剣吞とは?剣吞な雰囲気って?読み方、意味、語源、類語、英語もわかりやすく解説

「剣呑」とは「危険/不安を感じるさま」のこと

「剣吞」とは、「危険を感じるさま」「不安を感じるさま」を指しますが、読み方を変えると別の意味になるので、使い方に注意が必要な言葉です。なお、対義語は、安定な様子、危険のない状況を表わす「安心」「安全」「安泰」などになるので、併せて覚えておきましょう。

「剣呑」の読み方・意味

「剣吞」は「けんのん」と読み、自分が置かれている状況や周囲の状況に「危険を感じる様子」、なんとなく落ち着かなかったり、胸騒ぎがしたりして「不安に感じている様子」を意味する言葉です。

「けんのみ」と読む場合もある

「剣吞」は多くの場合「けんのん」と読みますが、「けんのみ」の読みで使われることがあります。「けんのみ」とは、「激しく叱りつける」ことを意味しており、次のようにな使い方をします。

例文

立て続けに起こした部下の失敗の件で、上司から剣吞(けんのみ)を受けた。

このように、状況によって判断しなければならなかったり、間違った解釈をされたりする場合もあるので、「けんのみ」ではあまり使われておらず、このような状況では同じ意味をもつ「剣突(けんつく)」を使うことが多いです。

「剣呑」の由来・語源

「剣吞」は、もともと「険しく難しい」ということを指す「険難(けんなん)」という言葉が使われていました昔は、現代と異なり、刃物などで襲われることが多かったため、「災難が降りかかる危険を感じる・不安を感じる」状況も珍しくありませんでした。そして時代のともに、「けんなん」が「けんのん」に変化し、字も「剣吞」に変化したといわれています。

なお、語源を知っている場合は、「剣難」「険吞」など、間違った表記をしてしまうこともあるので、誤用には注意しましょう。

「剣呑」の使い方・例文

「剣吞」は、明らかに危険な状況下や、実際に危険であったという場合ではなく、「危険に感じる」「不安を感じる」ときに使う言葉です。

剣吞な雰囲気

「剣吞な雰囲気」とは、「危険を感じる様子」「危なげな雰囲気」という意味で、「剣吞」を用いる言葉としては比較的よく使われます。

例文

・なんとなく剣吞な雰囲気だったので、違う道で帰ることにした。

剣吞な眼差し

「剣吞な眼差し」は、「不安な目」をしている場合に用いられます。

例文

新人がプレゼンをしている最中、剣吞な眼差しで私のことを見てきたので、隣に行き何が問題なのかを尋ねた。

「剣呑、剣吞」と繰り返す場合の意味

「剣吞」は、二回続けて「剣吞、剣吞」と言う場合がありますが、これは次のような状況を表わして使います。

「剣呑、剣吞」の意味

・「危なかった」「ホッとした」と胸をなでおろす状況を表わす。
・注意喚起の意味を含め「くわばら、くわばら」を表わす。

「剣呑」の類語・言い換え表現

「剣吞」をほかの言葉に言い換える場合、次のような表現ができます。

「剣吞」の言い換え表現

・危険(きけん)
・不穏(ふおん)
・きな臭い
・物騒(ぶっそう)
・心騒ぐ
・危惧(きぐ)する など

なお、「不穏(ふおん)」は、「状況が不安定で、危険をはらんでいるさま」、「危惧(きぐ)」は、「危ぶみ恐れる」という意味なので、状況によって上手に使い分けてください。

「剣呑」の英語表現

「剣吞」を英語で表す場合は、「危険を感じる」の意味と、「不安を感じる」の意味で適した単語が異なります

【「危険を感じる」の場合】
・dangerous
・risky
(例文)この空き地は剣吞な感じがする。
・This vacant lot has a dangerous feeling.
・This vacant lot has a risky feeling.

【「不安を感じる」の場合】
・insecure
・precarious
(例文)彼はとても剣吞な気持ちをにじませている。
・He exudes a very insecure feeling.
・He exudes a very precarious feeling.

「剣呑」の意味を理解し正しく使おう!

「剣吞」は、難しい言葉のように感じますが、意味を理解できれば会話の中で簡単に使うことができます。ただし、2回繰り返した場合にはニュアンスが異なるので、間違わないようにしましょう。