ペルソナとは?心理学やビジネスでの意味、使い方、英語も解説

ペルソナとは簡単にいうとどんな言葉?

ペルソナの意味は、「仮面」「人。人格」です。

類語は、「表の顔」「ユーザー像」「顧客像」。

英語で表すときは、「persona」を使います。

ペルソナとはどんな意味?語源は?

ペルソナは、次の意味をもつカタカナ語です。

ペルソナ
・仮面
人。人格

ペルソナは、もともとは「仮面」という意味のラテン語でした。

古典劇で俳優がかぶっていた「仮面」を意味する言葉として使われていたのが、俳優の演じる役(演劇のなかの登場人物)を意味するようになりました。そこからさらに意味が広がって、「人物」や「性格」「個的人格」を表す言葉になり、今に至ります。

心理学でのペルソナとは

心理学でのペルソナは、「自己の外的側面」という意味で使われています。「自己の外的側面」とは、「人が、自分以外の人に見せる外向きの自分の姿」のこと。

この意味のペルソナは、スイスの心理学者 ユングによって提唱されました。

人はペルソナを使い分けて生きている

男性ならば「力強さ」や「頼もしさ」などの男らしさをペルソナとして持っており、女性は「優しさ」や「包容力」のような女らしさをペルソナとして持っているといわれています。

また、男らしさや女らしさのほかにも、人はいくつものペルソナを持っています。

例えば、職場では上司に向けて見せる顔(態度)、顧客や取引先の人に見せる顔、同僚に見せる顔、部下に見せる顔はみな違っていますよね。また、プライベートでは家族に見せる顔、実の両親に見せる顔、義理の両親に見せる顔、友人に見せる顔、恋人に見せる顔など、これらもすべて異なっているのではないでしょうか。

人は、複雑な社会のなかで周囲の人とうまく付き合いながら生きていくために、これらのペルソナを無意識に使い分けているのです。

マーケティングでのペルソナとは

マーケティングでのペルソナは、自社の商品やサービスを販売する対象として想定するユーザー像の具体的なイメージ。似た言葉にターゲットがありますが、ターゲットとペルソナは別物です。

ターゲットとペルソナは、どちらも自社の商品やサービスの販売対象となるユーザー像を意味しますが、ターゲットといった場合は「年齢・性別・職業・趣味」程度しかユーザーの情報を設定していません。そのため、多くの属性の人物がその範囲に含まれます。

ペルソナといった場合は詳細にユーザー情報を設定し、ターゲットよりも属性を絞り込んだ、リアリティのある人物像を表しています。

ペルソナのメリット

ペルソナのメリットは、商品開発やマーケティングに関係するすべての担当者たちの間で、対象となる人物像を明確に共有できることです。認識をひとつにすることにより、社員間の意思の疎通がスムーズになり、共通の目標に向かって効率的に動けるようになります。

また、ペルソナのニーズを考えることで、本物のユーザーのニーズもより明確にイメージできるようになるため、本物のユーザーのニーズにしっかり刺さる商品やサービスを開発できます。ペルソナのライフスタイルや興味関心を考えることで、本物のユーザーの目に留まりやすく、興味も引ける宣伝方法を考えやすくなります。

ペルソナの作り方

ペルソナを考えるときは、どのような人物なのかリアルに想像できる人物を作り出さなければなりません。身近に本当にいそうな人物を考えるのがコツです。

①現実のユーザーを調査

思い込みや先入観で考えてしまわないように、現実のユーザーのリアルな姿を調査しましょう。

SNS、ブログ、インターネットの口コミなどから、その商品やサービスを実際に使っている本当のユーザーの声を集めます。そのほかにもお客様アンケートの見直しや、実際に顧客と接する営業担当からの聞き取り、ユーザーへのインタビューなどを行います。

②人物設定を考える

収集した情報から必要な情報を取捨選択し、対象となる架空の人物設定を、次のように細かく考えていきましょう。

人物設定
・年齢
・性別
・居住地域
・住居情報(持ち家、実家、賃貸など)
・最終学歴
・職業
・役職
・年収
・家族構成
・趣味
・特技
・価値観
・平日のタイムスケジュール
・休日の過ごし方
・所有するデバイス
・よく使うSNS
・どの時間帯にどのようなメディアを見るのか(テレビ番組など)
・現在の悩み(自社の商品やサービスに関わる分野での悩み)
・悩みを解決した後のなりたい姿

イメージを絞り込んだ、本当にいそうな代表的なユーザーの姿を考えることがポイントです。イメージの幅が広すぎると、ペルソナから連想する人物像が、社員間で統一できなくなってしまいます。また、複雑すぎる設定も人物像をイメージしにくくなるのでNG。必要なさそうな余計な情報は省きましょう。

ペルソナは、情報の箇条書きに加えて人物になり切った自己紹介文を作ったり、写真や動画を使ったりすると、より人物像をイメージしやすくなります。

複数のペルソナが必要な場合もある

商品やサービスを利用する代表的なユーザーが複数の属性にそれぞれいるときは、属性ごとに別々のペルソナを作る必要があります。

属性の異なる人物を融合させたペルソナを作るのはダメです。属性の異なる人物のデータを融合させると、実際のユーザーからかけ離れたペルソナになってしまいます。

③ペルソナは見直しが必要

ペルソナは、作って終わりではありません。

ペルソナが間違っている場合もあるので、運用しながらの修正が必要です。また、時の流れによって本物のユーザーは変化していきます。そのため、定期的に見直しをする必要があります。

SNSでのペルソナとは

TwitterやInstagramなど、SNS運用の話でもペルソナは使われます。SNSでのペルソナは次の意味です。

SNSでのペルソナ
情報を届ける対象として想定する架空の人物像
②企業公式SNSを運営する人物として作られた、架空のSNS運営担当者

①の意味のペルソナは、マーケティングでのペルソナに似ています。どんな人物に自分が発信する情報を見てもらいたいのか、対象ユーザーの条件を絞り込むためのものです。ペルソナを用意することで、特定の層に刺さる情報をぶれずに発信をできるようになります。

②の意味のペルソナは、実際に企業公式SNSの運営を担当する社員が、会社の公式SNS担当者を演じるために作られます。ペルソナを作っておくことで、SNS担当者が変更になった場合にもぶれない情報発信ができるようになります。

採用でのペルソナとは

採用の話でのペルソナの意味は、「企業が採用したい人物像」です。

採用でのペルソナは、求める人材の「年齢」「学歴」「経験」「スキル」「性格」「志向性」「行動特徴」「家族構成」「現職の悩み」「転職によって叶えたい希望」「任せたい業務」「予定年収」などから構成されます。

採用でのペルソナは、自社ですでに活躍している既存の社員たちの情報を収集し、それらに共通している事柄などをもとに作り上げます。作ったペルソナは、求人市場にいる実際の求職者たちの情報と照らし合わせて改善していきます。

ペルソナの使い方を例文で学ぼう

ペルソナの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・マーケティングでは、ペルソナ設定が重要だ。
・ITエンジニア採用のペルソナ設計について調べる。
ペルソナの作り方を学べるセミナーを開催する。
・「ペルソナ」のアニメにはまり、原作ゲームにも手を出した。

例文に出てきたゲームの「ペルソナ」は、株式会社アトラスが販売する人気RPGゲームです。

ペルソナの類語・言い換え表現

ペルソナの類語は、「表の顔」「ユーザー像」「顧客像」です。それぞれの意味や使い方も頭に入れておきましょう。

表の顔
【意味】
表向きに見せる態度や表情のこと

【例文】
彼は表の顔と裏の顔のギャップが激しすぎる。

ユーザー像
【意味】
ユーザーのイメージ

【例文】
旅行好きのユーザー像を調査する。

顧客像
【意味】
顧客のイメージ

【例文】
データを分析し、自社の顧客像を把握する。

ペルソナは英語だと?

ペルソナは、英語だと「persona」と表記されます。

persona
・(劇などの)登場人物
・(文学作品の)語り手
・(装っている)役割、人格

マーケティング用語として「ペルソナ」を使っているときは、「marketing persona(マーケティングペルソナ)」や「buyer persona(バイヤーペルソナ)」「customer persona(顧客ペルソナ)」を用いるとニュアンスを伝えられます。

ペルソナの意味を正しく読み取れるようになろう

ペルソナの意味は「仮面」「人。人格」です。ここから意味合いが広がって、マーケティングや採用など、ビジネスのいろいろな分野で使われています。

分野ごとのペルソナの意味を頭に入れておき、文脈に合わせたニュアンスで解釈できるようになりましょう。