ケーススタディとは?看護とビジネスでのやり方は違う?分野ごとの意味も紹介

ケーススタディとは「具体的な事例から学ぶ」こと

「ケーススタディ」は、実際にあった具体的な事例を用いて学ぶことをいい、多くの会社で研修で実施されています。しかし、一般的なビジネスシーンだけではなく、いろいろな分野でケーススタディは行われており、それぞれ目的や内容が異なります

本記事では意味や会話での使い方だけではなく、やり方、関連語などについてもわかりやすく解説します。

ケーススタディの英語は「case study」

ケーススタディの英語は「case」と「study」、2つの単語から成り立っており、それぞれの意味は次のとおりです。

「case」の意味
・状況
・実例、事例
・事実、現実
・問題
・事件 など
「study」の意味
・勉強
・知識の獲得
・研究
・没頭
・勉強する
・調査する
・観察する など

ただし、ケーススタディは「事例研究」「症例研究」の意味で、「case study」の熟語でも辞書に掲載されていることが多いです。

日本語においての「ケーススタディ」とは

日本語で使われている「ケーススタディ」は、広い意味では「具体的な事例から学ぶこと」ですが、分野によって内容や目的が異なります。ここでは代表的なものについて解説しておきます。

ビジネス

ビジネスでは、「OJT」がまさにケーススタディにあたります。OJTとは、「On The Job Training」が正式名称で、実際に現場にでて、実務をしながら仕事を教えてもらうことをいいます。そのほか、空いた時間を利用し、過去にあった事例を通じ、勉強していくこともあります。

ケーススタディがもつメリット

ケーススタディを行うと、実際の仕事に早く慣れることができるため、即戦力として働くまでの時間も短縮されます

また、教えていると、自分が思いもよらない間違いや解釈違いをされる場合もあるため、新しい発見もあります。そのほか、事前にさまざまな事例により学習しておけば、同じ失敗の繰り返しを阻止できるので、リスク回避に役立つのもメリットだといえます。

安全工学

「安全工学」とは、医学や社会生活などにおいて、事故や災害を起こりにくくするよう、安全性を追求したり改善したりする工学のひとつです。「安全工学」においては、過去にあった事故や災害を事例に、分析や研究することがケーススタディになります。

法律

法律学の分野では、実際に起こった事件、実際に下された判決の例を用いて学習します。これをケーススタディといいます。

経営

経営とは、「事業を達成するために管理・遂行することやその組織体」「公的行事の運営を計画したり実行したりすること」を指します。経営分野においては、対策を立てるために、過去に起こった事故や事例を用いて研究していくことがケーススタディになります。

医療・看護

医療や看護の分野では、症例のことを「ケース」と呼んでおり、その症例についての勉強会が「ケーススタディ」で、日本語の名称では「症例検討会」といいます。ケーススタディは、各診療科ごとに実施される場合もありますが、外科学会、内科学会というように、講演会の中で行われる場合もあります。

教育

身につけたい知識を、参考書などからではなく、実例をもとに学んでいくことがケーススタディになります。何かひとつのテーマについて発表する際、グループでさまざまな情報を持ち寄って話し合ったり意見を出し合ったりしますよね。こういった作業もケーススタディのひとつです。

ビジネスにおける「ケーススタディ」のやり方

ビジネスにおいての「ケーススタディ」はいろいろなやり方があると思いますが、大きくは4つの工程にわけられます。ケーススタディで教える立場や進行係になる人はぜひ参考にしてみてください。

題材となる事例を決める

実際に社内で起こったことを事例にするのはわかりやすいですが、内容が少なく偏ってしまうことがあります。そのため、ネット検索や新聞記事から探したり、関連書籍を参考にしたりする方法もおすすめです。

事例を正しく把握し、内容をまとめる

自分自身が事例がどんな内容でどんな結果になったのかが把握できていなければ、聞く人も理解できません。情報を集めたら、内容を書き出してまとめながら、正しく把握していきましょう。

解決方法を考える

事例の内容がまとまったら、何が問題なのかを明確にします。次に、その問題についての解決方法を考えていきます。

アウトプットする

解決方法を見つけ出したら、ケーススタディを行っている人たちでその結論を共有します。そして、事例の内容から結論までがまとまったら、理解を深めるためにも他のグループの人たちに向けて発表するなど、アウトプットします。

紙面で理解ができているつもりでも、口に出すとなると意外と頭の中で整理できていない場合があります。アウトプットすることで、どこまで理解できているかを自分自身で把握できるといった効果があります。

「ケーススタディ」の使い方・例文

「ケーススタディ」は実際の会話ではどのように使われているのでしょうか。わかりやすい例文をいくつか紹介するので、場面を想像しながら読んでみてください。

例文
・今回の事故はめったにないのでケーススタディの事例として適しているだろう。
・ひとつの事例を用いてグループでケーススタディを行ったところ、解決策がいくつも出て「そんな方法もあるのか!」と新たな発見ができた。
・さまざまな事例をケーススタディで取り上げていたため、今回の問題もスムーズに解決できた。

ケーススタディの関連語

「ケーススタディ」をより深く理解するためにも、セットで覚えておきたい関連語がいくつかあります。その中でも代表的な言葉をここで紹介しておきます。

ケースメソッド

「ケーススタディ」は、勉強することを目的をするので、教えてもらうことがメインになっています。いっぽう、「ケースメソッド」は、事例を教材とし、最善策を自主的に考えて導き出す学習法で、自習に近いニュアンスがあります

ケースブックメソッド

「ケースブック」とは、さまざまな事例がテキストのようにまとめられた本や資料です。そして「メソッド」には、「何かの目的を達成するために決められた方法」の意味があります。

意味合いは前述した「ケースメソッド」と同じですが、テキストを利用しているかどうかの違いがあります。

ケーススタディハウス

「ケーススタディハウス」とは、アメリカ西海岸で始まった、実験的住宅プログラムを指しています。

これは、著名な建築家たちに手掛けられた、実験的・革新的な住宅の建築を提案するもので、建てられた住宅には実際に居住してもらい、居住者からさまざまな意見が出されるといったプログラムです。

日本でも狭小の土地に開放感のある住宅を建てるなど、テーマをもった実験住宅として実際に住んでもらう、ケーススタディハウスは存在します。

「ケーススタディ」を用いてステップアップしていこう

会社の研修でケーススタディが行われることは多いです。しかし、勉強方法は研修などグループや講師からでないと学べないというわけではなく、市販の本や発表されている論文などを活用すれば一人でも勉強できます

あなたも、さまざまなケーススタディを用い、大きくステップアップしていってください。