ロジックツリーとは?意味、メリット、簡単に作れるテンプレートやツールも紹介

「ロジックツリー」とは「問題解決方法のフレームワーク」のこと

「ロジックツリー」とは、ひとつの事象について、問題や課題を解決していくため、ツリー状(木の形状)の図に書き出して考えていくフレームワークのことをいいます。フレームワークは、物事の決定、問題解決、戦略立案など、思考を必要とする状況下において、考えたことを整理していくための枠組みで、ビジネスシーンでは頻繁に用いられるので、ぜひ覚えておきたいものです。

本記事では、「ロジックツリー」の意味や使い方のほか、メリット、作る際のポイント、おすすめのツールなどもわかりやすく紹介します。

「ロジックツリー」の英語は「logic tree」

「ロジックツリー」は、もとは、理屈のつながりを鎖状の図で表したもので、米国のコンサルティングファームにて、コンサルタントの人達が利用する基本的思考のツールとして使われてきました。しかし、パソコンが無かった時代には、考えることと修正を繰り返すたびに、「消す」「書く」の作業は非常に手間がかかるため、あまり浸透しませんでした。ですが、パソコンの利用が当たり前になった現代ではロジックツリーの作成が容易に行えるため、海外においても頻繁に用いられています。

日本語においての「ロジックツリー」とは

「ロジックツリー」がどのようなものか、大まかにはわかっている人が多いでしょうが、大きくわけて4つの種類があるというのは知っていましたか?何について考えていくかでどれを用いるかが異なるので、論じる内容によって使い分ける必要があるんです。

Whyツリー

「whyツリー」は、「原因分析」をしていく際に用いるロジックツリーです。たとえば、「通販サイトのアクセス数が伸びない」件について、なぜ伸びないかの原因追求をしていく場合、「見にくいデザインである」「検索しにくい仕組みになっている」「注文の仕方がわかりにくい」など、さまざまな原因が考えられます。これらをツリー状に並べ、枝を伸ばして解決していきます。

Howツリー

「Howツリー」は、「問題解決」をしていく際に用いるロジックツリーです。たとえば、「売上を上げるにはどうすればいいか?」という問題を解決していくとします。その解決方法として、「顧客単価のUPを図る」「顧客数を増やす」を挙げた場合、次のようなロジックツリーが作成できます。

Whatツリー

「whatツリー」は、「要素分析」をしていく際に用いるロジックツリーです。たとえば、「顧客ターゲット」を分析する場合、まず、「男性」「女性」を分類、それぞれを「学生」「社会人」にわけ、社会人なら「20~30代」「40~50代」などと分類していくと、次のようなロジックツリーを作成することができます。

KPIツリー

KPIは、「Key Performance Indicator」の略称で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」となります。組織には、ほとんどの場合大きな目標である、KGI(Key Goal Indicator=最終目標値)が設定されています。この最終地点に到達するには、いくつかの通過点があり、KPIは、中間の目標です。

「ロジックツリー」を採用するメリット

「ロジックツリー」は、ひと手間かかりますが、いくつものメリットがあります。ここでは比較的大きな利点4つについてわかりやすく解説します。

メリット①:組織内で課題・問題について共通認識がもてる

「ロジックツリー」は、目標、課題、やるべきことなどが目で確認できるため、組織全体で納得して行動に移しやすくなります

メリット②:作成過程で課題が見つかる

「ロジックツリー」は、実行の過程であっても現状を確認しながら行います。そのため、なにか問題が起こった際も、どの過程において問題の事象が発生したのかすぐにわかるため、今後どのような課題があるのかが見つけやすいです。

メリット③:具体的な行動について優先順位がつけやすい

「ロジックツリー」は、課題から、具体的な解決策を一つずつ明記していくので、全体が把握しやすくなります。そのため、優先順位がつけやすいのが特徴の一つでもあります。

メリット④:的確な解決策が見つかりやすい

「ロジックツリー」に表記された解決案は、全部が正しいわけではなく、時には失敗もあります。その際、どこでどんな風に間違えたのかが一目瞭然で、まだ実行に移していない案と比較しながら、失敗に対する解決策を見出しやすくなります。

「ロジックツリー」を作る際のポイント

「ロジックツリー」は、木が枝分かれしたような図で表していくのですが、作成するにあたりポイントがあります。効率よく作っていくためにもぜひチェックしておきましょう

課題や問題を明確にする

「ロジックツリー」は視覚的にわかりやすくするものですが、図に書きながら課題や問題を洗い出す作業を行うと時間がかかりすぎます。ですので、作成前に、どんな課題があるのかを一覧で書きだしておきましょう。

MECEを意識する

MECEは、「ミーシー/ミッシー」と読み、「漏れも重複もない」という意味の用語で、ビジネスシーンでは効率よく物事を整理する際に意識すべきといわれているものです。

MECEとは?

「MECE」とは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」のそれぞれの単語の頭文字から成る略語で、それぞれの単語の意味は次のとおりです。
・Mutually=互いに
・Exclusive=唯一の
・Collectively=集合的に
・Exhaustive=余すところのない

なお、MECEについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
MECEとは?意味、具体例、基本的な考え方、使い方・例文などをわかりやすく解説

要素の並べ方を整理する

ツリーの中の要素が複数になった場合は、並び順も考えるようにしましょう。例えば、要素が5つある場合、単発で行うことと、継続したものが、1、3、5番目と飛び飛びになっているよりも、1~3番目が単発、4~5番目が継続案件となっているほうが、把握しやすくなります

「ロジックツリー」が簡単に作れるツール

パソコンシステムが進化現代では、一見作成が大変そうな「ロジックツリー」が簡単に作成できるツールもいろいろあります。「パワポ(パワーポイント) テンプレート」で検索すれば、フリー素材のテンプレートもたくさん公開されているので、使いやすそうなものをダウンロードするのもおすすめです。

Excelで作成

バージョンにもよると思いますが、今のExcelは、「挿入」→「図」→「Smart Art」→「階層構造」から好きな計上のロジックツリーを挿入することが可能です。

canvaで作成

無料で使えるグラフィックデザインツールの「Canva」は、ロゴ、アイコン、イラストなどさまざまなデザインが作れますが、「ロジックツリー」も簡単に作成することができます。

作成画面を開いたら、「素材」から「線と図形」を選択。ロジックツリーに使いたい「図形」を選択したら、その図形の「クイックフローを有効にする」を選びます。図形を編集状態にし、増やしたい方向の矢印をクリックすれば、自動的に線で結ばれた図形がコピーされます。

なお、カラー、線の種類、線の終点の形状なども選べるので、イメージに合った「ロジックツリー」を作っていけます。

「ロジックツリー」の使い方・例文

「ロジックツリー」とは、ワークフローなので、会話の中ではこのように使います。

例文

ロジックツリーを用いて考えていったので、今回は予定よりも早く問題を解決することができた。
・事前情報をまとめずにロジックツリーを作成し始めたので、手間ばかりかかってスケジュールが押してしまった。
今回のプロジェクトはしっかりとロジックツリーを作成してから進めたので、内容変更時でもメンバー全員がもれなく状況の把握ができていたように思う。

「ロジックツリー」の類語・言い換え

ロジックツリーは、フレームワークの名称なので、日本語で言い換える場合は「問題や課題を解決していくために用いるツリー状の図」とった表現しかありません。

「ロジックツリー」を活用し効率よく問題・課題を解決していこう

「ロジックツリー」は、効率よく、適格に問題や課題を解決していくために有効な仕組みです。これまで、なんらかの問題が発生しても、トラブルやもれが多かったと感じる場合は、ポイントをしっかり押さえて、「ロジックツリー」を導入してみてください。