お電話とは自分にも使える敬語?お電話差し上げるは失礼?注意点や英語も解説

お電話とはこんな敬語

お電話は、「おでんわ」と読みます。電話を上品に表現した言い方で、上司や取引先など、目上の人に使える敬語です。

お電話に似た敬語には、「ご連絡」があります。完全に同じ意味ではありませんが、言い換えに使えます。

お電話を英語で表すときには、「call」を用いるとニュアンスを伝えられます。

お電話は尊敬語?それとも謙譲語?

お電話は、尊敬語、謙譲語のニュアンスでも使える敬語です。

お電話は、電話に丁寧なニュアンスを加える接頭語の「お」をつけた、美化語と呼ばれる別の敬語表現なので、単独では尊敬語や謙譲語にはなりません。しかし、後ろに来る言葉が尊敬語ならお電話も尊敬後のように用いることができ、謙譲語がくれば謙譲語みたいに使用できます。

美化語というのは、単語に「お」や「ご」をつけて上品で丁寧な言葉遣いにすることで、相手に対する敬意を示す言葉です。

尊敬語や謙譲語は、相手を持ち上げたり、自分を下げたりして敬意を表しますが、美化語自身は人を高めたり下げたりはしません。

ご電話とは言わない

美化語の「お」と「ご」の使い分けには、次のようなルールがあります。

「お」をつけるとき
和語と呼ばれる日本古来の言葉(漢字を訓読みするもの)には、「お」をつける。

例:おいとま、お稽古、お元気、お酒

「ご」をつけるとき
中国から伝わって日本語になった漢語(漢字を音読みするもの)には、「ご」をつける。

例:ご商談、ご提案、ご年配、ご要望

大体の言葉は、このルールで「お」と「ご」の区別ができます。しかし、中には例外もあり、「お電話」もそのひとつ。

「電話」は漢語なので、ルールに従うなら「ご」をつけるのですが、「ご電話」とはならず「お電話」とするのが正解です。

自分のことに「お電話」は使える?

結論から先に言うと、お電話は自分が電話するときにも使える言葉です。

自分のことに「お」をつけて敬語表現にするのは、変と感じる人もいるかもしれませんが、電話は自分ひとりで成り立つ行為ではないですよね。

仮に、自分から電話をしていたとしても、相手の電話機はりんりん音を鳴らし、相手がその電話に出て会話をすることになります。

電話は相手も動かなければ成立しないため、自分が電話をかける場合にも、敬語表現の「お電話」が使用できるのです。

お電話の使い方を学ぼう!

お電話は、後ろに来る言葉次第で尊敬の文脈にも、謙譲の文脈にもなる敬語です。

しかし、使い方次第では相手に失礼な物言いになることもあります。丁寧に話したつもりで、相手を不快にさせていたら大変ですよね。

正しい使い方を例を通して学びましょう。

お電話ありがとうございます

「お電話ありがとうございます」は、相手から電話をしてもらったときに使う尊敬のニュアンスの言い回しです。

電話の終わり際に、「お電話ありがとうございました」とお礼の言葉を述べて受話器を置くことはよくありますよね。でも、自分からかけた電話では使えないフレーズなので注意しましょう。

自分からかけた電話を切るときにふさわしい閉め言葉は、「お時間いただきありがとうございました」です。

お電話差し上げる

「電話してあげる」を謙譲語に直したものが、「お電話差し上げる」です。

敬語として間違ってはいませんが、「~してあげる」という言い方は上から目線な印象があり、相手を不快にさせてしまう恐れがあります。

「お電話差し上げる」を用いても大丈夫なのは、相手があなたに、電話をしてほしいと希望しているときのみです。

そのほかのシチュエーションや、言葉に厳しい人と話すときには、「お電話いたします」に言い換えるようにしましょう。

お電話させていただきます

「お電話させていただきます」は、「お電話」に使役の意味をもつ「させて」と、「いただく(もらうの謙譲語)」をつけた謙譲語です。

「お電話させていただきます」も文法的に正しい敬語ですが、「させていただく」は、次の2つの条件を満たさないと使えないため、使用するときには注意しましょう。

①相手からそれをする許可を得ている
②それをすることで、自分に何かいいことがある

ビジネスの電話なら、それをすることで何かしら自分の仕事にメリットがあるため、②の条件は満たせますね。

「お電話させていただきます」を使うときには、相手から電話をする許可を得ているかを確認してからにしましょう。

お電話させていただきました

「お電話させていただきました」は、現在より前に、自分から電話をしていたときに使うフレーズです。

例文
午前中にお電話させていただきました◯◯と申します。

電話をしたけれど、相手が不在だったときにも、使用できます。

例文
先ほどお電話させていただきましたが、ご不在でしたので、メールにて失礼いたします。

この例文は、電話に出られなかった相手に気を使いながらも、致し方なくメールで連絡しているというニュアンスになります。

どちらの例文も丁寧な言い方で、問題ないようにも思えますが、「お電話させていただきました」は、「させていただく」を用いた表現です。

「相手から許可を得ている」と「自分にいいことがある」という条件を満たす必要があります。

相手から電話していいといわれていない場合は、使うことのできない言い回しになるので注意しましょう。

電話する許可を得ていないときには、「お電話いたしました」を使用することをおすすめします。

お電話いただいた

相手から現在より前に電話をもらっていたときに使うフレーズが、「お電話いただいた」です。

例文
・昨日お電話いただいた案件についてのご連絡です。
・先ほどお電話いただいたのですが、気づかずに申し訳ございませんでした。

「お~いただく」で、「あなたに~してもらってありがたいと思っている」というニュアンスの謙譲語になります。

「お電話いただいた」も、「電話をしてもらってありがたい」という意味になり、文法的に正しい敬語表現です。

相手を立てる言い方にしたい場合は、尊敬語の「お電話くださった」を用いてください。

お電話の類語はご連絡

ご連絡はお電話と同じく、相手の動作のときも、自分のときにも使える敬語表現です。

連絡手段は電話だけではないため、完全に同じ意味にはなりませんが、言い換えに用いることができます。

・お電話ありがとうございました。→ご連絡ありがとうございました。
・お電話させていただきます。→ご連絡させていただきます。

お電話の英語表現

お電話を英語にするときは、「call」が使えます。

call
・大声で呼ぶ
・呼びかける
・呼ぶ
電話をかけること

「call」を用いて、ビジネス会話でよく登場する、次のようなフレーズを表すことも可能です。

「お電話ありがとうございます」や「お電話ありがとうございました」

・Thank you for your call.
・Thank you for calling me.

「お電話お待ちしております」

・I am looking forward to you call.
・I’ll be waiting for your call.

「お電話してもよろしいでしょうか」

・Can I call you now?
・May I call you now?
・Are you able to take my call?

お電話を使ってみよう!

お電話は、ビジネスでよく使う敬語表現です。

相手から電話をもらったときも、自分からかけるときも、使用することができます。

お電話はある程度形が決まった、定型文のようなフレーズで用いられるケースが多い言葉でもあります。

使用するシチュエーションとセットで言い回しを覚えておくと、安心してお電話の使い方の練習ができますよ。機会をみつけてチャレンジしてみましょう!