サプライチェーンマネジメントとは?メリット、英語、事例もわかりやすく解説

「サプライチェーンマネジメント」とは「供給連鎖管理」こと

「サプライチェーンマネジメント」とは、原材料の調達・製造・生産管理・物流・販売までの流れを連動した一つのプロセスであると考え、組織として連携管理や最適化をしていく手法を指す言葉です。日本語に訳すと「供給連鎖管理」となります。

本記事では、「サプライチェーンマネジメント」の必要性、メリット、デメリット、わかりやすい事例などについても解説します。

「サプライチェーンマネジメント」の英語は「Supply Chain Manegement」

「Supply Chain Manegement」は、1980年代に米国で生まれた言葉で、日本では企業でのIT化が進んだ頃から注目されるようになりました。英語圏では「Supply Chain Manegement」の職種があり、面接では次のような質問をよくされるようです。

・What is supply chain management
(サプライチェーンマネジメントとは何ですか?)
・What would you do if your warehouse unexpectendly ran out of stock?
(倉庫の在庫が予期せず無くなったらどうしますか?)
・What would younimprove about our company’s supply chain management processes?
(当社のサプライチェーンマネジメントのプロセスについて改善したい点は何ですか?)
・Tell me about your most challenging moment in a supply chain role. How did you overcome this conflict?
(サプライチェーンの役割において、もっとも困難だった瞬間について教えてください。この苦境をどのように乗り越えましたか?

日本語においての「サプライチェーンマネジメント」とは

「サプライチェーンマネジメント」は英語で「Supply Chain Manegement」と表記するので、日本では、それぞれの単語の頭文字をとった「SCM」という略称で呼ばれることが多いです。「サプライチェーン」は、「原材料の調達・製造・生産管理・物流・販売までの流れ」のことで、それを「マネジメント=管理」することで、「サプライチェーンマネジメント」となります。

ただし、詳しく説明するなら、「原材料の調達・製造・生産管理・物流・販売までの流れを連動した一つのプロセスと考え、組織として連携管理や最適化をしていく手法」です。

「サプライチェーンマネジメント」が必要だと注目される背景

「サプライチェーンマネジメント」が必要になるのは、主に製造業です。調達・製造・管理など、それぞれを最適化することで、業務全体の効率化が図れる、リードタイム(工程の初めから終わりまでにかかる所要時間)の短縮につながるなどの効果が得られるため、注目度が高くなっています。また、このほかにも必要だとされている背景があるので、簡潔に解説しておきます。

企業活動のグローバル化

ECサイトが普及したことで、企業が海外の消費者に向けた事業も拡大する例も増えてきました。そこで、効率よく生産し、不要な在庫を減らしながらも潤沢に供給を続けるためにはサプライチェーン全体の流れを一括で管理する必要性が高まっているという背景があげられます。

労働環境の変化

少子高齢化で労働人口が減っているのに加え、物流には欠かせないトラックドライバーは厳しい労働環境にもかかわらず、低賃金のところが多いということで、人員不足が問題となっています。そのため、極力無駄な物流を減らす必要があり、そのためには生産管理も徹底しなければなりません。

ビジネスモデルの変化

大手ECサイトとしては、Amazonや楽天が有名ですが、インターネットの技術が進化を続けている現代では多くの企業で通信販売が行われています。そのため、販売と配送が連携されるのが当たり前の時代になっているため、サプライチェーンマネジメントが必要不可欠と考えられています。

消費者ニーズの変化

インターネットでさまざまな情報が入手できる現代では、店舗に出向いて店員に商品情報を聞くのではなく、消費者自ら検索をかけ、ニーズにぴったり合った商品を選択するようになっています。そのため、需要と供給のバランスをとることで、必要な量だけを生産することが可能なサプライチェーンマネジメントが重要となるわけです。

「サプライチェーンマネジメント」のメリット・デメリット

「サプライチェーンマネジメント」を導入を考える際は、メリットが目につきやすいですが、デメリットもゼロではありません

「サプライチェーンマネジメント」のメリット

「サプライチェーンマネジメント」が注目されているのは多くのメリットがあるためですが、具体的にはどのような効果が得らえれるのでしょうか

余剰在庫の削減でコストカット

サプライチェーンマネジメントを導入すれば、生産量に伴い原材料の仕入れも見直すようになるため、余剰在庫の削減が可能です。在庫の最適化は原材料だけではなく、製品にもいえますが、それぞれの保管場所も減らせるため、大幅なコストカットにつながります。

リードタイムの削減が可能

材料の調達から製造までを一括管理するため、全体の流れが最適化され、リードタイム(工程の初めから終わりまでにかかる所要時間)が可能となります。

人員不足が解消される

たとえば、余分にトラックを走らせていると、ドライバーも余分に必要となり、人員不足を引き起こします。しかし、配送を最適化できればドライバーの必要人数を減らすことが可能です。また、製造過程においても、生産量を必要な分だけで調整すれば、生産ラインに必要な作業員の人数が減らせ、人員不足の解消につながります。

全体的な経費削減が見込める

サプライチェーンマネジメントを導入すると、生産にかかる費用、人件費、管理費など、さまざまな経費の削減が可能です。

「サプライチェーンマネジメント」のデメリット

何か新しいことを始める際には、デメリットも把握しておかなければ、後悔する事態を招く可能性があります。では、「サプライチェーンマネジメント」のデメリットとしてはどんなことが考えられるのでしょうか。

初期投資が必要

サプライチェーンマネジメントの導入には管理システムが必要不可欠です。多くの場合、企業それぞれで独自のものが必要なので、開発費や、場合によっては専用のサーバー設置に関わるコストもかかります。

ITに関する知識が必要

管理システムを導入すれば、そのシステムを管理・整備する人員が必要です。社内に適任となる人がいない場合は、新たに人材を確保しなければならず、人件費も必要になります。

社内全体の統一が必要

サプライチェーンマネジメントを導入するということは、多くの部署を情報を共有しなければなりません。状況によっては委託業者が入ることもあるため、それぞれの部署の業務が最適化されるようなシステムを作る必要があり、時間もコストもかかります

「サプライチェーンマネジメント」の事例

大手ECサイトAmazonでは、早い場合は注文した日に届くことがありますが、その配送スピードを実現するための重要拠点として、「Amazon Transportation Services」という部門があります。ここでは、物流拠点から仕分け拠点を通過し、最終の配送拠点に引き渡すまでの路線でのデータを分析し、的確な計画立案・課題解決などのプロジェクトを遂行することで、現在のAmazonの配送スピードを維持できているといえます。
(情報元:Amazonオペレーション&カスタマーサービス部門 キャリアサイト

「サプライチェーンマネジメント」の資格がある

米国では、1970年代より、購買・調達・サプライチェーンの分野での知識や実行力を示す、最も権威ある資格のひとつとして、「CPSM(Certified Professional in Supply Management)」があります。日本でも、SCMのプロを証明する資格試験として採用しており、日本サプライマネジメント協会において、対策講座やセミナーなどを実施しています。
(情報元:日本サプライマネジメント協会 CPSM資格

「サプライチェーンマネジメント」の使い方・例文

「サプライチェーンマネジメント」は実際の会話ではどのように使われているのでしょうか。例文でチェックしてみましょう。

例文

サプライチェーンマネジメント導入に向けて進めていたが、システムがなかなか構築できない。
・当社のIT部門には知識や経験が豊富な人材が多いので、外部委託なしでサプライチェーンマネジメントの導入を検討してみよう。
サプライチェーンマネジメントについての勉強を始めてから、自社の効率の悪さが明確にわかるようになった。

「サプライチェーンマネジメント」の類語・言い換え

「サプライチェーンマネジメント」を日本語で言い換える場合は、「供給連鎖管理」「原材料調達から消費までの流れを連動した一つとプロセスとして管理すること」と、長い説明をするしかないですが、カタカナ用語の類語には「バリューチェーン」「ブロックチェーン」があります。

「バリューチェーン」とは

製造業において、材料の調達から出荷・配送までの流れの中で、どの業務がどのような価値を生み出しているのかを分析・最適化するためのフレームワークのことを「バリューチェーン」といいます。
バリューチェーンとは?英語、使い方、サプライチェーンとの違いもわかりやすく解説

「ブロックチェーン」とは

「ブロックチェーン」を日本語で表すと「分散型台帳技術」「分散型ネットワーク」で、ビットコインで中核となる取引データを、分散型の台帳にするための技術のことをいいます。

「サプライチェーンマネジメント」は自社に適した方法を取り入れよう

「サプライチェーンマネジメント」そ導入するためには、時間もコストもかかります。検討する際の調査で良い事例だと感じる方法であっても、自社には不向きな場合も少なくありません。適さない方法で導入した場合は、逆に効率が悪くなる可能性も出てくるので、慎重に検討を重ねたうえで導入を進めてください。