネスでの「差分」

ビジネスでの「差分」は、市場調査など数学の統計の考え方を使うシーンで使われます

例えば、昨年度と今年度の売上を比較したときや、先月と今月の利用回数を比較したときの、両者の差を「差分」といいます。

自社とライバル企業を比較したときに判明する、両社の違いも「差分」と呼ばれます。

IT分野での「差分」

IT分野では、ファイルなど2つのデータの集合を比較したときの、両者の違いだけを抜き出したものを「差分」といいます。

例えば自社とライバル企業のデータをそれぞれまとめた、次のようなファイルがあるとします。

自社
所在地:東京都
業種:メーカー(機械・電気)業界
従業員数:4,207名
従業員平均年齢:45.2歳
売上高:7,230億円
ライバル企業
所在地:東京都
業種:メーカー(機械・電気)業界
従業員数:3,223名
従業員平均年齢:34.7歳
売上高:2,394億円

この場合は、自社ファイルとライバル企業ファイルのデータで違っている次の部分が、この2つのファイルでの「差分」になります。

自社
従業員数:4,207名
従業員平均年齢:45.2歳
売上高:7,230億円
ライバル企業
従業員数:3,223名
従業員平均年齢:34.7歳
売上高:2,394億円

新旧のデータの違いも「差分」

ファイルやプログラム、ソフトウェアなどを編集・更新したときの、新旧のデータの違いをまとめたものも「差分」と呼ばれます。

変更履歴の話で「差分」といわれたら、こちらの意味だと思ってください。

バックアップでの差分とは

バックアップでの差分は、初回のデータからの差のこと。

バックアップには次のように、いくつかのやり方があります。

フルバックアップ
ディスク内に保存されているすべてのデータを、そっくりそのまままるごと複製するやり方。2回目以降のバックアップでも、ディスク内のすべてのデータを複製する
差分バックアップ
初回のバックアップのみフルバックアップを行い、2回目からのバックアップでは初回にフルバックアップしたデータとの比較で、変更・追加された部分のデータだけを複製するやり方
増分バックアップ
初回のバックアップのみフルバックアップを行い、2回目からは前回のバックアップとの比較で変更・追加された部分のデータだけを複製するやり方

差分バックアップと増分バックアップの違いは、2回目以降のバックアップのやり方です。増分バックアップでは、初回のフルバックアップのデータとの「差」ではなく、前回のバックアップのデータとの比較で「差」になっている部分だけを追加でバックアップしていきます。

デザインでの「差分」

デザインでの「差分」は、ベースになる図案とは異なるタイプの図案のこと。ベースの図案に、色味や動きの変更など、何かしらのアレンジが加えられたものをいいます。

例えば、恋愛シミュレーションゲームやノベルゲームでは、キャラクターのスチル(静止画)を作成するとき、基本となる画像のほかに、表情や服装を少しずつ変えた画像を何種類か作る場合が多いです。

そのようなゲームで「差分」といったときは、この基本の画像からアレンジされた画像のことを指しています。

VTuberでの「差分」

バーチャルYouTuber(VTuber)とは、2Dや3Dキャラクターを自分のアバターとして使い、YouTubeで動画投稿やライブ配信をするYouTuberのこと。

このVTuberでの「差分」は、特定のキーを押すことで、基本のイラストとは違う表情やポーズをしたイラストに画像を入れ替えられる機能です。

BMSでの「差分」

BMS(Be-Music Source)は、MOD感覚で音楽を作ったり、演奏したりできる同人音楽ゲームの譜面フォーマット。

このBMSでの「差分」は、既存のBMS作品に追加して、原曲の譜面とは別の譜面を作って遊べる追加ファイルのことです。

原曲の難易度を上げるためのものや、アレンジを加え雰囲気の異なる曲にするためのものなど、いろいろな種類があります。

「差分」の使い方を例文で学ぼう

「差分」の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・昨年と今年のデータの差分をとる。
・テキストの差分を抽出し、簡単に比較できるサービスを提供する。
・TRPGなどで使えるキャラクターの立ち絵を差分込みで作成いたします。
・人気キャラクター〇〇の「デレ顔パーツ」の表情差分が付属した、可動フィギュアが発売されることになった。

例文に出てきた「差分をとる」とは、2つのものを比較し違う部分を抜き出すことをいいます。

「差分」の類語・言い換え表現

「差分」の類語は、「差異」「差」「相違」「違い」「変更点」です。次のように使います。

例文
・男女の賃金差異を解消する。
・デザインの少しの差で売り上げは大きく変わる。
・両者の意見に一部相違がある。
・ライバル企業との違いを探す。
・サービスの変更点を解説する。

「差分」は英語だと?

「差分」は英語だと、「difference」で表します。

difference
違い、相違、差異、相違点、差

「difference」は「diff」と省略して書かれる場合もあります。

「差分」の意味は2つの「差」

「差分」の意味は、「2つの同じ種類のものの間にある違いや値の差」

ビジネスやパソコン関係、デザインなど、様々な分野で使われている意外に身近な言葉です。

難しい内容で使用される場合もありますが、「差分」が比較する2つのものの違うところであることだけでも頭に入っていれば、文章を理解しやすくなります。

目にしたときに困らないように、言葉の意味を覚えておきましょう。