「感銘」とは「忘れられないほど深く心に感じる」という意味
「感銘」とは、「深く感動して忘れない」「忘れられないほど深く心に感じる」という意味をもつ言葉で、「感銘を受ける/受けた」のようによく使われます。しかし、「心に感じる」ことを表現するのに手軽に使われている言葉に「感動」があり、使い方に迷う人も多いのではないでしょうか。本記事では、「感銘」の意味や正しい使い方をわかりやすく解説するとともに、英語、類語、言い換えなどについても紹介します。
なお、対義語には、心が動かないことを指す「無感動」、あてが外れてがっかりする意味の「失望」などがあてはまりますが、詳しくは後述するので、順番に読み進めてください。
「感銘」の読み方・意味
「感銘」は「かんめい」と読みます。それそれの漢字がもつ意味は次のとおりです。
【感】
・ものごとに触れた際の心の動き。
・心を動かす。
・心に響く。
【銘】
・記す。
・刻む。
・深く心に刻む。
これらの意味が合わさり、このような意味になります。
・深く感動して忘れないこと。
・忘れられないほど深く心に感じること。
・心に深く刻みつけて忘れないこと。
「感銘」は「肝銘」とも書くことがある
通常、「心に深く刻みつけて忘れない」意味での「かんめい」は「感銘」と表記しますが、「肝銘」と書く場合もあります。
「肝銘」の「肝」は、心臓に匹敵するほど重要な臓器といわれている「肝臓」を指しており、大切な部分に深く刻み込まれる様子を表わし、「肝銘」が使われるようになりました。
「感銘」の使い方・例文
「感銘」は、ちょっとした心の動きの場合ではなく、「何年経過しても忘れられないほど、心に刻み込まれた」ときに使います。
感銘を受ける/受けた
「感銘」を用いたフレーズでよくあるのが「感銘を受ける/受けた」で、「自分自身の心に深く刻み込まれた」ときに使います。
・長年の努力が実を結んだ同僚の研究結果に感銘を受け、自分ももう一度頑張ってみようと思った。
・大学時代の恩師の言葉に感銘を受けた。
感銘を覚える
「感銘を受ける」と同じく、「自分自身の心に深く刻み込まれた」「忘れられないほど深い感情を抱いた」ときに使います。
・これ以上に感銘を覚える出来事はもうないだろう。
感銘を与える
「感銘を与える」は、「相手に忘れられないほどの感情を抱かせる」ときに使います。
彼の歌声は、会場にいるすべての人に感銘を与えた。
「感銘」の類語・言い換え表現
「感銘」をほかの言葉で表現したい場合は次の言葉が使えます。しかし、少しずつニュアンスが異なるので、状況に応じて使い分けてください。
【感心】
心深くに感じること。
【敬服】
感心し、敬うこと。
【胸に響く】
人の言動に感動すること。
【感激】
強く心を動かすこと。
【感動】
物事に深く感じ、心を動かすこと。
「感銘」と「感動」の違い
どちらも「心が動かされること」を表わす言葉ですが、「感銘」と「感動」では、どの程度心が動いたか、という点で違いがあります。
【感銘】
生涯忘れることはないと思うほど、深く心に感じる。
【感動】
心を強く動かされるが、その場限りの感情である。
「感銘」の対義語
冒頭で、「感銘」の対義語として「無感動」と「失望」を紹介しましたが、これら以外にもいくつが存在します。そこで、「無感動」「失望」も含め、解説とともにまとめてみました。
【無感動】
心が動かないこと。
【失望】
がっかりすること。
【幻滅】
美しく理想化されていた事が現実には幻にすぎなかったことと悟り、がっかりすること。
【冷淡】
同情や熱意をもたないさま。
「感銘」の英語表現
「感銘」を英語で表す場合、「impression=印象、感銘、感じ」や「inspiration=創造的思考状態、素晴らしい思いつき」を使います。また、日本語の表現でよく使われる「感銘を受ける」は、「to be impressed by」で表現します。
・I am impressed by his way of life.
(私は、彼の生き方に感銘を受けています。)
「感銘」の意味を理解し正しく使おう!
何かに心が動く、さまざまなものに感動するということは、心豊かだと印象を持たれやすい傾向にあります。しかし、「感銘」を多用すると、ちょっとしたことで心が動かされやすい、軽い人だととらえられることがあるので、状況に応じて適度な頻度で使うようにしましょう。