「フィジビリティ」の意味は?「POC」との違いや「フィジビリティスタディ」についても解説

「フィジビリティ」とは「実行可能性」という意味

「フィジビリティ」は「実行可能性」を意味するカタカナ用語です。なにか新しいことを始める際は、それが成功する見込みがどのくらいあるのか見極める必要があります

企業では「新しいこと」は頻繁に手掛ける機会があり、カタカナ用語が多く使われる現代においてはぜひ知っておきたい言葉のひとつです。

本記事では「フィジビリティ」の正しい意味のほか、使い方、言い換え表現も含めてわかりやすく解説します。

フィジビリティの英語は「feasibility」

フィジビリティは英語で「feasibility」と書き、こんな意味をもつ単語として使われています。

feasibility の意味

・実行可能性
・実現可能性

使い方の例としてはこのようなものがあります。

・feasibility of~(~の実行可能性)
・feasibility demonstration(実現可能性の実証)
・review feasibility of ~(~の実現可能性を再検討する)

日本語においての「フィジビリティ」とは

会社では、新規事業、新規プロジェクト、新商品開発など、常に新しいことに向き合っています。会社の売上に繋げるためには、「失敗しても仕方ない」という考えでは進められません。

最悪の場合、新規事業に失敗したことが原因で資金繰りがうまくいかず、倒産に追い込まれることも考えられます。

そのため、始めようとしていることが、成功する可能性があるのかどうかを指す事がが「フィジビリティ=実行可能性」です。

そして、さまざまな観点から実行可能性を検証することを「フィジビリティスタディ」、実行可能性(フィジビリティ)の有無を確認する作業を「フィジビリティチェック」といいます。

【フィジビリティスタディ】
実行可能性をさまざまな観点から検証すること。
【フィジビリティチェック】
検証した結果から、実行可能性の有無を確認すること。

「フィジビリティスタディ」は、英語で「Feasibility study」と表記するため「FS」「F/S」と略して使われることも多いです。

なお、日本語の「フィジビリティスタディ」は英語圏でも「実行できる可能性」の意味で使われているので、知識として覚えておくと便利です。

「フィジビリティスタディ」の進め方

フィジビリティスタディで調査・検証する内容は、比較的広範囲に渡っているのが一般的です。新規プロジェクトに対してなのか、新商品に対してなのか、そのフィジビリティスタディの対象になるものによってやることは異なりますが、基本的な検証ポイントは次のとおりです。

・法律に引っかかる点はないか。
・自社の経営理念からかけ離れてはいないか。
・組織内に実行するための技術力・能力があるかどうか。
・実行に必要な人員が確保できるかどうか。
・最後まで実行できる予算が組めるかどうか。
・市場の動向や競合他社の状況はどうなっているか。
・考えられるリスク。
・リスクを踏まえて進めてもメリットがあるか。
・どのくらいの期間を要するのか。

これらが検証内容のすべてではありません。フィジビリティスタディの段階で出された意見や疑問によって、検証する内容はその都度変更や追加があります。

「フィジビリティ」と「フィージビリティ」の違い

「フィジビリティ」と「フィージビリティ」は、結論からいうと、どちらも意味は同じで、違うのはカタカナ表記のみです。新聞などのメディアやネットニュースなどを検索してみても、両方使われているのが確認できます。

「フィジビリティ」の使い方・例文

新しいことを始める現場に遭遇しないとなかなか使う機会のない「フィジビリティ」。会話ではどのように使えばいいのでしょうか。わかりやすい例文を紹介するので、場面を想像しながらぜひ読んでみてください。

例文
・今回企画しているサービスは競合が多いため、フィジビリティについてしっかり考えなくてはならないだろう。
フィジビリティスタディを入念にやっていたのに売上が見込みの半分以下なのは少し問題だな。
・販売開始以降もフィジビリティスタディを繰り返し行っている効果なのか、常にトップシェアを保っている。
・Aの企画を延期してまで予算組みをした事業なので、フィジビリティについては入念な検証が必要だ。

「フィジビリティ」の言い換え表現

カタカナ用語が普及している現代ですが、「フィジビリティ」が通じない場合もあるでしょう。そんなときは次の言葉への言い換えが可能です。

・実現可能性
・実現見込み

「フィジビリティ」と「POC」の違い

「POC」とは、「Proof of Concept」の略語で、日本語では「概念実証」といいます。実現可能性を検証していく「フィジビリティスタディ(FS)」と同じだと思われがちで、実際同じ意味でとらえられることもあります。しかし、厳密には「FS」を行った後に「POC」へ移る、といったように違いがあります。

たとえば、「こんな形で試作品を3つ作ってみよう」と決めるのは「FS」で、実際に試作品を作り、それについて検証をしていくのが「POS」です。

「POC」を行ううえでの注意点

POCでは、多くの検証を行っていくので、実際の事業やプロジェクトを本格始動する前に、POCそのものが目的になりがちです。

そのため、POCで多くの時間や予算をつぎ込んでしまい、本格始動のための予算が不足したり、作業者の体力が消耗してしまったりすることも多いといわれています。

POCはあくまでも「検証・テスト段階」であり、実稼働ではないため、先をしっかり見据えて進めていく必要があります。

「POC」と似た言葉「POV」とは?

「POV」は、「Proof of Value」の略で、「価値実証」を意味する言葉です。

たとえば、「POC」で試作品を作って検証したとします。そして次に、「この商品にはどんな価値があるのか?」を検証していくわけですが、この作業が「POV」になります。

新しいことをはじめる際は「フィジビリティ」を確認しよう!

小さな業務や、会社の予算に大きく影響しないことであれば、ぶっつけ本番で試行錯誤をしていっても問題ないでしょう。しかし、時間、予算、人員などを多く必要とする事業やプロジェクトは、綿密な検証やテストが必要です。

手間や労力はかかりますが、新しいことをはじめる際は、丁寧に「フィジビリティ」を確認・検証するようにしましょう。