ご来社とはどんな敬語?意味や使い方、類語、反対語も解説

ご来社とはどんな敬語?

「ご来社」は、「取引先の人など、目上の相手が自分の勤める会社に来ること」という意味の尊敬語です。

「ご来社」の類語には、「ご来訪」「ご足労」「お越しくださる」「おいでになる」「いらっしゃる」「お訪ねいただく」があります。

反対の意味の敬語は「ご訪問」「伺う」。

英語にしたいときには、「your visit to our company」や「your visit to our office」を使います。

ご来社の意味は?

「ご来社」は「ごらいしゃ」と読みます。

「ご来社」は「取引先やお客様が自分の勤める会社に訪れること」という意味の「来社」に、丁寧なニュアンスを付け加える接頭語の「ご」をつけた敬語です。「来社」は相手がする動作なので、この場合の「ご」は尊敬語のニュアンスになります。

ご来社
取引先の人など、目上の相手が自分の勤める会社に来ること

「来社」には、よその人という意味が含まれています。そのため、「ご来社」は社長や上司など、自分の会社の偉い人には使えません。身内にあたる目上の人が会社に来たといいたいときには、「出社される」や「帰社される」などの表現を用いてください。

ご来社の使い方を学ぼう!

「ご来社」は対面での会話や電話、メールなどで用いられる敬語です。どのような使い方をするのか、例文でイメージしてみましょう。

例文1
ご来社いただく際には事前のご予約をお願いしております。ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
・恐れ入りますが、〇月△日にご来社いただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか?

例文1は、お客様や取引先の人など目上の相手に、会社に来てもらうことをお願いするときの「ご来社」の使い方です。

例文2
・悪天候の中、ご来社いただきありがとうございます。
・それでは、当日〇〇様のご来社お待ちしております。
・ご多忙の中、ご来社いただけるとのこと、誠に恐縮しております。
・遠方よりご来社くださいまして、誠にありがとうございます。

例文2は、目上の相手に会社に来てもらえることになったときに、相手にお礼などを述べるシーンでの「ご来社」の使用法。

例文3
・次回の打ち合わせは、〇〇様にご来社いただけることになりました。
・〇〇社のA部長がご来社になりました。

例文3は、目上の相手に会社に来てもらう約束を取り付けたときや、目上の相手が会社に来てくれたときに、それを上司などに報告するシチュエーションでの「ご来社」の用法です。

ご来社の間違った使い方

「ご来社される」や「ご来社になられる」は、二重敬語になるため間違いです。二重敬語というのは、ワンフレーズに同じ種類の敬語を2つ重ねること。

「ご来社される」は、「来社する」を尊敬語の「来社される」にした上で、さらに尊敬の意味を加える「ご」をつけています。尊敬語が2つ重なっているから二重敬語です。

「ご来社になられる」も「ご来社になる」で尊敬語になっているのに、「なる」の尊敬語「なられる」を重ねているので二重敬語になります。

二重敬語は回りくどくて慇懃無礼な印象になってしまうため、特にビジネスシーンでは避けるべきといわれています。

ご来社のお願いとお礼のメールは丁寧に!

「ご来社」は相手にわざわざ自分の勤める会社まで来てもらうことなので、お願いするときのメールは丁寧な文面で作成する必要があります。

また、「ご来社」してもらったときには、その日のうちに丁寧な文面で感謝の気持ちを伝えるお礼のメールを送るのがマナーです。その日のうちが難しい場合は、翌日のなるべく早い時間にメールしましょう。

お礼のメールの件名は、「ご来社の御礼」など端的でわかりやすいものにしてください。

メールの内容にはなるべく余計な事柄を入れず、ご来社の件に関する話題のみにします。お礼のメールに商品のPRなど営業の文言を入れてしまうと、相手の心証を悪くしてしまう恐れがあるためです。

ご来社の類語

ご来社は、正しい敬語なのでビジネスで使って問題のない言葉ですが、一連の会話や一通のメールの中に同じ文言を連発して入れると、違和感のある文章になってしまいます。

ご来社を同じニュアンスをもつ類語にほどよく言い換えて、自然な文になるように調整しましょう。

ご来社の類語
ご来訪(ごらいほう):目上の相手に来てもらうこと。来てもらう場所は会社とは限らず、待ち合わせの喫茶店などどこでも使える表現
ご足労(ごそくろう):本来ならばこちらが足を運ぶべきところを、わざわざ労力をかけて来てもらう
お越しくださる(おこしくださる):目上の相手が来てくれる
おいでになる:「来る」「行く」「居る」の尊敬語
いらっしゃる:「来る」「行く」「居る」「ある」の尊敬語
お訪ねいただく(おたずねいただく):訪ねて来てもらうこと

このうちの「ご来訪」は、相手に自分の勤める会社に来てもらうケースでは用いないほうがいいといわれることもある、ちょっと注意が必要な言葉です。

言葉の意味としてはどこでも使えるニュアンスのため、会社に来てもらう場合にも「ご来訪」を用いることはできます。しかし、言葉の使い分けに厳しい相手と話すときには避けるほうが安全です。

ご来社の反対語

ご来社は、「取引先の人など、目上の相手が自分の勤める会社に来ること」を意味する尊敬語なので、自分が相手の会社に行く場合には使えません

自分が「行く」側になったときに使用できる敬語も覚えておきましょう。

ご来社の反対語
ご訪問(ごほうもん):自分が目上の相手を訪ねて行くこと
伺う(うかがう):「聞く」「尋ねる」「問う」「訪れる」「訪問する」の謙譲語

ご来社の英語は?

ご来社を英語に訳したいときには、「訪問」や「訪問する」という意味の「visit」を用いて次のように表現します。

your visit to our company:私たちの会社へのあなたの訪問
your visit to our office:私たちのオフィスへのあなたの訪問

「your visit to ~」で「あなたの~への訪問」という意味になります。自分たちの会社に来てもらうので、「~」には「our company」や「our office」が入っています。

ご来社を上手に使いこなそう

ビジネスでは、目上の相手にどうしても自分たちの会社に来てもらわないといけないシーンもありますよね。

ご来社は、そのようなときに備えて覚えておきたい敬語のひとつです。

ご来社の意味や使い方と併せて、言い換えに使用できる類語も頭に入れ、上手にご来社を使いこなせるようになりましょう。