コミットメントとは?ビジネスでの使い方は?分野別の意味、例文、英語も解説

「コミットメント」とは「責任をもって約束する」こと

コミットメントとは、「責任をもって約束する」「責任をもって関わる」など、強い意志をもって公言することを指す言葉です。ビジネスシーンでは頻繁に使われるため、社会人であれば意味や使い方は覚えておきたいものです。本記事では、英語表現、類語、言い換えなども含め、わかりやすく解説します。

「コミットメント」の英語は「commitment」

コミットメントを英語で表記すると「commitment」で、意味は次のとおりです。

・責任
・専念
・約束
・義務
・誓約
・(裁判所)の収容令状

日本語の「コミットメント」は英語の「commitment」が由来となっていますが、英語の中ではこのような使い方をします。

・I want commitment.
(確約が欲しい)
・I have a commitment to my mother.
(私には母との約束があります。)
・commitment to being a leader
(指揮官であることに対する義務)
・commitment to free trade
(自由貿易の公約)
・annual commitment
(年間契約)
・labor commitment
(労働契約)

日本語においての「コミットメント」とは

日本語の中で使われている「コミットメント」は、一般的なビジネスシーンだけでなく、さまざまな分野で異なる意味をもって使われています。ですので、各分野での使い方をきちんと理解しておく必要があります。

コミットメントの意味①ビジネス

ビジネスシーンでの「コミットメント」は、契約や商談の場において、「約束」や「誓約」の意味を使われることが多いです。たとえば、一つの商談を成立させたときには、「この内容で進めることを約束してもらった」という意味で「これでコミットメントを得られた」と表現します。

そのほか、「主体性をもって真剣に関わる」という意味でも使われる場合がありますが、いずれの意味あいでも「責任をもった姿勢」という面では同じです。

例文

・B社との契約書ですが、先日提出した内容でコミットメントしてもらえました。
・来年度に予定されている新規プロジェクトにコミットメントすることにした。

コミットメントの意味②経済学

経済学分野においての「コミットメント」には、「特定の行動だけしかとれないように、実効性のある仕組みをつくる」という意味があります。

たとえば、高い家電を購入するために複数店舗で価格調査をしているお客様がいた場合。「これまでで一番安い価格は?見積書を見せていただければ、当店ではそれよりも安くします」と伝えた際に、お客様としては「安くする」と言ってくれた店舗で購入しますよね?この場合、お客様の行動を、店舗側で制限してしまったということになるわけです。

例文

・仕入れ価格を極限まで下げられたことで、今月はコミットメント件数がとても多い。

コミットメントの意味③金融

金融業界においては、主に契約が必要な業務の中で、「コミットメントライン」という言葉が使われています。これは、銀行などが顧客に融資や貸し出しを行う際、「融資枠」「金利」「期間」などに一定の枠を設け、その中範囲内であれば顧客の請求に基づき融資できるという仕組みです。

「コミットメントライン」を設けることで、融資依頼があるたびに審査を行う必要がないため、融資作業がスムーズに行えるようになります。

例文

・この企業はあと100万円でコミットメントラインに達するので、念のためにお客様にお伝えしておきます。

「コミットメントライン」と「当座貸越」の違い

小切手を発行する際には「当座預金」が必要です。通常は預金額以内で振り出しを行うもので、預金額以上の小切手を発行してしまえば不渡りとなってしまいます。しかし、前もって銀行と契約をしておけば、一定額までは銀行が立て替えてくれるため、不渡りが回避できるという仕組みがあります。これが「当座貸越」です。ただし、貸し出しの銀行の審査があるので、一定条件以内であれば審査不要の「コミットメントライン」とは違いがあります。

コミットメントの意味④心理学

心理学の分野では「決断する」という意味で使われています。人は、実際に口に出して宣言すると、「言ったことを守ろう」という心理が働きやすいものです。それが、公的な場所での宣言となれば、さらに言葉に対しての責任感が強くなり、「絶対に達成しよう」という心理が働きます。

これは、カウンセリングの際にも用いられることがあり、「コミットメント効果」と呼ばれています。

例文

・意志が弱く、なかなか決めたことが実行できないので、今回はコミットメント効果を用いることにした。

「コミットメント」が含まれた言葉を紹介

「コミットメント」は、さまざまな分野で用いられていますが、世の中にはほかにも「コミットメント〇〇」「〇〇コミットメント」という言葉が存在します。ここでは、比較的多く使われている用語について解説するので、関連付けて覚えておくと便利です。

トップコミットメント

企業の社長やCEOといった、企業のトップからの所信表明を「トップコミットメント」といいます。「所信表明」とは、自身の考え、企業の方針などについて表明することで、特に強い意志をもった発言として捉えられています。

パブリックコミットメント

「パブリック(public)」には、「公衆の、公共の、公然の」という意味があり、「パブリックコメント」とは、「公衆の面前で発言する約束・目標」のことをいいます。ただし、政府が国民に行うような宣言ほどの重みはなく、友人、家族、職場の上司など、第三者的な立場の人の前といったラフなものです。

コミットメントレター

金融機関に融資を依頼した場合、さまざまな審査が行われたのち、「この内容で契約しますか?」という内容の書面が提示されます。この、融資内容が詳しく掲載された書面が「コミットメントレター」です。

「コミットメント」の類語・言い換え

「コミットメント」は、さまざまな意味で使われているので、日本語の言い換え表現も状況によって異なります

「責任の強い約束」という意味の言い換え表現

・確約
・誓約
・誓う
・約定
・決意表明
・公約
・責任
・義務 など

「真剣に関わる」の意味の言い換え表現

・関与(する)
・委託
・関わりをもつ
・深入りする
・関係をもつ など

「コミットメント」の意味を理解し状況に応じて正しく使おう

社会では、さまざまな場所で「コミットメント」が使われていますが、用いられる分野や状況で意味が異なります。ですので、正しい意味をきちんと理解し、その場にあった解釈ができるようにしておきましょう。