「ロールモデル」とは「模範・手本となる人」のこと
「ロールモデル」とは、行動や考え方が、ほかの人の模範・手本なる人のことを指す言葉です。すでに「この人のような人生を!」と目標を定めている人も多いことでしょう。そこで、本記事では、言葉の意味やビジネスシーンでの使い方のほか、メリットや効果などについてもわかりやすく解説します。
「ロールモデル」の英語は「role model」
日本で使われている「ロールモデル」は、英語の「role model」が語源となっているので、英語圏で使われる場合も意味はほぼ同じです。また、海外では個人の価値観や、その職業に就きたい動機を詳しく知るために、このような質問がよくされるといわれています。
Who is your role model?
(あなたのロールモデルは誰ですか?)
ですので、「個人的なロールモデル」「関連する分野におけるロールモデル」「ロールモデルからどのようなことを学んだか」などを回答として用意しておくことをおすすめします。
日本語においての「ロールモデル」とは
日本のビジネスシーンにおける「ロールモデル」とは、新入社員やほかの従業員の模範となるような人物を指すことが多いです。新人の場合は、組織の中で「〇〇さんを模範として…」と具体的に名前を出される場合もありますが、多くの場合は自分自身で見つける必要があります。
「ロールモデル」にはどんなメリットや効果があるのか?
「ロールモデル」は、誰かの真似をするようで、ネガティブなイメージをもっている人がいるかもしれませんが、ロールモデルがいることでこんなメリットや効果があるんです。
目標が明確になる
目標とする人物は、自分がこれから進んでいく道の先にいる人で、いわゆる、経験者ということになります。ゴールに向かって一歩一歩進むにあたり、時には迷うことがあるでしょう。そこで、「ロールモデル」を参考にすることで、どこに行けばいいのかが明確になるため、無駄な時間を過ごさずに済みます。
現状の把握がしやすい
「ロールモデル」を最終目標においていた場合、今の自分と比較することで、自分のレベルが把握しやすくなります。
キャリアアップの近道になる
ロールモデルにする人は、すでにキャリアを積んでいる人です。経験者が通った道を同じようにたどることで、効率よくキャリアを積んでいくことが可能となります。
コミュニケーションの活性化につながる
ロールモデルにしている人が、自分の見えるところにいると、「話してみたい」という感情が湧いてきます。その人と接点がなかった場合でも、その人を知っている人に話を聞いたり、情報を集めたりといった作業はするでしょう。これらの行動を起こすことでコミュニケーションの活性化につながります。
離職率低下につながる
「ロールモデル」を設定すると、目標が明確になるので、仕事をするうえでのモチベーションがアップします。また、必然的に「その人がいる職場にいたい」と思うようになるため、会社に留まり、離職を回避することにつながります。
女性の活躍につながる「ロールモデル」
男女雇用機会均等法が浸透している現代ですが、結婚すると家事・出産・育児などで仕事との両立について不安を抱える人も多いのが現実です。そこで、北海道札幌市では、そんな不安や悩みを解消し、新しい一歩が踏み出せるよう、「札幌市男女共同参画センター」が、「札幌の女性のロールモデル集」を発信し、実例としていろんな女性のインタビューを掲載しています。
(情報参照元:札幌の女性ロールモデル集)
「ロールモデル」の見つけ方
「効率よくなりたい自分になる」「キャリアアップする」「自分を成長させる」などの目的をもって「ロールモデル」を選ぶわけですが、方向性を間違うと、迷走してなかなかゴールに近づけません。そんな失敗をしないために、ここでは「ロールモデルを見つけるポイント」をわかりやすくまとめました。
社会の先輩から選ぶ
実際の仕事ぶりを見ることができる社内の先輩を選べば、近くで学ぶことができ、質問もしやすいのでどんどん成長していくのを実感できます。社内の人から選ぶ場合は、必ずしも同じ部署である必要がありません。
付き合いのある社外の人から選ぶ
実際に仕事をしていると、社外であっても「あの人凄いなぁ」と思うことがありませんか?「ロールモデル」は、社内の人である必要はありません。接点があれば、学ぶ機会は多いので、付き合いのある取引先の人から選ぶのも一つの方法です。
有名人の中から選ぶ
現存している人に限らず、有名な人は、どんな偉業を成し遂げたか、どんな人生を歩んだかなどが公表されている場合が多いです。実際に目で見て学ぶのは難しいかもしれませんが、文献や本人のコメントなどから得られる情報はたくさんあるので、歴史上の人物を含め、有名人から「ロールモデル」を選ぶのも一つの方法です。
ただし、あまりにも偉人になると、目標が高くなりすぎ、モチベーションが維持しにくくなるため注意が必要です。
日本サッカー協会が定める「ロールモデルコーチ」とは?
サッカーの分野における「ロールモデル」とは、選手に近い存在でアドバイスしたり、一緒にプレーしたりすることで、現役選手にコーチングする存在の人をいいます。日本サッカー協会では2023年にこの制度を新設しました。
最近では、鹿島アントラーズや海外のチームでプレイし、2020年をもって引退した内田篤人氏が就任しています。
サッカー協会では、コーチを務めるにはライセンスが必要で、引退してライセンスをもたない有能な元選手にコーチをしてもらえるのに有効な制度といえます。
「ロールモデル」の使い方・例文
「ロールモデル」は、言葉の意味としては難しくないですが、会話ではどのように使うのでしょうか。例文でチェックしてみましょう。
・ロールモデルって一人にしなくてもいいんですよね?
・先輩を僕のロールモデルにします!
・理想のロールモデルが見つからないんですが、
「ロールモデル」の類語・言い換え
「ロールモデル」を日本語で言い換える場合、次のような言葉が使えます。
・模範
・手本
・師範
・師表
・亀鑑 など
また、カタカナ用語の類語には、「モデルケース」「チューター」「メンター」があります。意味はまったく同じではないものの、似た意味をもっているので、間違って使わないためにも関連付けて覚えておくと便利です。
モデルケース
「モデルケース」は、「模範例」「標準例」の意味をもつ言葉で、成功事例のように、「事象」の模範を指しています。一方、ロールモデルは「事象」ではなく「人」を指すので、対象が、人か、それ以外かによる違いがあります。
チューター
「チューター」は、「個別の指導者」、つまり、1対1で指導する場合の指導者を指す言葉です。「ロールモデル」が学ぶ側が人を選び、その人を目標として自ら学びますが、チューターは直接的な指導をされるといった点で違いがあります。
メンター
「メンター」とは、「仕事や人生においての指導者」を意味する言葉です。「ロールモデル」は、学ぶ側が模範とする人であるのに対し、「メンター」は直接対話をして積極的に指導してもらうといった点で違いがあります。
なお、「メンター」についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
「メンター」の意味は?OJTとの違い、メンター制度、言い換え、関連語も解説
「ロールモデル」で効率よく自分を成長させよう
「ロールモデル」は、個人で選んでそこを目指すことが多いですが、企業側で設定している場合もあります。従業員を成長させる目的でロールモデル設定する際は、企業運営に貢献している従業員を選ぶようにしましょう。