「ご遠慮ください」の意味や用法は?強制力はある?「お控えください」との違いや英語も紹介

「ご遠慮ください」とは「やらないでください」の遠回しな表現

「ご遠慮ください」は、「やらないでください」「禁止です」を、遠回しに相手にお願いする言葉です。多くの人は、「ご遠慮ください」と書いていると「あぁ、ダメなんだな」と判断するかと思いますが、中には「絶対に駄目なの?」と思う人もいるでしょう。

本記事では、「ご遠慮ください」の言葉の意味や正しい使い方のほか、類語や英語表現についてもわかりやすく紹介します。

「ご遠慮ください」の意味

「ご遠慮ください」は、「遠慮」に「ご~ください」をつけて尊敬語にした形です。まずは、「遠慮」の意味をチェックしておきましょう。

「遠慮」の意味

・人に対し、言動を謹み控えること。
・辞退すること。
・ある場所から引き下がること。

「遠慮」という言葉そのものは、自分の言動に対しての表現ですが、それに「ご」と補助動詞の「~ください」をつけると、相手に何かをお願いしたり、敬意を表現したりする尊敬語になります。

つまり、「ご遠慮ください」は、「遠慮」の意味する言動を、相手に謹んでお願いしている言葉といえるわけです。

しかし、簡単な言葉でいうと「やらないでください」「禁止です」と言っているので、意味を正しく理解して使うようにしましょう。

「ご遠慮ください」の正しい用法・例文

「ご遠慮ください」は、建物内外の注意書き案内、社外文、オークションサイトの商品案内など、さまざまなところで使われています。わかりやすい例文をいくつか紹介するので、場面を想像しながら読んでみてください。

関係者以外の入室はご遠慮ください

社員やスタッフ専用入口などでよく見られる文面です。一般の人には絶対に入ってほしくない場合にこのような貼り紙がされていることが多いです。

敷地内での喫煙はご遠慮ください

館内が禁煙で、携帯の灰皿を利用して建物近辺で煙草を吸う人はいます。館外であっても、建物の敷地では喫煙してほしくない場合に、このような貼り紙がされています。

自宅で個装作業しているため、神経質な方のご購入はご遠慮ください

フリマサイトやオークションサイトの商品説明の中でよく見かける文面です。

この先は私有地です。立ち入りはご遠慮ください

公道と私有地の境目がわかりにくい場所に、このような文面の看板がかけられていることが多いです。

「禁止」ほどの強制力はない

「ご遠慮ください」を発する側としては、「禁止」の意味を含んでいることが多いです。しかし、言葉としては、「禁止」ほどの強制力はありません。そのため、法的に禁止されていることを周知させたい場合は、「法律で禁止されています」など、はっきりと表現することをおすすめします。

目上の人にはクッション言葉を併用する

「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」など、文章の前につけ、全体の印象を和らげる効果のある言葉を「クッション言葉」といいます。

「ご遠慮ください」は、「やめてください」「やらないでください」の意味で、強い印象に感じる人もいます。目上の人や、お客様に対しては「申し訳ございませんがご遠慮ください」という表現をしたほうが印象をよくする場合もあるので、状況に応じて使い分けてみましょう。

「ご遠慮ください」の類語・同義語・言い換え表現

「ご遠慮ください」に似た意味をもつ言葉も、日本語の表現としていくつか存在します。伝えたいニュアンスや言葉の違いで、類語を使ったほうがいい場合もあるので、ここで一緒に覚えておくと便利です。

ご遠慮願います

「ご遠慮ください」と「ご遠慮願います」は、どちらが丁寧だと言い切るのは難しく、ほぼ同じニュアンスだと考えられます

「~願います」は、お願いをしているため、「~ください」よりもへりくだっている感じがするかもしれません。しかし、尊敬語にするなら「お願いいたします」が正しく、「~願います」はただの丁寧語に近い表現になるので、勘違いしないようにしましょう。

お控えください

「控える」には、「自制や配慮をしてやめる」「度を越さないようにする」「少なめにする」といった意味があり、自分自身だけでなく、人に対しての言動にも使えます。

「お控えください」も「ご遠慮ください」と同様に、「やらないでください」「禁止です」の遠回しな表現として使えます。

しかし、「お控えください」のほうがより柔らかい印象になるため、絶対にやめてほしい場合には、「ご遠慮ください」のほうが強制力が強いイメージがあるといえます

「ご遠慮ください」の英語表現

「ご遠慮ください」を英語で表現したい場合は、「Please refrain from~動詞+ing」を使います。

・Please refrain from smoking here.
(ここでの喫煙はご遠慮ください。)
・Please refrain from using your cell phone.
(携帯電話の使用はご遠慮ください。)

「ご遠慮ください」の意味を理解しよう

「ご遠慮ください」は、遠慮しながらならやってもいいという意味ではありません。また、「お控えください」も「なるべくやらないほうがいい」と解釈されがちですが、どちらも「絶対にやめてほしい」という意味をもつ言葉です。これらを目にした場合は、「禁止」ととらえましょう