オンブズマンとは?
オンブズマンの意味は、国民の権利や利益が行政によって損なわれることがないように、第三者の立場で行政を監視、調査し、救済の勧告をする組織。
オンブズマンは、「オンブズパーソン」や「オンブズ」に言い換えられる場合があります。
オンブズマンを英語にするときは、「ombudsman」を使います。
ちょっと難しい意味の言葉ですが、ニュースなどにも登場する社会人の知識として知っておきたいカタカナ語です。かみ砕いて説明していくので、一緒に勉強してみましょう。
オンブズマンの意味
オンブズマンは簡単にいうと、国民の代理人。くわしく説明すると次のような意味になります。
行政機関が行ったこと、もしくは行わなかったことによって国民や市民が不利益を受けたときに、苦情を受け付けてくれるのがオンブズマンです。
オンブズマンは国民や市民の代わりに、行政の行いに憲法や法律の趣旨に反することがなかったかや、公平・公正性の観点から問題がなかったかを調査。必要があれば改善するように行政に勧告します。
また、国民や市民からの苦情が寄せられていなくても、独自の判断で調査をすることがあります。
調査の結果によって、行政に改善するための措置を取ることを求めますが、一般的にオンブズマンの勧告には法的な強制力はありません。
・国家が国を統治し、公共の目的を実現させるために、法を守ることを前提にして行使する様々な力の総称。立法と司法は除く。
・内閣などの国の機関や公共団体が、法律や政令といった規則を守ったうえで行う政務
・「行政機関」の略。行政機関は、国や地方公共団体の行政事務を行う機関のこと
オンブズマンの語源と英語
オンブズマンは、スウェーデン語の「ombudsman」が語源。もともとの意味は「代理人」で、男性にも女性にも使える共性名詞と呼ばれる単語です。
英語でも「ombudsman」と表記し、カタカナ語のオンブズマンと同じ意味で使うことができます。
スウェーデン語の「ombudsman」は男女関係なく使用できる言葉なのですが、英語では「man」が男性を意味する単語であるため、男女平等の観点から「ombudsman」の表記は用いるべきではないと考える人もいます。
そのため、英文では「ombudsman」が英語の単語ではないことを表す目的で、イタリック体を使って表記される場合があります。
オンブズマン制度とは簡単にいうと?
オンブズマン制度とは、国や自治体が正式な組織としてオンブズマンを設けるために、法律や条約によりオンブズマンの仕組みを定めたもの。
国や自治体ごとにその仕組みは異なります。
日本ではじめてオンブズマン制度が設けられたのは、神奈川県の川崎市です。
日本のオンブズマン制度をわかりやすく解説
日本では総務省の行政評価局、行政相談委員、苦情救済推進会議が三位一体となって、オンブズマンの役割をになっています。
総務省の仕組みはオンブズマンという名前ではありません。
しかし、国際的にオンブズマンの役割を果たしていると認められているため、日本版のオンブズマン制度として扱われています。
総務省の行政評価局とは
行政評価局は、総務省の中にあるひとつの組織。国民に信頼される質の高い行政を実現するために、政府を評価するのが役割です。
次の3つの機能をもっています。
その政策評価の仕組みを作ったり、評価の方法やその内容を点検したりするのが政策評価の推進。
行政相談委員とは
行政相談委員とは総務大臣から一定期間仕事を任された相談員で、全国に5,000人ほどいます。給料はもらっておらず、無報酬のボランティアになります。
国民からの行政に対する苦情や問い合わせを受け付け、それを解決するために助言や、関係行政機関への連絡などの仕事をしてくれます。
行政相談委員は、相談業務をしていく中で感じた行政運営の改善に関する意見を総務大臣に出すことも認められており、出された意見は行政運営の改善に役立てられています。
苦情救済推進会議とは
苦情救済推進会議は、総務省に寄せられた行政に対する苦情の中から、問題を解決するために制度の改正などが必要なものについて、民間の有識者の意見を聴くために設けられる会議。
民意を反映させて問題を的確に、効果的な方法で処理するのがこの会議の目的です。
そのほかのオンブズマン
日本には、総務省が行っているオンブズマンの類似制度のほかにもオンブズマンがあります。
市民オンブズマンは、情報公開請求と住民訴訟を活用して不正がないかをチェックしている。
オンブズマンと監察委員の違いは?
監察委員は、地方自治法の定めによって地方公共団体の長が任命する監査組織。
地方公共団体の財務や事業が適正に行われているか監督し、検査するのが役割です。市民からの申告によって監査を行うこともあります。
市民の代理として行政を監督、検査する点はオンブズマンと同じです。
違いは、監察委員は地方公共団体にしかないこと。私的な監察委員がない点もオンブズマンと異なります。
オンブズマンの使い方を例文で学ぼう!
オンブズマンの意味がわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。
・オンブズマンが不正を追及する。
・オンブズマンに参加して行政を監視する。
・オンブズマン制度を導入する自治体が増えた。
オンブズマンの類語
オンブズマンの類語は「オンブズパーソン」や「オンブズ」。
どちらもジェンダーの観点から、男性を連想させるオンブズマンの代わりとして使われるようになった言葉です。
オンブズマンと意味は同じなので、言い換えに使用できます。
オンブズマンは国民や市民の代理人
国民や市民から行政に対する苦情を受け付けて、国民や市民の代わりに行政に訴えてくれるのがオンブズマン。
第三者の立場で行政を監視し、問題があった場合は改善するように働きかけるのが役割です。
ニュースなどでオンブズマンという言葉を目にしたら、国民や市民の代理人として国民や市民の利益を守り、行政に民意を訴える組織なんだなと解釈しましょう。